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67話

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呑気に2人のことを羨ましく思っている私を横目に、ブレイドは、というと

「一体誰がそんな噂なんて......」

何やら噂を深刻なものだと思っているのか、真剣に考えこんでいますわね。

そりゃあ、この国の貴族側からしてみると、私のことは見たことがないですし、髪の毛の色が同じだ、としても身内だとはすぐにわかりませんわよ。

だって、私もブレイドもそれぞれの母親にそっくりなんですもの。

なので、髪の毛以外似ているところが全くない、ということで余計に勘違いされても仕方がありません。

あー....ですが、クリストファー公爵家が隣国の令嬢の婚約者を探している、という話は広まっていないんでしょうか?

普通は、公爵家のような家が、他の令嬢の婚約者を探している、という話はとてつもなくおいしい話なので、すぐに食いつきそうですわよね。

私としては、そっちの方が広まりそうな噂だと思いますけど........意図的にブレイド様とティファー様を仲たがいさせようと考えている人がいるとか.....?

......まぁ、気にしても仕方ありませんわね。

だって、私がいくら考えてもわかる話ではありませんもの。

そう思った私は、真剣に悩んでいるブレイドに深く考えないように、

「でも、私が誰なのか、なんてこの国の貴族たちは知らないでしょうし、そうなっても仕方がないと思うわ」

そう言うと、何か言いたそうにはしていますが

「そうかもしれないけど......」

と言って、考えるのを止めていましたわ。

何と言いますか.....誰が噂を流したのか、なんてことを気にしていたら本当に頭が痛くなっていますからね。

私も変な噂が流れた最初は、とてつもなく悩みましたわ。

そして、もしかしたら全員が面白おかしく噂を流しているのでは?なんて疑っていました。

ですが、どうせ放っておくだけで犯人もボロが出ますし、そうなると周りが勝手に否定していってくれるので、好き勝手やらせておけばいいんですわ。

なんて思いながら、2人にニッコリと微笑んで

「とりあえず、今はティファー様の誤解が解けてよかった、と思いましょう」

と言うと、曇っていた2人の表情でしたが少しずつもとに戻っていきましたわ。

........それにしても、この2人は本当に仲が良いんですのね。

机の上に置いてある茶菓子も、それぞれが好むものを理解しているみたいで取りやすいところに自然と移動させていますし、しかも片方だけではなく2人ともそれぞれのことを考えているのでどっちかに負担が偏ってしまうようなこともありませんの。

こう.......見ていて気分が良い、と言いますか........阿吽の呼吸、とでも言うんでしょうか?

私がそんなことを思いながら眺めている間にも

「あ、ブレイド様」

というティファー様の一言だけでブレイド様は何をしたいのか理解しているみたいでスッとお砂糖の入ったケースを手渡していますわ。

.....これは感心する、というのと同時に、ティファー様はお砂糖を入れる派なんだ、と知れてちょっと親近感が湧きましたわ。


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