上 下
87 / 344

86話 アーリアside

しおりを挟む
セリスティアが家に帰ってこなくなって3か月が経ったわ。

はぁ......あいつが居なくなったせいで、私たちはもうめちゃくちゃよ!

今までは侯爵家の豪華な家でお菓子を食べて、ソファーに居ればいいだけの生活だったのに、なぜかお父様が子爵家に帰れ!っていうものだから、地味な実家に帰らないといけなくなったし、侯爵家は私の物になるってお母様が言っていたのに、そんな話はあり得ないとか......聞いてないわよ!

そもそも、最初は私だってセリスティアと仲良く、良い距離間を保とうとしていたのにお母様が

「あいつがいるせいで、私たちは子爵家なのよ!」

って言ってきたから乗っ取ってやろうとしたのに......お母様が悪いんだわ!

そう思いながら、古い我が家の廊下を歩いてると、

「はぁ......どうすればいいのよ。ドレスの支払いなんて出来ないわ........まだアクセサリーだってあるのに......」

お母様の部屋からそんな声が聞こえてきたわ。

ここ最近、ブツブツと言いながらなんかの紙を眺めているお母様は本当に気持ちが悪いの。

元々化粧が濃いし、香油も付けすぎて、しかも口も臭いからあんまり好きじゃなかったけど、最近のお母様は本当に気持ちが悪いわ。

まぁ、だからと言ってお父様のことも最近は嫌いになってきちゃったんだけどね。

だって、今までは

「お前の好きにしなさい」

って私に言ってきたから、私もお父様の言う通り好きに生きて来たのに、今度は急に

「今すぐに婚約を結んで来い!」

なんて私に言ってきたのよ?

私の年齢だともう相手がいないことだってわかっているのに、おかしいと思わない?

そう言うんだったら、お父様が相手を紹介してくれたら私だってそこそこ頑張るわよね。

なんて思いながら、執務室に向かったわ。

理由は勿論、お父様に独身の子息の情報を聞くため。

まぁ、私って可愛いし、この豊満な体があったらすぐに婚約者が出来ると思うのよね。

セリスティアの婚約者たちは、女性に対する耐性がなかったから、私のような魅力的な令嬢を拒絶してしまっただけで、本気を出したらすぐに出来るわ。

そう思いながら、ノックもせずに執務室の扉を勢いよく開けると、早速お父様に

「お父様、今独身の子息は誰がいるの?」

と聞いてみたわ。

すると、お父様は私の言葉に驚いているのか

「お前......もしかして、貴族と婚約しようとしているのか?」

と目を大きく見開いて聞いてきたわ。

貴族と婚約って....そんなに驚くことじゃないと思うんだけど......なんでお父様はそんな顔をしているのよ。

なんて思いながら

「え?当然じゃない。だって、私は貴族だしこの家を継がないといけないのよ?」

キョトンとしながらそう言うと

「い、いや、まさか貴族を狙うとは思っていなかったから、最悪平民でも良いと思っていたんだが........」

お父様はそう言いながらも、机の中から独身の子息リストを私に渡してきたわ。

全く.....この私が平民と結婚なんてするわけがないわよね。

そもそも、私に婚約の申込みが来ていないこと自体本当はおかしい事だもの。

そう思いながら、お父様にお礼を言って執務室を後にしたわ。

まぁ、3日もあれば婚約者を作るのなんて余裕よね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢は父の遺言により誕生日前日に廃嫡されました。

夢見 歩
ファンタジー
日が暮れ月が昇り始める頃、 自分の姿をガラスに写しながら静かに 父の帰りを待つひとりの令嬢がいた。 リリアーヌ・プルメリア。 雪のように白くきめ細かい肌に 紺色で癖のない綺麗な髪を持ち、 ペリドットのような美しい瞳を持つ 公爵家の長女である。 この物語は 望まぬ再婚を強制された公爵家の当主と 長女による生死をかけた大逆転劇である。 ━━━━━━━━━━━━━━━ ⚠︎ 義母と義妹はクズな性格ですが、上には上がいるものです。 ⚠︎ 国をも巻き込んだ超どんでん返しストーリーを作者は狙っています。(初投稿のくせに)

義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます

富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。 5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。 15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。 初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。 よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

私が聖女になったからって、男と出て行ったあなたが今更母親面しないでください。

木山楽斗
恋愛
父が亡くなってからすぐに、母は男と出て行った。 彼女にとって、私は邪魔でしかない存在だったのである。それはわかっていたため、特に悲しみも湧いてこなかった。 しかしながら、どうやって生きていけばいいかはわからなかった。母の影響で、町の人々からも嫌われていた私は、迫害同然の扱いを受けていたのだ。 そんな私を助けてくれたのは、貴族であるキルスタインさんとラーンディスさんだった。 所用で町を訪れた二人は、私の境遇を見かねてある孤児院に入れてくれたのである。 その孤児院で育った私は、魔法使いの道を進んだ。 幸いにも私は、秀でた才能があった。その才能もあって、私は王国の聖女に選ばれたのだ。 それを聞きつけた母は、私のことを訪ねてきた。 驚くべきことに、彼女は今更母親面してきたのだ。 当然のことながら、私がそんなことを認める訳がなかった。 私は補佐となったキルスタインさんと協力して、母を追い返したのである。

使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。気長に待っててください。月2くらいで更新したいとは思ってます。

婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」 あらまぁ...別に良いんですよ だって、貴方と婚約なんてしたくなかったですし。

『忘れられた公爵家』の令嬢がその美貌を存分に発揮した3ヶ月

りょう。
ファンタジー
貴族達の中で『忘れられた公爵家』と言われるハイトランデ公爵家の娘セスティーナは、とんでもない美貌の持ち主だった。 1話だいたい1500字くらいを想定してます。 1話ごとにスポットが当たる場面が変わります。 更新は不定期。 完成後に完全修正した内容を小説家になろうに投稿予定です。 恋愛とファンタジーの中間のような話です。 主人公ががっつり恋愛をする話ではありませんのでご注意ください。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

婚約破棄ですか? ありがとうございます

安奈
ファンタジー
サイラス・トートン公爵と婚約していた侯爵令嬢のアリッサ・メールバークは、突然、婚約破棄を言われてしまった。 「お前は天才なので、一緒に居ると私が霞んでしまう。お前とは今日限りで婚約破棄だ!」 「左様でございますか。残念ですが、仕方ありません……」 アリッサは彼の婚約破棄を受け入れるのだった。強制的ではあったが……。 その後、フリーになった彼女は何人もの貴族から求愛されることになる。元々、アリッサは非常にモテていたのだが、サイラスとの婚約が決まっていた為に周囲が遠慮していただけだった。 また、サイラス自体も彼女への愛を再認識して迫ってくるが……。

処理中です...