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162話

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えーっと......一応、私の回答は正しかった、と言うことで良いんでしょうか?

ジャミン様は先ほどから何かを考え込むように黙り込んでしまいましたし、その間にも伯母様達は

「確かに強気で行くのは良いかもしれないわね」

「私も次期王妃だと決まった時は、強気でいたら何も言われなくなったわ」

と楽しそうにお話をしています。

まぁ、その隣では陛下が2人の話を聞いて驚いているみたいですけどね。

まさか自分の知らないところで令嬢同士のそのような争いがあったとは、という感じなんでしょう。

ただ、令嬢たちとの戦いに勝った伯母様達が良いと言っているんですから、正しい回答だったんですのよね?

そう思ってジャミン様を見ると、丁度そのタイミングで考えが終わったのかパッと顔を上げたかと思ったら、レオンハルト様の方を見て短くこう言いましたの。

「レオン、お前バカなのか?」

これには思わず

「え?」

と間抜けな声を出しそうになりましたが、グッと堪えましたわよ。

だって、私が驚いている隣でレオンハルト様が

「え?ど、どうして?」

と驚いた顔をして首を傾げているんですもの。

2人が同時に同じような反応をしていたら......それもそれで面白いですけど、少しうざったいですわよね。

なんて思いながら、私もなぜジャミン様そのようなことを言ったのか気になって視線を向けると

「この国の令嬢たちの性格を知っているだろう?それなのに、こんなに喧嘩を売るような言葉を言って.......逆に逆恨みにあってしまう可能性だってある」

そう言ったジャミン様は、可能性がある、と言ったものの、そうなる、と確信しているような気がしますわ。

だって、しっかりと顔を見ると自信のある顔をしていますもの。

ただ、そうなると令嬢たちに対して何も対処が出来ませんわよ?

流石に無視することも出来ないでしょうし.......。

レオンハルト様も私と同じことを思ったらしく、不思議そうな顔をしながら

「だったらジャミンはどうやって言い返すの?」

と質問していますわね。

伯母様と王妃様なんて

「そうよ。売られた喧嘩は買わないと、なめられて終わるわよ」

と言いながら大きく頷いていますわよ。

まぁ、それほど令嬢たちに絡まれやすい立場にいた、ということなんでしょうけど.....。

今までの私の婚約者たちで、ここまで人気があって沢山の令嬢に狙われている、という人はいませんでしたからね。

正直、全く想像が出来ませんわ。

なんて思っていると、ジャミン様は、はぁ.....と小さくため息をついた後に

「レオンを狙う女たちのあの目を皆も知っていますよね?あんなのに1人で言い返せって言うのは流石に無理な話だと思いますよ」

そう言うと、伯母様達も思い当たることがあるんでしょう。

「そ、それは......」

「でも婚約者はセリスティアだし......ねぇ?」

とは言っていますが、さっきまでの自信満々の顔とは一変して、都合の悪そうな顔をして視線を逸らしていますわ。

えっと?それほど令嬢たちが怖いということなんでしょうか?

え?それって大丈夫ですの?

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