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179話

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そんなことを思いながらも、レオンハルト様とブレイド、ティファー様の4人で話をしている間に会場に入る順番がきましたわ。

伯爵までは数組のペアで入っていく流れなんですが、侯爵からは1組のペアずつ会場の中に入っていくので注目度が全く違うんですのよね。

はぁ.....今入っていった大勢の貴族達から見られる、と考えると少し気分が悪くなってしまいますわ。

なんて思っていると、レオンハルト様が私のちょっとした変化に気付いてくれたみたいで

「緊張するよね?大丈夫?」

と聞いてくれましたわ。

まぁ、これには流石に、無理です、なんて言えないので

「えぇ、大丈夫ですわ」

と答えましたが........大丈夫なんでしょうか?

もちろん、大人数の前で転ぶのはあり得ないですし....緊張している中、笑顔でいないといけませんわ。

レオンハルト様のエスコートなので特別変な感じにはならないと思ってはいますが、顔が強張ってしまって上手く笑えるか、心配になりますわね。

そう思いながら、とりあえず上手く笑えるように、と頬を空いている手で柔らかくしていると

「じゃあ、行きましょうか」

というレオンハルト様の声が聞こえてきましたわ。

行きましょうか、ということは会場の中に入りますのよね。

つ、つまりは、いわゆる戦場の中に入っていくようなもので.......。

大丈夫ですわよね?

上手く笑って転ばないように歩くだけですわ。

自分に言い聞かせるように心の中で、何度も何度も大丈夫だ、と念じていると、そんな私に気付いたレオンハルト様
はクスッと笑ってこう言いましたの。

「大丈夫、セリスティア様は普段通りに歩いているだけで十分綺麗だから」

レオンハルト様から言われたのは、たったこれだけなのに、なぜか不安が一気に消え去りましたわ。

まぁ......歩いているだけで綺麗、というのはお世辞だと思いますけどね。

なんて思いながら、正面を向いているレオンハルト様に

「ありがとうございます」

とお礼を言いました。

ー------------

扉の前に立つ男性に名前を呼ばれて扉の前に立つと、緊張感が一気に増したような気がしますわ。

なんといいますか.....パーティー特有の雰囲気で、中では貴族同士の腹の探り合いが行われているので、少しピリついた空気になっていますのよね。

これは国が違っても変わらない、ということがわかって少しホッとしましたわ。

「レオンハルト・ナーグリア公爵子息とその婚約者、セリスティア・リンプトン侯爵の入場です」

という男性の声と共に会場の中に入っていきましたが........これには思わず

「え?私って侯爵と呼ばれるんですの!?」

会場の中にいた人たちが見ているにも関わらず気になってレオンハルト様に聞いてしまいましたわ。

まさかそう呼ばれるとは思ってもいませんでしたし.....何よりも私の年齢で侯爵という爵位を持っている、という事実に会場中が騒がしくなっていますのよ。

「侯爵ですって.....」

「でもご両親は......」

という話し声が色んな所から聞こえてきていますわ。

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