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89話
しおりを挟むレオンハルト様との顔合わせから、一夜明けましたわ。
ということで、今日は家庭教師の日ですわね。
前回リーシャ様も一緒に3人で勉強することが出来た、ということで、今日も引き続きカティ様にお手本を見せてもらいながら、教えていきたいと思っていますわ。
あ、ですが、しっかりとカティ様にも新しいことを教えないといけないので、そこはメリハリをつけて行かないといけませんわね。
なんて思いながらユーリにいつも通りヘアメイクをお願いしていると、コンコンという控えめなノックの後に
「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
というミリアの声が聞こえてきましたわね。
こんなに早い時間から、何かあったんでしょうか?
あ、私としてはもちろんミリアとお話が出来るので嬉しいですわよ?
なんて思いながら、ユーリに扉を開ける様に指示しましたわ。
うーん......伯父様か、伯母様からの伝言か何かでしょうか?
ですが、その割には何やら真剣な顔をして部屋に入ってきましたわね。
もしかして、相当重要な伝言.....いや、伯父様達だったら自分で言いに来ますものね。
なんて思いながら、真剣な顔をしているミリアに
「急にどうしましたの?ミリアがこんな時間に来るのは珍しいですわね」
と首を傾げながら尋ねると、
「すみません。少し急ぎで伝えておいた方が良いかな、と思いまして......」
ミリアはそう言って、懐から一枚の封筒を取り出しましたわ。
家紋は....ついていないので、誰からなのかわかりませんが、ミリアが持ってきた、ということはあっちの国の誰かからですわよね?
ただ、一体誰からの手紙なのかは見当がつきませんが......。
そう思いながら、ミリアから封筒を受け取ると、そんな私の疑問に気付いたのか
「母から、手紙が届いたんですが、お嬢様に渡すように、とのことです」
と教えてくれましたわ。
ミリアの母から、ということは
「まぁ!メイド長から?家の方で何かあったのかしら.........」
少し不安ですわね。
私が居なくなってしまったことで、家の方では相当自由にしているでしょうし、メイド長達も追いかけてくるように、と話をしたのに一向に連絡がなかったので、気にはなっていましたのよ。
「私も今封を開けたばかりなので内容はわかりませんが.......」
と少し申し訳なさそうにしているミリアに
「いいのよ。自分で確認するわ」
とは言ったものの、まぁ、一般的に従者が確認してから手紙を空けますわよね。
ただ、今は状況が状況ですし、私以外の人に知られたくない内容だってあるかもしれません。
そもそも、メイド長がわざわざ私に別で手紙を書いた、ということ時点で何かはあったはずですのよ。
なんて思っていると、封筒をジッと眺めている私に
「では、私はこれで失礼しますね」
と言ってすぐに部屋から出て行こうとするミリアの背中に
「たまには話をしに来ても良いのよ?」
と声をかけると、小さく頷いていましたわ。
うーん.....きっとミリアの担当している仕事が忙しいんでしょうね。
少し寂しいですが、仕方がありませんわ。
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