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110話

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聞いたことのない令嬢との婚約。

しかもそれが国の中でも人気の子息だったら当然気になりますわよね。

そう考えると私よりもレオンハルト様の方が大変な思いをしているんじゃないでしょうか?

だって、学園に行くたびに色んな子息令嬢たちから

「婚約者ってどのような人か」

と聞かれますのよ?

私が同じことをされたら、最初は丁寧に答えるでしょうけど、最終的にパーティーで会えばわかりますわ、と答えて終わらせてしまいますわ。

ですがレオンハルト様がそのようなことをするとは思えませんし.......。

なんだか急に婚約したことに申し訳なく感じてきましたわ。

そんな私に、気を遣ってなのかわかりませんが、レオンハルト様は

「あぁ、ところでセリスティア様のことで変な噂が流れているんだけど........」

と話を逸らしてくれましたわね。

いや....もしかしたら話を逸らしたなどではなく純粋に気になっただけ、かもしれませんけどね。

それにしても

「変な噂、ですか?」

なんだか嫌な予感がするといいますか.......。

似たようなことが割と最近起こったのでどうしても身構えてしまいますわよね。

なんて思いながら、レオンハルト様の発言を待っていると

「婚約者がいるブレイド様の家に入り浸って、誑かしている、という噂を耳にして........」

と思った通りのことを言ってきたので、思わず

「あぁー.....前に同じような噂のせいでティファー様にも勘違いをされましたわ。当然ですが違いますわ」

即答で遮るように反応してしまいましたわよ。

はぁ........ティファー様なんて私のことを本気で殴りに来ていましたからね。

このような噂を流している人はどこの誰なのかわかりませんが、まさかレオンハルト様にまで噂が伝わるとは思いませんでしたし、そもそもこの噂はすでに消えているものと思っていましたわよ。

.....ということは、ブレイドもティファー様も私に何も言ってこないだけで、いまだにこの噂に悩まされていますのね。

これにはため息をつかずにはいられないですわ。

やっぱり期間を速めて家に帰った方が皆の為にもいいんじゃないでしょうか?

なんて思っていると、そんな私の様子にレオンハルト様は慌てたように

「僕としても違うことはわかっているから2人は従兄弟だと否定してはいるんだけど、噂が噂なだけに婚約の話も広がっている気がするんだよね」

そう言って苦笑しましたわ。

人気者のレオンハルト様と婚約したのが噂の令嬢、ということですものね。

そりゃあ、国の貴族....いや、令嬢たちにとって面白くはありませんわよね。

そう思った私は思わず

「何かパーティーとか、この国の貴族たちと関わることがあれば、どうにかなるんでしょうけどね」

と呟いてしまいましたわ。

正直、パーティーがあったとしても、私が参加できるのか、と聞かれると微妙なところですけどね。

ですが、私のことをしっかりと見てくれれば、口で説明するより、噂は違うんだ、と理解してもらえる自信がありますわ。

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