上 下
122 / 344

121話

しおりを挟む
伯母様と一緒に執務室から出た私たちは、とりあえず.....ということで、応接室へと移動をしましたわ。

というのも、温室でも良かったんですが、今から少しずつ冷えてくる時間になってきたので、室内の方が良いだろう、と伯母様が言ってくれましたの。

それに、さっきレオンハルト様が帰ったばかりなので、まだ片付けも終わっていないでしょうしね。

そもそも、片付けたばかりの場所に行く、というのも申し訳ないですし、それらも全て考えての伯母様の判断だと思っていますわ。

あ、ちなみに仕事の邪魔になるから、と伯母様は言いましたが、伯父様は少し寂しそうに

「べ、別にここで話していても良いんだぞ?」

と言っていましたわね。

それを見ていると、伯父様は寂しがり屋さんなんでしょう。

なんて思いながら、ユーリにお茶を用意してもらって、伯母様と私、それぞれ正面座ると、早速伯母様が話を進めてくれましたわ。

「さて、じゃあ早速だけど伯爵の件について、ね」

と言った伯母様に

「はい。えっと.....どうなったんでしょうか.........?」

恐る恐るではありましたが、結論が気になるので息をのんで尋ねると、そんな私の様子をみて伯母様は面白そうに笑いだしましたわ。

物凄く緊張しながら尋ねたのに、伯母様があまりにも面白そうに笑って来るものですからなんとなく恥ずかしくなりましたわよ。

そ、そんなに笑ってしまうような顔でもしていたんでしょうか?

そう思った私は、何か言おうと伯母様のことを見ましたが、なかなか言葉が出て来なくて黙り込んでしまいましたわ。

すると、伯母様は

「そんな、深刻そうな顔をして聞くような内容でもないわよ」

ニッコリと柔らかな笑みを浮かべたので、なんだかホッとしましたわよ。

それに、深刻そうな顔って.....そんな顔をしていたんでしょうか?

確かに緊張はしていましたが、本当に無意識ですし

「え......?でも、話を聞いた時の伯母様の顔があまりにも笑っていなかったですし.........」

あの時の伯母様の表情が忘れられず、つい思ったことをそのまま言うと

「あら?本当?まぁ、あの時は相当怒っていたからね」

と伯母様はいたずらっ子のように二ッと笑ってきましたわ。

ま、まぁ........とりあえずあの時は、ということなので、今は怒っていない、ということですわよね?

それが聞けただけでも少しホッとしましたわ。

だって、一番恐れていたようなことにはならなさそうですもの。

そう思いながら、伯母様に

「そ、それで、伯爵はどうなったんですの?」

とりあえず、どうなったのか、は聞いていなかったので率直にそう尋ねると

「簡単な話よ。これ以上セリスティアに無礼なことをするのであれば、我が家は縁を切る、ということと、セリスティアの立場を教えてあげたのよ。隣国の令嬢ではなく侯爵だ、とね」

伯母様はそう言って、面白そうな顔をして笑いましたわね。

きっと、私のことについて話をした時に見た、伯爵の反応でも思い出しているんでしょうか?

まぁ......その様子だと相当面白いものを見れたでしょうし、私としてもホッとした?ような気がしますわ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は父の遺言により誕生日前日に廃嫡されました。

夢見 歩
ファンタジー
日が暮れ月が昇り始める頃、 自分の姿をガラスに写しながら静かに 父の帰りを待つひとりの令嬢がいた。 リリアーヌ・プルメリア。 雪のように白くきめ細かい肌に 紺色で癖のない綺麗な髪を持ち、 ペリドットのような美しい瞳を持つ 公爵家の長女である。 この物語は 望まぬ再婚を強制された公爵家の当主と 長女による生死をかけた大逆転劇である。 ━━━━━━━━━━━━━━━ ⚠︎ 義母と義妹はクズな性格ですが、上には上がいるものです。 ⚠︎ 国をも巻き込んだ超どんでん返しストーリーを作者は狙っています。(初投稿のくせに)

義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます

富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。 5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。 15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。 初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。 よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 あらまぁ...別に良いんですよ だって、貴方と婚約なんてしたくなかったですし。

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。

『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月

りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。 1話だいたい1500字くらいを想定してます。 1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。 更新は不定期。 完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。 恋愛とファンタジーの中間のような話です。 主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。

婚約破棄ですか? ありがとうございます

安奈
ファンタジー
サイラス・トートン公爵と婚約していた侯爵令嬢のアリッサ・メールバークは、突然、婚約破棄を言われてしまった。 「お前は天才なので、一緒に居ると私が霞んでしまう。お前とは今日限りで婚約破棄だ!」 「左様でございますか。残念ですが、仕方ありません……」 アリッサは彼の婚約破棄を受け入れるのだった。強制的ではあったが……。 その後、フリーになった彼女は何人もの貴族から求愛されることになる。元々、アリッサは非常にモテていたのだが、サイラスとの婚約が決まっていた為に周囲が遠慮していただけだった。 また、サイラス自体も彼女への愛を再認識して迫ってくるが……。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

処理中です...