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76話
しおりを挟む公爵家に帰宅後、早速私は部屋に戻って今日使った筆記用具たちを片付けましたわ。
鞄の中にいれたままでもよかったんですが、ペンのインクが零れてしまう可能性があるので、私は手間がかかりますがしっかりと取り出していますの。
あ、そういえば、今日のテストを作るときに伯母様が凄く協力してくれましたのよ。
というのも、私が事前に次の家庭教師の時は2人にテストを受けてもらうつもりだ、と伯母様に言ってみたところ
「良いじゃない!私も協力するわ!」
と言ってくれて、リーシャ様の問題を考えるときは
「これは年齢を考えると難しい」
と言ってくれたり、カティ様の時も
「カティ様くらいの年齢だと応用もやらないと」
なんて言いながら応用問題のお手本なんかも用意してくれて、そのおかげで不備のない綺麗なテストを用意することが出来ましたの。
伯母様には今度改めてお礼をしたいですわよね。
あ、もちろん伯母様以外にもお礼はしないといけませんわ。
一体何が良いんでしょう?
なんて思っていると、コンコンと部屋をノックする音が聞こえてきましたわね。
この時間だと皆起きていますし.......ユーリが着替えを手伝いに来てくれたのかしら?
なんて思いながら、扉に向かって
「はーい」
と声をかけると、ゆっくりと扉が開いて
「お嬢様、公爵様が執務室でお呼びです」
というミリアが立っていましたわ。
「わかったわ。ありがとう」
そう言って流れる様に部屋から出ましたが、なんだか久しぶりにミリアのことを見たような気がしますわ。
ディアは、たまに会うことがありますがミリアは滅多に会うことがないので、どこにいるのか気になっていましたのよ。
と言っても、ミリアに会ったところで何かをするわけではないんですけどね?
なんて思いながら、私の少し後ろを歩くミリアに
「なんだか久しぶりね」
と話しかけましたわ。
な、なんでしょう?
今まで普通に話をしていたはずなのに、なぜかミリアに話しかけるのに緊張しましたわ。
それほど会っていなかった、ということなんでしょうか?
なんて思いましたが、ミリアは今まで通りに
「そうですね。自然な流れでこの家でもユーリが専属メイドになったので、私達は他のことをやっているんですよ」
な、なんだかサラッと言いましたが、私が聞いていないことを言いましたよね?
え?ユーリはここでも私の専属メイド、と言うことになっていますの?
確かに朝の準備は必ずユーリですし、何かあったらユーリが近くにいますが.......専属は聞いていませんわ。
なんて思っていると、私が思っていることが伝わったんでしょうね。
ミリアは
「あれ?ユーリに説明しておくように言ったはずなんですが.....」
と険しい顔をし始めたので、咄嗟に
「ま、まぁ、忘れていたんだろうね」
とだけ言っておきましたわ。
ほら、ミリアってこう見えて怒ると怖いので有名なのよ。
私も怒られたことがあるけど、絶対に怒らせたらダメな人だ、と思って注意していますの。
噂によるとメイド長も相当怖いらしいですが......ミリアのお母様なのが納得ですわよね。
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