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72話

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小テスト、という言葉が気になるのか、リーシャ様の体がほんの一瞬ピクッと動きましたわね。

もしかして、テストを受けてみたい、とかでしょうか?

.....いや、ですが前回テストがー...と話をしたときに相当嫌がっていたので2日くらいでは気が変わりませんわよね。

そう考えるとやっぱり、テストを受けましょう、という話をするのは違う気がします。

なので私は、にこやかな笑みはそのままで

「リーシャ様も小テストを受けます?それとも、テストなんかより勉強をしたいかしら?」

なるべく優しい声色でそう尋ねましたわ。

私としてはどっちかでも、頷いてくれると嬉しい....というのが本音なんですが.......。

そう簡単にいかないこともよくわかっていますわ。

なので、また前回のようにならないだけ私としては良いと思っていますが.....。

そう思いながらリーシャ様の様子を窺っていると、私の心配もよそにリーシャ様は

「.....両方嫌ですわ」

淡々とそう言ってきましたわ。

とりあえずはホッとしました。

ただ、ここからが勝負、ですわよね。

そう思った私は、ふぅ.....と大きく息を吸って、リーシャ様にこう言いました。

「それは、カティ様と比べられてしまうから、ですか?」

この話はティファー様から聞いた話なので、本当にこれが原因なのか、はわかりませんわ。

ただ、あのパーティーの時にあったこと、というのがこれだったので、何かしらの影響はあったんじゃないか、というのが私の考えなんですが.....。

リーシャ様がどのような反応をするのかわからなかったので、恐る恐ると様子を見ながら

「聞きましたわ。伯爵がパーティーでカティ様の婚約者を探すために、リーシャ様のことを下げて、必死にカティ様のことを上げていた、と」

と言葉を続けた私に、リーシャ様はこれまた淡々と

「でも、お父様の言う通りですわ。私は勉強も出来ないですし、マナーもわかりませんもの」

そう言いましたわ。

ただ、そう言ったときの表情は本当に微妙にではありますが、眉が下がったのを見逃していませんわよ。

きっとリーシャ様だって実の父親にそのようなことを言われて悲しかったと思います。

それに反対しなかったカティ様のことも。

ですが、だからと言ってリーシャ様の言っていることは頷くことが出来ませんわ。

そう思いながら、リーシャ様に

「勉強が出来ないのは学び方がわからないから。マナーがわからないのは、まだ学んでいないから。だからリーシャ様には私がしっかりと勉強もマナーも教えて差し上げますわ」

と言いましたわ。

こんなことを言われたのは初めてなのか、リーシャ様は私の言葉に相当驚いた顔をしていますが、間違ったことは言っていませんわよね?

だって、私の家庭教師だった先生も同じことを言っていましたもの。

その証拠に、私は先生に教えてもらうようになって成績が一気に伸びましたしね。

なんて思いながらリーシャ様の顔を見ると、私の言葉に一瞬でしたが目を輝かせたものの、すぐに

「でも、お姉様と比べられてガッカリして帰るのがほとんどで.......」

そう言って下を向いてしまいましたわね。

きっと以前の家庭教師たちがそうだったんでしょう。

でも、リーシャ様の自信をここまでなくすなんて相当だと思いますが......。




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