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79話
しおりを挟む伯母様に聞きたいことがあるので早速部屋を出ようと扉に向かいましたが、余程伯母様に直接話をして欲しくないんでしょうね。
ユーリもディアも、私が外に出ないように、としっかり扉をガードしていますわ。
はぁ.....流石にドレスを着たままでは2対1の争いは不利だ、と判断した私は伯母様から直接聞きたかったですが
「どういうこと?」
とさっきの言葉について尋ねると、ユーリもディアも顔を見合わせて少しの間の後に、ぽつりぽつり、と話をしてくれましたわ。
すると、どうやら夫人は、自分のお気に入りのドレスを着たいけど年齢的に無理だ、着ることもなく、でも本当に気に入っているので捨てることが出来ない、という状況でクローゼットに眠らせていたドレスがあったんですって。
ですが、流石に数年間もクローゼットの中にあったので、処分しないと.....と思いながらも躊躇していたところに私が来たらしく、その時にふと思いついたのが、せっかく捨てるんだったらリメイクして私....つまりセリスティアにプレゼントをしたらいいんじゃないかしら?と最近思いたんだとか。
このドレスは、数枚あるお気に入りのドレスの中でも一番のお気に入りなんですって。
つまり、夫人のお下がり、と言っても過言ではないドレス、と言うことですわね。
私としてはそれは嬉しいですわよ。
そのようなドレスを貰って嬉しくない人はいない、と思っているくらいには嬉しいです。
ですが、私で良いのかな?と言うのが気になって仕方ありませんわよね。
だって、アルトの婚約者....ティファー様もいますし、別に私じゃなきゃいけない、ということはないじゃないですか。
この家と関りがあると言っても苗字は違うんですし、だったら公爵夫人になるティファー様に渡した方が良いような気がします。
いや、そんな理由なんかよりも、ここまで良くしてもらってお下がりまで貰えるなんて想定外すぎてまだ頭が追い付いていませんわよ。
貴族の中ではドレスやアクセサリーのお下がり、というのは重要な意味があると聞いたことがありますわ。
私は、その意味がどのようなものなのかわかりませんが、きっと夫人だったら意味も理解して私に渡したはずです。
なんて思っていましたが、2人は
「夫人はお嬢様に来てもらうために相当悩んでデザインを直したんです。なので、ぜひ受け取ってください!」
「私からもお願いしますっ!」
と、本当に心の底からのお願いを私にしてきましたわ。
普段から頭を下げて挨拶をするような立場にありますが、今の2人はその時と比べ物にならないくらい真剣な表情で、流石にこのような姿を見て断ることが出来ない、と思った私は
「わ、わかりましたわ。でも、後でお礼にはいきますわよ?」
小さくため息をついた後にそう言うと、2人とも満面の笑みで
「「わかりました!」」
と返事をしていましたわ。
きっとこの2人のことなので、ここまで必死にお願いするのには何かしらの理由があるんでしょうしね。
お下がりのドレスを貰って、嫌だ、というわけではありませんし、喜んで受け取りましょう。
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