225 / 344
225話 アーリアside
しおりを挟む今日も私の婚約者に相応しい男性を探すために王都に来たのは良いけど........良いと思った男性には既に声をかけちゃったから、もう誰も居なくなってきたわね。
とはいえ、領地内の男性達は誰1人私の魅力に気付いてくれないどころか、なぜか避けられるようになってきたし、他の領地に行くにも許可証が必要なのよね。
そう考えると、子爵家の領地内も王都もそろそろ限界なのかしら?
でも私の運命の相手も見つかっていないし.......。
そう思いながら、偶然通りかかった男性に
「あのぉ.........ちょっと良いかしら?」
と声をかけたわ。
ここで、私のことを見ても逃げなかったら.....私の良さがわかっていて、気があるってことよね。
なんて思いながら男性のことを見るとき、なるべく上目遣いで見れるように少し姿勢を前に屈んで待ったわ。
私のような魅力的な女性がこんなに可愛らしく立っていたら、皆虜になるわよね。
そう思いながら男性を見つめていると、一瞬頬がピクッと動いたような気がするけどすぐにニッコリと優しく微笑んで
「はい、なんでしょうか?」
と私のことを見て来たわね。
これって.....完全に私に一目惚れをしたわよね?
だって、初めて会って声をかけたのに、微笑んでくれたのよ?
そう思った私は、遠慮することなく男性との距離を詰めることに決めたわ。
きっとこの人もその方が嬉しいものね。
ニッコリと優しく微笑んでくれている男性の腕にスルッと私の腕を絡めて
「貴方、結構いい見た目をしているわね。貴族の私の婚約者にならない?」
そう言ってニッコリ微笑んだわ。
ついでに、私の豊満な胸も押し付けてあげたんだけど、こんなにくっつかれたら誰でもドキドキするわよね。
腕をギュッと掴むと男性は私の行動に
「え?は?」
と驚いているけど、まぁ、最初は驚くわよね。
私だって急にそんなことを言われたら驚くし、動揺するもの。
でもそれも今だけ。
私のことが好きなんだからすぐに受け入れてくれるはずよね。
なんて思いながら、男性に微笑むと急に横から
「ごめんなさい!お待たせしました!」
という声が聞こえてきたわね。
誰よ、私とこの男性の邪魔をする人は。
そう思った私は、一旦男性から離れて急に声をかけてきた非常識な人をキッと睨みつけてやったわ。
すると、なぜか男性は私から逃げる様に声をかけてきた女の方に移動すると
「大丈夫だよ、そんなに待っていないから」
さっきとは全く違う、物凄く優しい視線で今来た女のことを見つめているじゃない。
何よこれ!
私のことが好きだといったのに、浮気してる、ってことなの!?
そう思った私は男性に、一体どう言うつもりなのか聞くために、再び彼の腕を掴もうとしたけど、私が腕を掴む前に
「すみません。彼女が来たので失礼しますね」
と言って、サッとその場を後にしてしまったわ。
あり得ない.....私という存在がありながら他の女と立ち去るなんて......。
こんな屈辱、味わったことがないわ。
歯をギリギリと噛みしめながら男性を見たけど、既にあちらは2人の世界に入り込んでいるらしく、一度も振り返ることはなかった。
15
お気に入りに追加
4,208
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う
鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの!
お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ
お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。
とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。
この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。
婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。
レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。
知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。
私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。
そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。
お前は名前だけの婚約者だ、と言われたけれど、おかげで幸せになりました。
あお
恋愛
厳しい選考会を経て第一王子の婚約者に選ばれた侯爵家令嬢シェリアーナ。
王宮での顔合わせの日、王子はお気に入りの侍女を抱きながら、
「お前は名前だけの婚約者だ。愛する人はイリアだけ。俺たちの邪魔をするな」
と言った。
隣国で大活躍中につき、婚約破棄してきた王子様にはもう会いません!
昼から山猫
恋愛
【祖国から要らないと言われた私、隣国では超引っ張りだこなんです」】
子爵令嬢フィオナは、王子アレクセイに「才能なし」と決めつけられ、婚約破棄。嫌気が差して隣国ラウフェンへ行き、のんびり過ごすつもりが、たまたま魔法オペラ劇団の楽屋トラブルに遭遇。彼女は舞台裏の整理や演出スケジュールをササッと把握し、混乱を収めてしまう。
実は王宮で礼法や舞踏を学んでいた彼女の経験が、劇場運営にぴったりハマったのだ。劇団から「ぜひ演出助手をやってほしい」とオファーされ、フィオナは試しにやってみると、次々と劇を成功に導き、観客も劇団員も感謝しきり。
いつしかラウフェン中に「魔法オペラを成功させる立役者がいる」と話題が広がり、貴族社会からも「劇場改革を手伝って」と大勢の依頼が舞い込む。フィオナは連日舞台裏で大忙しだが、感謝される喜びに満たされ、毎日が輝いていた。
祖国はアレクセイ王子が失敗続きで苦境に陥り、「あのフィオナがいれば…」と呼び戻しを試みる。だが劇団やラウフェン貴族らが口をそろえて「彼女は我が国に欠かせない」と拒否。フィオナも「申し訳ありませんが、もうそちらで働く気はありません」と一蹴する。
王子が必死に“お詫び”の書簡を送っても、フィオナは「舞台の本番が迫っているので忙しくて」と相手にしない。祖国の苦しみなど、今の彼女には関係ない話だ。
こうして、祖国で「無能」と言われた彼女は、隣国で新しい道を切り開き、人々の拍手と喝采を受ける立場になった。婚約破棄も悪くない――そんな開き直りさえ感じるほど、フィオナの充実した日々は続いていく。
双子の妹は私から全てを奪う予定でいたらしい
佐倉ミズキ
恋愛
双子の妹リリアナは小さい頃から私のものを奪っていった。
お人形に靴、ドレスにアクセサリー、そして婚約者の侯爵家のエリオットまで…。
しかし、私がやっと結婚を決めたとき、リリアナは激怒した。
「どういうことなのこれは!」
そう、私の新しい婚約者は……。
知らない人に「お前とは婚約破棄をする」と言われました。私の婚約者は貴方じゃありません。
あお
恋愛
エリスが学園のカフェテラスで人を待っていたら、見知らぬ男女がやってきて。
「お前と婚約破棄して、ユリアと結婚する。もう決めた事だ。ヴェラー伯爵には話をつけてある。ユリアを妻として、俺が婿養子に入るって事をな」
と婚約破棄を宣言した。
誰かとお間違えでないですか?
いや、でも女の方、面影があるわ。
お母様が亡くなった後、喪が明ける前に元父が連れ込んだ愛人の子。
ヴェラー家とは縁を切ったはずなのに、これはなんの嫌がらせかしら。
私は、アウリーデ公爵令嬢。
あなた達、こんな公衆の面前で、公爵令嬢を侮辱して、ただで済むとは思わないことね。
遅れてやって来たエリスの婚約者ルイス。
エリスを完璧にエスコートしながら、エリスに喧嘩を売った二人に格の違いを見せつけつつ誤解を解いていく。
元実家のトラブルに巻き込まれたエリスと、彼女の婚約者ルイス。愚かなお猿さんたちの話。
全7話完結。予約投稿済です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる