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次の日、私はこの国の王太子である『カイン・エクシャール』様の席へと向かいましたわ。
今日も婚約者である『エリザベート・タキスタン』様と仲良さそうに談笑しているので、出来ることなら近付きたくなかったですが.........今日ばかりは仕方ありませんわね。
はぁ......少し憂鬱ですわ。
なんて思いながら、カイン様たちが談笑している席の前で立ち止まると、カイン様よりも先にエリザベート様が私の存在に気付いて
「あら?どうしましたの?」
と驚いた顔をしていますわ。
これには、教室内にいる他の子息令嬢たちも気になるようで、チラチラと私のことを見ていますわね。
本当に珍しい事なので仕方ありませんが........それほどまでに注目しなくても良いと思いません?
そう思いながら意を決して
「お話中に申し訳ございません。カイン殿下にお話がありますの」
私がそう声をかけると、カイン様も驚いた顔をして
「そっちから話しかけてくる、ということは重要な話っぽいな。どうしたんだ?」
と首を傾げていますわ。
凄いですわね。
私が話しかけるだけで重要な話だと察するなんて。
まぁ、私が、急ぎの用事や本当に緊急事態以外はなるべく話さないようにしましょう、とお願いしたからだと思いますが。
カイン様の反応に苦笑しながら
「その.......流石に教室だと人が多いので、休み時間を頂いても良いでしょうか?あ、もちろん2人で、というのは勘弁してくださいませ」
そう言ってチラッと教室にいる子息令嬢たちを見ると、今まで私たちの方を見ていたのに都合が悪そうな顔をして目を逸らされましたわ。
全く......そのような反応をするなら最初から興味がないふりでもしていたら良かったのに。
私の言葉にカイン様は
「それはわかっているさ。エリザベートが聞いても大丈夫な話か?」
と言ってチラッとエリザベート様の方を見たので
「えぇ。逆に聞いておいて欲しい、と思うくらいですわ」
私がそう言って苦笑しましたわ。
エリザベート様は王妃になる人ですからね。
我が家のことも詳しく知っていた方が良いかもしれません。
なにせ他の家よりも複雑ですからね。
チラッとエリザベート様を見ると、今日もとても綺麗な顔立ちでニコニコと微笑んでいますわ。
ほう........本当にいつ見ても綺麗ですわね。
女の私ですらエリザベート様には見惚れてしまいますわ。
なんて思っていると、カイン様の
「わかった。では、昼休憩の時に温室で話そう」
という言葉でハッと我に返りましたわ。
見惚れてしまいますわね、なんて呑気に思いながら本気で見惚れていましたわ。
まぁ、それほどまでにエリザベート様が美しいということですわね。
カイン様の言葉に
「わかりましたわ」
とだけ、短く返事をした後に、隣で心配そうな顔をしているエリザベート様に
「エリザベート様、申し訳ございません。このような話に巻き込んでしまって.........」
そう言って軽く頭を下げると、エリザベート様は
「私は構いませんわ。それに、一度お話してみたいと思っていましたもの」
と言って優しく微笑んでくれましたわ。
優しくて頭も良く、美しい。
これほどまでに王妃として相応しい人はいないのではないでしょうか?
カイン様も相当優秀な人ですし、本当に貴族の手本となるお2人ですわね。
今日も婚約者である『エリザベート・タキスタン』様と仲良さそうに談笑しているので、出来ることなら近付きたくなかったですが.........今日ばかりは仕方ありませんわね。
はぁ......少し憂鬱ですわ。
なんて思いながら、カイン様たちが談笑している席の前で立ち止まると、カイン様よりも先にエリザベート様が私の存在に気付いて
「あら?どうしましたの?」
と驚いた顔をしていますわ。
これには、教室内にいる他の子息令嬢たちも気になるようで、チラチラと私のことを見ていますわね。
本当に珍しい事なので仕方ありませんが........それほどまでに注目しなくても良いと思いません?
そう思いながら意を決して
「お話中に申し訳ございません。カイン殿下にお話がありますの」
私がそう声をかけると、カイン様も驚いた顔をして
「そっちから話しかけてくる、ということは重要な話っぽいな。どうしたんだ?」
と首を傾げていますわ。
凄いですわね。
私が話しかけるだけで重要な話だと察するなんて。
まぁ、私が、急ぎの用事や本当に緊急事態以外はなるべく話さないようにしましょう、とお願いしたからだと思いますが。
カイン様の反応に苦笑しながら
「その.......流石に教室だと人が多いので、休み時間を頂いても良いでしょうか?あ、もちろん2人で、というのは勘弁してくださいませ」
そう言ってチラッと教室にいる子息令嬢たちを見ると、今まで私たちの方を見ていたのに都合が悪そうな顔をして目を逸らされましたわ。
全く......そのような反応をするなら最初から興味がないふりでもしていたら良かったのに。
私の言葉にカイン様は
「それはわかっているさ。エリザベートが聞いても大丈夫な話か?」
と言ってチラッとエリザベート様の方を見たので
「えぇ。逆に聞いておいて欲しい、と思うくらいですわ」
私がそう言って苦笑しましたわ。
エリザベート様は王妃になる人ですからね。
我が家のことも詳しく知っていた方が良いかもしれません。
なにせ他の家よりも複雑ですからね。
チラッとエリザベート様を見ると、今日もとても綺麗な顔立ちでニコニコと微笑んでいますわ。
ほう........本当にいつ見ても綺麗ですわね。
女の私ですらエリザベート様には見惚れてしまいますわ。
なんて思っていると、カイン様の
「わかった。では、昼休憩の時に温室で話そう」
という言葉でハッと我に返りましたわ。
見惚れてしまいますわね、なんて呑気に思いながら本気で見惚れていましたわ。
まぁ、それほどまでにエリザベート様が美しいということですわね。
カイン様の言葉に
「わかりましたわ」
とだけ、短く返事をした後に、隣で心配そうな顔をしているエリザベート様に
「エリザベート様、申し訳ございません。このような話に巻き込んでしまって.........」
そう言って軽く頭を下げると、エリザベート様は
「私は構いませんわ。それに、一度お話してみたいと思っていましたもの」
と言って優しく微笑んでくれましたわ。
優しくて頭も良く、美しい。
これほどまでに王妃として相応しい人はいないのではないでしょうか?
カイン様も相当優秀な人ですし、本当に貴族の手本となるお2人ですわね。
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