上 下
217 / 344

217話

しおりを挟む
一応、足が腫れてしまった原因が発覚した、ということで安堵していると、話を聞いていたレオンハルト様が

「でもあれって、夫人がセリスティア様の補助もせずに馬車から降りるのを眺めていたから起こったことですよね」

そう言った瞬間、一瞬ではありましたが部屋の中の空気が凍りついたのがわかりましたわね。

いや、確かにその通りではありますし、あれがなかったら私が足を捻ってしまうこともなかったんですのよ。

ただ、まさかここまでハッキリと伯母様に言うことは想定外でしたわ。

伯母様もレオンハルト様に言われてから確かにその通りだ、と思ったらしく動きを止めて固まってしまっています。

私は、というと重たくなってしまった空気をどうにかしようと苦笑しているレオンハルト様に

「れ、レオンハルト様、あれは私のミスで起こったことですわよ?」

視線でこれ以上何も言わないように、と訴えながらそう言いましたが、私の想いは伝わらなかったみたいで

「そうかもしれないけど、元々はドレスを着て馬車から飛び降りる、なんてことをしなければ起こらなかったことです。夫人もいずれは同じことになる可能性があるんですから控えた方が良いですよ」

レオンハルト様は容赦なく伯母様にそう言いましたわ。

ただ、話を聞いていて思いましたがレオンハルト様は怒って伯母様に文句を言っているわけではなさそうですわね。

だって、もし伯母様に苛立ちを感じてこのような発言をしているのであれば、最後の方に同じことになるので控えた方が良い、なんて言葉を付けないはずですもの。

流石の伯母様もそれには気付いたみたいで、レオンハルト様に注意された、という事実には恥ずかしそうに、ふんっ、とそっぽを向いていましたが、

「言うようになったじゃない」

と言ったときの伯母様の表情はどこか嬉しそうにしていました。

レオンハルト様が幼い頃から家同士の付き合いがる、と言っていましたしね。

きっと伯母様としては、レオンハルト様はもう1人の息子のような存在なんでしょう。

そう考えるとこのやり取りがなんだか微笑ましく見えて、思わず頬を緩ませていると

「でも、言われてみると確かにあれは私も悪いところがあったわ。セリスティアはもう二度と真似をしてはいけないわよ」

と急に伯母様に話を振られて、驚いてしまいましたわ。

何とか反射的に

「は、はい」

と返事はできましたが、2人で話をしていたのに急に私の方を向かれると驚きますわよね。

まぁ、ずっと話しかけられないのも除け者扱いされているみたいで悲しくなりますが....。

なんて思っていると、話しがひと段落ついた、ということで、伯母様が大きく息を吐いたかと思ったら

「さて、話を変えるわね」

と言って、ニッコリと笑顔でこう言いましたわ。

「パーティーはどうだったかしら?会場から出ている時間が長かったからあまり把握できなかったのよね」

確かに探しても伯母様の姿がありませんでしたが、本当に会場の中にはいなかったんですのね。

多分ですが陛下や王妃たちも別室の方にいるんでしょう。

どうりで会場の中に王族の姿が見当たらないわけですわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は父の遺言により誕生日前日に廃嫡されました。

夢見 歩
ファンタジー
日が暮れ月が昇り始める頃、 自分の姿をガラスに写しながら静かに 父の帰りを待つひとりの令嬢がいた。 リリアーヌ・プルメリア。 雪のように白くきめ細かい肌に 紺色で癖のない綺麗な髪を持ち、 ペリドットのような美しい瞳を持つ 公爵家の長女である。 この物語は 望まぬ再婚を強制された公爵家の当主と 長女による生死をかけた大逆転劇である。 ━━━━━━━━━━━━━━━ ⚠︎ 義母と義妹はクズな性格ですが、上には上がいるものです。 ⚠︎ 国をも巻き込んだ超どんでん返しストーリーを作者は狙っています。(初投稿のくせに)

義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます

富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。 5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。 15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。 初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。 よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 あらまぁ...別に良いんですよ だって、貴方と婚約なんてしたくなかったですし。

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。

『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月

りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。 1話だいたい1500字くらいを想定してます。 1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。 更新は不定期。 完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。 恋愛とファンタジーの中間のような話です。 主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。

婚約破棄ですか? ありがとうございます

安奈
ファンタジー
サイラス・トートン公爵と婚約していた侯爵令嬢のアリッサ・メールバークは、突然、婚約破棄を言われてしまった。 「お前は天才なので、一緒に居ると私が霞んでしまう。お前とは今日限りで婚約破棄だ!」 「左様でございますか。残念ですが、仕方ありません……」 アリッサは彼の婚約破棄を受け入れるのだった。強制的ではあったが……。 その後、フリーになった彼女は何人もの貴族から求愛されることになる。元々、アリッサは非常にモテていたのだが、サイラスとの婚約が決まっていた為に周囲が遠慮していただけだった。 また、サイラス自体も彼女への愛を再認識して迫ってくるが……。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

処理中です...