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226話 アーリアside

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ふ、ふんっ!まぁ、いいわ。

あの男も一瞬は私に心が揺らいだけど、女が来てしまったら自分に素直にはなれないものね。

今回はタイミングが悪かった、ってやつよ!

そう思いながら、男の背中をキッと睨みつけて、その場から離れたわ。

はぁ......どうしようかしら?

もう王都には私に似合う男は居ないみたいだし、こうなったらお父様に言って貴族と婚約した方が確実なのかもしれないわね。

どうせお母様に言っても、動いてくれないだろうし......。

まぁ、セリスティアに何回も婚約者が出来たんだから私にもすぐよ!

そう思った私は、すぐに家に帰ろうと止めてあった馬車の小屋に移動したわ。


馬車が止まっている小屋に到着すると、他にも王都に来ている貴族が数名いるみたいで、数名の御者が集まって話をしているわね。

そういえば、今まで気にしたことがなかったけど私たちが外出している間、御者が何をしているのかしら?

どうやら話をしているみたいだけど......。

そう思った私は、興味本位で御者たちが普段どのような会話をしているのか、聞いてみることにした。

「全く.....いい加減にしてほしいよな」

「本当だよ。毎回毎回、しょうもないことで馬車を動かしているこっちの身にもなって欲しいってもんだ」

話しをしているのは3人の御者で、その中の1人が私の家で雇っている御者みたいね。

何度も馬車を使っているけど、御者との会話なんて行き先を言う、くらいだったからどう思っているのか、凄く気になるわ。

なんて思いながら改めて耳を澄ませて御者たちの会話を聞くと、ケラケラと笑いながら雇い主の文句を言っているやらに、

「俺のところなんて、毎日のように王都に来て、自分の婚約者を探すんだ、って言ってやがるよ」

まるで、バカにしているかのような口調で、我が家の御者がそう言ったわ。

言ってやがる、なんて.....ぶ、無礼だわ!

表では私のことを心配している、みたいな顔をしていたくせに、裏では私のことをバカにしていたのね!

そう思った私は、全ての話を聞く前に、御者たちの前に出ようと思ったけど

「あ、それ聞いたことがあるぞ。デブでブスのお嬢様が必死に平民相手に声をかけてるって噂の」

という言葉を聞いて、その場から動けなくなってしまった。

.......え?は?

デブでブスのお嬢様、ですって?この私が?

い、いやいや......聞き間違え、というか、そもそも私の話をしているとは限らないわ。

私の勘違いよね。

あまりにも衝撃的な御者たちの言葉を受け入れることが出来ず、呆然とその場に立ち尽くしていると

「あー!それ、俺も聞いたな。知り合いの御者で被害に遭った奴を知ってるんだが、色んな意味で凄かった、って言っていたぞ」

「色んな意味?あのバカお嬢様は何をやっているんだ?」

「なんでも、胸をぎゅうぎゅうに押し付けてきて、ブサイクな上目遣いで話をしてくるんだってよ」

「うーわ.....ブサイクな上目遣い、って......見てみたいような気もするけど怖いな」

「俺もあの人がそんなことをしているのか、と考えたらゾッとする」

というところまで聞いたけど、流石に我慢が出来なくなって御者たちの前に出て行ってしまったわ。

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