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144話

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次の日。

今日はこの国の陛下達と話をする、ということで朝からバタバタと準備をしていますが......

「ね、ねぇ?ここまできつくコルセットを巻く必要はあるの?」

下着の上から一生懸命コルセットを縛り上げているユーリに尋ねると

「当たり前ですよ!だって、陛下ですよ?しかも隣国の陛下となんて普通に生活をしていたら絶対に関わることが出来ませんし、最初で最後の機会なんです!だったら綺麗な姿を見せたいじゃないですか!」

満面の笑みでそう言ったユーリは、既に締め上げ切ったはずのコルセットを再びギュッときつく締めあげましたわ。

おかげでコルセットで殺されてしまうのでは?と思う程苦しい状況なんですが.......も、もしかしてユーリは私に対して何か恨みでも持っていますの?

そうじゃなければここまで思いっきり締め上げることはできませんわよね!?

なんて思いながら、もうされるがままの状態で、着付けが終わるのを待ちましたわ。

う........ですが、やっぱりコルセットが締まりすぎですわね。

このままだと座ることすら出来なくなってしまいますし、何より呼吸がしにくいですわ。

そんなことを思いながら、下着の上に着るドレスを選んでいるユーリの後ろ姿を眺めていますが.....気のせいでしょうか?

少し視界が白っぽくなってきたような........。

あ、もしかして、これは結構マズいやつじゃないでしょうか?

そう思った次の瞬間でしたわ。

急に部屋の扉がバンっと開いたと思ったら

「ユーリ、これを忘れたら準備が終わらないでしょう」

と苦笑しながらミリアが部屋に入ってきましたわね。

手には、数個の髪飾りを持っていてどれも高級そうな、綺麗な装飾が........って、本当にそれどころじゃないですわね。

流石にそろそろ限界が近いですわ。

なんて思っていると、そんな私の想いが伝わったのか、ミリアとパッチリ目が合いましたわね。

そして、私の顔を見た瞬間ミリアは急に顔を強張らせて

「ちょっとユーリ!流石にこれはやりすぎよ!」

そう言うと、素早く締め上げられていたコルセットの紐を解いて、私を近くの椅子に座らせてくれましたわ。

これには流石の私も無意識に

「た、助かった..........」

と呟いてしまいましたわよ。

だって、本当に危なかったですしね。

いや、だったら自分で解いたら良かったのでは?と思うかもしれませんが、まともな呼吸が出来ていなかったこともあって、手が痺れていましたし、まともに動かすことが出来なかったんですのよね。

ふぅ.......なので、ミリアが来ていなかったら陛下にお会いする、どころではなくなってしまう可能性がありました。

本当に感謝ですわ。

そう思いながらミリアの方を見ると、

「貴方は自分の主人を殺すつもりなの!?」

とユーリの大激怒しているのが視界に入ってきましたわね。

当の本人であるユーリは、まさかそれほどまでに私がつらい思いをしているとは思っていなかったみたいで驚いているみたいですが.......。

私も、これ以上は流石に勘弁して欲しい、とお願いしたらよかったですわね。

それだけは反省ですわ。

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