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46話
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今まで後ろで様子を窺っていたユーリも
「なんだか癒されるお方ですね」
と小声で話しかけてきましたが、本当にその通りですわよね。
夫人のおかげで嬉しくもなりましたし、癒されもしましたわ。
ーーーーーーーーーーー
さて、夫人が会話を切断したことで強制的に家庭教師の話になったのはいいんですが
「それで、公爵夫人に頼んだのに本当に任せても大丈夫なのか?」
そう言ってきた伯爵の表情は、なんだか疑っているような、信用していない顔ですわね。
まぁ、当然ですわ。
だって、公爵夫人に頼んでこんな小娘が来たんですから。
きっと、伯爵の内心では
「まだ学生だろう?」
という感じだと思っていますわ。
ただ.....それがあまりにも顔に出ているのでユーリが少し不機嫌そうにしていますが。
とりあえず、伯爵に
「正直、家庭教師の経験は全くありませんわ。ただ、学園での順位は常にトップです」
とだけハッキリと言って、しっかりと目を見ると、嘘ではない、とは判断したみたいですが
「ふむ........だがー.....」
となんだかモゴモゴとしていますわ。
うーん......どうしたらいいんでしょう?
特に説得の出来るようなこともありませんし.......家庭教師が初めてだ、というのは本当のことですからね。
ですが、学園でトップだ、ということ以外にアピールをすることもありませんし......。
なんて思っていると、伯爵の隣に座っていた令嬢が
「お父様」
と急に伯爵に声を掛けましたわ。
な、何を言うんでしょう?
こんな若い人は無理だ、とでも言うんでしょうか?
それとも他の人に変えて欲しい、とか?
嫌な考えだけが頭を過る中、ドキドキしながら令嬢の言葉を待っていると、
「きっと年齢が近い方があの子も心を開いてくれると思いますわ。それに、出来ることなら私もこの人に教えて欲しいです」
令嬢はそう言うと私の方を見てニッコリと微笑んでくれましたわ。
もうこんなの....いくらでも教えますわよ。
どこのお茶会やパーティーに参加しても、褒められるような完璧な令嬢に育てて見せますわ!
って........今あの子、って言いましたわよね?
そして、自分も私に教えて欲しい、と。
......ということはやっぱり私が思っていた通り、他の子が教え子になる、ということなんですか?
なんて私が思っている間に、伯爵たちは
「まぁ!カティ、それは本当なの?」
夫人が嬉しそうに令嬢にそう言ったかと思ったら
「い、いやいや!カティにはもう先生がいらっしゃるだろう!」
と伯爵が必死な顔をして止めている、というなんとも言えない光景ですわね。
まぁ、私のせいでそうなっているようなものなので、他人事で眺めているような状況ではないんですけど。
後ろにいるユーリをチラッと見てみたら、なぜか嬉しそうにニヤニヤと笑っていましたわよ。
絶対にこの状況を面白がっていますわよね。
その間にも伯爵たちはどうするのか、と話し合いをしていますし。
最終的には、カティ様の
「私はセリスティア様が良いですわ!それに、あの子のことも色々教えてあげられますもの!」
という言葉を聞いて、伯爵も渋々頷いた、という感じでしたわね。
私としては、あの子、という存在がいったい何者なのかわかっていませんし、カティ様が色々と教えてくれる、と名乗り出てくれたのは感謝しかありませんわ。
「なんだか癒されるお方ですね」
と小声で話しかけてきましたが、本当にその通りですわよね。
夫人のおかげで嬉しくもなりましたし、癒されもしましたわ。
ーーーーーーーーーーー
さて、夫人が会話を切断したことで強制的に家庭教師の話になったのはいいんですが
「それで、公爵夫人に頼んだのに本当に任せても大丈夫なのか?」
そう言ってきた伯爵の表情は、なんだか疑っているような、信用していない顔ですわね。
まぁ、当然ですわ。
だって、公爵夫人に頼んでこんな小娘が来たんですから。
きっと、伯爵の内心では
「まだ学生だろう?」
という感じだと思っていますわ。
ただ.....それがあまりにも顔に出ているのでユーリが少し不機嫌そうにしていますが。
とりあえず、伯爵に
「正直、家庭教師の経験は全くありませんわ。ただ、学園での順位は常にトップです」
とだけハッキリと言って、しっかりと目を見ると、嘘ではない、とは判断したみたいですが
「ふむ........だがー.....」
となんだかモゴモゴとしていますわ。
うーん......どうしたらいいんでしょう?
特に説得の出来るようなこともありませんし.......家庭教師が初めてだ、というのは本当のことですからね。
ですが、学園でトップだ、ということ以外にアピールをすることもありませんし......。
なんて思っていると、伯爵の隣に座っていた令嬢が
「お父様」
と急に伯爵に声を掛けましたわ。
な、何を言うんでしょう?
こんな若い人は無理だ、とでも言うんでしょうか?
それとも他の人に変えて欲しい、とか?
嫌な考えだけが頭を過る中、ドキドキしながら令嬢の言葉を待っていると、
「きっと年齢が近い方があの子も心を開いてくれると思いますわ。それに、出来ることなら私もこの人に教えて欲しいです」
令嬢はそう言うと私の方を見てニッコリと微笑んでくれましたわ。
もうこんなの....いくらでも教えますわよ。
どこのお茶会やパーティーに参加しても、褒められるような完璧な令嬢に育てて見せますわ!
って........今あの子、って言いましたわよね?
そして、自分も私に教えて欲しい、と。
......ということはやっぱり私が思っていた通り、他の子が教え子になる、ということなんですか?
なんて私が思っている間に、伯爵たちは
「まぁ!カティ、それは本当なの?」
夫人が嬉しそうに令嬢にそう言ったかと思ったら
「い、いやいや!カティにはもう先生がいらっしゃるだろう!」
と伯爵が必死な顔をして止めている、というなんとも言えない光景ですわね。
まぁ、私のせいでそうなっているようなものなので、他人事で眺めているような状況ではないんですけど。
後ろにいるユーリをチラッと見てみたら、なぜか嬉しそうにニヤニヤと笑っていましたわよ。
絶対にこの状況を面白がっていますわよね。
その間にも伯爵たちはどうするのか、と話し合いをしていますし。
最終的には、カティ様の
「私はセリスティア様が良いですわ!それに、あの子のことも色々教えてあげられますもの!」
という言葉を聞いて、伯爵も渋々頷いた、という感じでしたわね。
私としては、あの子、という存在がいったい何者なのかわかっていませんし、カティ様が色々と教えてくれる、と名乗り出てくれたのは感謝しかありませんわ。
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