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52話

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私とリーシャ様が話をしている間、カティ様は邪魔することなく、そして私にフォローを入れるわけでもなくただただちかくで見守っている、という様子でしたわ。

うーん......リーシャ様のことを教えてあげたい、と言った割には知っていることが少ないんですのね、というのが私の感想ですが、そこは振れない方がいい....ですわよね?

なんとなくですが、2人は仲が良いのか、みたいな質問をすると伯爵の話題と同じくらいに表情が険しくなるような気がします。

なので、リーシャ様に

「とりあえず、次に私が来たときは2人の今の実力を見たいと思っていますの。大丈夫ですか?」

と、家庭教師の今後の予定について声をかけてみましたわ。

すると

「いや!」

急に部屋の中に、リーシャ様の悲鳴に近い否定が響き渡って、思わず一歩後ろに下がってしまいましたわ。

だって....まさか勉強する、ということをここまで否定してくるとは思わなかったんですもの。

それは部屋の中にいた他の2人も私と同じことを思ったみたいでカティ様は

「り、リーシャ!」

となんとかリーシャ様を宥めようとしていて、ユーリは目を大きく見開いて固まっていますわ。

まぁ.....そんな反応にもなりますわよね。

私もついつい

「なぜですの!?」

と言ってしまいそうになりましたもの。

私の言い方、というのが悪かったんでしょうか......。

なんて思っていると、リーシャ様は私達のことを思いっきり睨みつけて

「私に家庭教師なんていりませんわ!お父様にもう二度と勝手なことをしないで、とお願いしてください!」

そう言ってきましたわ。

勝手なことをしないで、ですか。

10歳なんて、まだ子供ですわよ?

そんな子供がここまでハッキリと親のやってくれたことを否定するなんて相当嫌な思いをしている、としか思えませんわ。

そう考えると、家庭教師に来るべきではないような......。

カティ様は少し暴走しかけているリーシャ様に

「リーシャ!そんなこと........」

と必死に説得しているみたいですが、リーシャ様はもうカティ様の話を聞いていません。

「出て行ってくださいませ!」

そう言って扉を見たリーシャ様の目は、10歳の令嬢だと思えないほど冷たく冷酷な目をしていましたわ。

こんなのを見てしまっては、流石の私達も部屋に居座ることは出来ず、会話もそこそこにリーシャ様の部屋を後にしましたわ。





ここまで話をして、私がリーシャ様に対して疑問に思ったことは主に3つですわね。

まず1つ目が、なぜ部屋に閉じこもるようになったのか。

これは、少しずつですが心を開いた時にでも教えてもらえたら嬉しいですわね。

まぁ、時間はかかってしまうかもしれませんが、無理やりに聞いてもいいことはありませんし。

そして2つ目が、なぜここまで伯爵に対して嫌悪感、といいますか、恨みを持っているか、ということ。

さっきから伯爵の話が出ると、リーシャ様の目が物凄く鋭くなりますのよね。

なんといいますか......嫌悪、というよりは恨みに近いような感じですわ。

きっと1つ目の疑問がわかった時と同じころに2つ目もわかるだろう、と考えていますわ。

そして最後に、なぜこれほどまでに家庭教師、というのを嫌うのか。

正直、こんなにも嫌がる人なんてリーシャ様意外にいないと思いますわ。

家庭教師に嫌な思いをさせられた、とか.....何かしらの理由がないと不自然なくらいです。

うーん.......これも少しずつですが、聞いていくしかありませんわね。

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