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58話 カインside

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セリスティアが国を出て行ってから、早2週間が経過した。

当然だが、学園では急にいなくなったセリスティアの行方について色々と考察している子息令嬢が後を絶たないが、どれも中途半端にあたっていて、中途半端に外れているから信憑性のないものばかりが噂で出回ってしまっているんだよな。

例えば、婚約者に振られてショックを受けたセリスティアは、傷心を癒すために旅行に行った......とか、家に居座っている従兄弟の存在にウンザリして平民落ちした.......とか。

他にも家にいる従兄弟たちがセリスティアのことを監禁しているんじゃないか?というのも耳にしたことがあるな。

そもそも振られてショックを受けた、という話だったら、なぜデールの時だけそこまで行動したんだ、という話だよな。

それに、従兄弟にウンザリして、に関しては当たっているが平民落ちって.....。

もしそうだとしたらリンプトン侯爵家は解体しているはずだろう。

少し考えればわかるはずだ。

そう思いながら、今日も婚約者のエリザベートと一緒に温室でのお茶を楽しんでいた。

正直、学園ではセリスティアの噂で溢れかえっているからな。

事実を知っている俺からすると変な噂を流すバカに疲れてきたところだ。

それはエリザベートも同じだったらしく、椅子に座るなり大きなため息をつきながら

「もういい加減にして欲しいですわよね」

そう言って、大きく伸びをしていた。

エリザベートの言葉に、反射的に

「あー....セリスティアのことか」

と呟いたが、呟いた後に気付いたがセリスティアのことを呼び捨てにしてしまったな。

流石にこれは婚約者の前で言ってはならないことだ。

そう思った俺は、エリザベートに追及されたらどう答えるか、と頭の中で考えていると、

「当然ですわ!何も知らないくせにでたらめばかり流す人もウンザリですし、前日に私達と話をしていたから、とかいう理由で聞いてくるのも厄介ですわ!」

なんと、エリザベートは特に気にすることもなく、吐き捨てる様に俺にそう言ってきた。

他の貴族たちの間では、エリザベートは大人しくて優しい、聖母のような人だ、との評価だが、実際には相当正義感が強くて、気も強い令嬢だ。

まぁ、俺としては優しいだけでは王妃には向いていない、と思っているからな。

そんなエリザベートが婚約者で良かった、なんて思っているんだが.........正義感の強いからこそ、訳の分からないセリスティアの噂に関して俺以上に苛立っているんだろうな。

なんて思いながらエリザベートの言葉に

「まぁ、確かにそうだなぁ.......」

と頷いていた。

実際に、セリスティアの噂が流れる様になってから、俺にもエリザベートにも

「何か知っていることはありませんか?」

「噂とかもありますが、実際はどうなんですか?」

という質問が相次いできているんだよな。

しかも、特にセリスティアと親しくもないくせに、本当のことが気になるという興味本位で。

それは俺自身気に入らない、と思っていたからどうにかしないといけないと思っていたんだよな。
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