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217話
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一応、足が腫れてしまった原因が発覚した、ということで安堵していると、話を聞いていたレオンハルト様が
「でもあれって、夫人がセリスティア様の補助もせずに馬車から降りるのを眺めていたから起こったことですよね」
そう言った瞬間、一瞬ではありましたが部屋の中の空気が凍りついたのがわかりましたわね。
いや、確かにその通りではありますし、あれがなかったら私が足を捻ってしまうこともなかったんですのよ。
ただ、まさかここまでハッキリと伯母様に言うことは想定外でしたわ。
伯母様もレオンハルト様に言われてから確かにその通りだ、と思ったらしく動きを止めて固まってしまっています。
私は、というと重たくなってしまった空気をどうにかしようと苦笑しているレオンハルト様に
「れ、レオンハルト様、あれは私のミスで起こったことですわよ?」
視線でこれ以上何も言わないように、と訴えながらそう言いましたが、私の想いは伝わらなかったみたいで
「そうかもしれないけど、元々はドレスを着て馬車から飛び降りる、なんてことをしなければ起こらなかったことです。夫人もいずれは同じことになる可能性があるんですから控えた方が良いですよ」
レオンハルト様は容赦なく伯母様にそう言いましたわ。
ただ、話を聞いていて思いましたがレオンハルト様は怒って伯母様に文句を言っているわけではなさそうですわね。
だって、もし伯母様に苛立ちを感じてこのような発言をしているのであれば、最後の方に同じことになるので控えた方が良い、なんて言葉を付けないはずですもの。
流石の伯母様もそれには気付いたみたいで、レオンハルト様に注意された、という事実には恥ずかしそうに、ふんっ、とそっぽを向いていましたが、
「言うようになったじゃない」
と言ったときの伯母様の表情はどこか嬉しそうにしていました。
レオンハルト様が幼い頃から家同士の付き合いがる、と言っていましたしね。
きっと伯母様としては、レオンハルト様はもう1人の息子のような存在なんでしょう。
そう考えるとこのやり取りがなんだか微笑ましく見えて、思わず頬を緩ませていると
「でも、言われてみると確かにあれは私も悪いところがあったわ。セリスティアはもう二度と真似をしてはいけないわよ」
と急に伯母様に話を振られて、驚いてしまいましたわ。
何とか反射的に
「は、はい」
と返事はできましたが、2人で話をしていたのに急に私の方を向かれると驚きますわよね。
まぁ、ずっと話しかけられないのも除け者扱いされているみたいで悲しくなりますが....。
なんて思っていると、話しがひと段落ついた、ということで、伯母様が大きく息を吐いたかと思ったら
「さて、話を変えるわね」
と言って、ニッコリと笑顔でこう言いましたわ。
「パーティーはどうだったかしら?会場から出ている時間が長かったからあまり把握できなかったのよね」
確かに探しても伯母様の姿がありませんでしたが、本当に会場の中にはいなかったんですのね。
多分ですが陛下や王妃たちも別室の方にいるんでしょう。
どうりで会場の中に王族の姿が見当たらないわけですわ。
「でもあれって、夫人がセリスティア様の補助もせずに馬車から降りるのを眺めていたから起こったことですよね」
そう言った瞬間、一瞬ではありましたが部屋の中の空気が凍りついたのがわかりましたわね。
いや、確かにその通りではありますし、あれがなかったら私が足を捻ってしまうこともなかったんですのよ。
ただ、まさかここまでハッキリと伯母様に言うことは想定外でしたわ。
伯母様もレオンハルト様に言われてから確かにその通りだ、と思ったらしく動きを止めて固まってしまっています。
私は、というと重たくなってしまった空気をどうにかしようと苦笑しているレオンハルト様に
「れ、レオンハルト様、あれは私のミスで起こったことですわよ?」
視線でこれ以上何も言わないように、と訴えながらそう言いましたが、私の想いは伝わらなかったみたいで
「そうかもしれないけど、元々はドレスを着て馬車から飛び降りる、なんてことをしなければ起こらなかったことです。夫人もいずれは同じことになる可能性があるんですから控えた方が良いですよ」
レオンハルト様は容赦なく伯母様にそう言いましたわ。
ただ、話を聞いていて思いましたがレオンハルト様は怒って伯母様に文句を言っているわけではなさそうですわね。
だって、もし伯母様に苛立ちを感じてこのような発言をしているのであれば、最後の方に同じことになるので控えた方が良い、なんて言葉を付けないはずですもの。
流石の伯母様もそれには気付いたみたいで、レオンハルト様に注意された、という事実には恥ずかしそうに、ふんっ、とそっぽを向いていましたが、
「言うようになったじゃない」
と言ったときの伯母様の表情はどこか嬉しそうにしていました。
レオンハルト様が幼い頃から家同士の付き合いがる、と言っていましたしね。
きっと伯母様としては、レオンハルト様はもう1人の息子のような存在なんでしょう。
そう考えるとこのやり取りがなんだか微笑ましく見えて、思わず頬を緩ませていると
「でも、言われてみると確かにあれは私も悪いところがあったわ。セリスティアはもう二度と真似をしてはいけないわよ」
と急に伯母様に話を振られて、驚いてしまいましたわ。
何とか反射的に
「は、はい」
と返事はできましたが、2人で話をしていたのに急に私の方を向かれると驚きますわよね。
まぁ、ずっと話しかけられないのも除け者扱いされているみたいで悲しくなりますが....。
なんて思っていると、話しがひと段落ついた、ということで、伯母様が大きく息を吐いたかと思ったら
「さて、話を変えるわね」
と言って、ニッコリと笑顔でこう言いましたわ。
「パーティーはどうだったかしら?会場から出ている時間が長かったからあまり把握できなかったのよね」
確かに探しても伯母様の姿がありませんでしたが、本当に会場の中にはいなかったんですのね。
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どうりで会場の中に王族の姿が見当たらないわけですわ。
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