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33話

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クリストファー公爵家にお世話になって3日目。

私達は伯父様達のおかげで、何の不自由もなく楽しい日々を過ごしていますわ。

強いて言うなら......学園に行けなくなってしまったので、時間を持て余しているのが苦ですけどね。

侯爵家の方はどうなっているのかわかりませんし、メイド長も無事かしら?

そろそろメイドが少ない、と気付く頃だと思っていますが........。

自分から出てきておいて気になることばかりですわね。

なんて思いながら、客室の端の方にあった1人掛けのソファーに腰をかけて、本を手に取ると、丁度読み始めようとしたタイミングでコンコン、と控えめなノックの音が聞こえてきましたわ。

何と言いますか.....もの凄く良いタイミング、といえばいいのかしら?

人によっては今じゃない、と思う人もいるかもしれませんわよね。

なんて訳の分からないことを思いながら、

「はーい」

と短く返事をすると

「セリスティア、少しいいかしら?」

そう言って伯母様が部屋の中に入ってきましたわ。

ここ3日間、なんだかんだで食事の時以外は関りがなかったので意外ですわね。

急ぎの用事か何かでしょうか?

なんて思いながら、ニコニコと機嫌の良さそうな伯母様に

「伯母様?どうされましたの?」

と尋ねると、スッと懐から手紙を取り出しましたわ。

手紙、ですか。

私がここにいることを知っている人、といえば大体想像が出来ますが、どっちなんでしょう?という疑問ではありますわね。

そう思いながら、伯母様から手紙を受け取りましたわ。

えーと....差出人はー......と私が確認する前に

「貴方の国の殿下から手紙が届いたわ。封はそのままでもってきちゃったんだけど、ペーパーナイフは持ってきている?」

と伯母様に言われてしまったので、確認が出来ませんでしたが、殿下からですか。

てっきり陛下からの手紙だと思っていたので意外ですわね。

あちらで何かがあった、ということなんでしょうけど.......大きな問題じゃなければいいですわよね。

なんて呑気に思いながら、伯母様に

「すみません、貸してもらっても良いでしょうか?」

とペーパーナイフを借りて、封を切りましたわ。

さて、早速ですが手紙を読みましょうか。

手紙の枚数はざっと5枚ほど、ですわね。

なんて思いながら、手紙を封筒の中から取り出していると、

「あ、ところで婚約者のことなんだけどね」

と急に伯母様に話しかけられましたわ。

驚いて

「は、はい!どうだったでしょうか.......?」

と物凄く畏まった喋り方になってしまいましたが、ずっと気にはなっていましたのよね。

伯母様は少し難しそうな顔をしながら

「うーん......数人まで絞ったんだけど、そこから悩んでいるのよ。セリスティアに会ってもらって決めるか、それとも私達が決めちゃっても良いのか、で悩んじゃってね」

そう言って私を見つめてきましたわ。

なんだかどうすればいいのか、と聞かれているみたいですわね。

....いや、元々そのつもりで言ったのかもしれませんが。

まぁ、答えなんて悩まなくても決まっているんですけどね。

私は伯母様の目をしっかりと見つめて

「でも、伯母様達のことは信用していますし、私が選ぶよりも人を見る目があると思うんです。だからお願いしたいなぁ.........と思うんですが」

そう言って苦笑しましたわ。

そもそも、婚約者を選んでくれる、と言っている時点で私からすると嬉しい事なのに、数人の中から私が選ぶなんてそんな権利はありませんわよね。
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