上 下
5 / 344

4話

しおりを挟む
メイド、執事達に話をした結果、なんと半数以上の人達が私について来てくれる、ということになりましたわ。

まぁ、半数、と言っても全員で7人なので4人なんですけどね。

普段は従者の人数が少なすぎる、と思っていましたが今となっては助かりましたわ。

残っている3人のうち、1人はお母様たちがどうなるのか見届けてから合流する、という話になりました。

......なんだか私よりもユーリの方が機敏に動いているのを見ると、きっと私よりもユーリの方が限界に近かったんでしょうね。



さて、とりあえずその話は置いておいて、今は私と一緒に出て行く4人の従者たちと計画を練っている最中ですわ。

4人の従者たちを一瞥しながら

「今日の夜に出て行く、というのも良いと思うけど、隣国に行くには陛下に話をしておく必要がありますわよね」

私がそう言うと、『ミリア』が

「そうですね.......今から王宮に行っても時間が遅いですし.......」

と渋い顔をしていますわ。

ミリアは、我が家のメイド長の娘なんですが、とってもしっかりしていて、頼りになるお姉さん的な存在ですわ。

私の乳母がメイド長だったこともあって、本当の姉妹のように育ちましたの。

一時は私の専属メイドでしたのよ。

そして、ミリアの隣には

「あれ?そういえばお嬢様って王太子殿下と幼馴染じゃなかったですっけ?」

と言って『ネイト』が首を傾げて私のことを見ていますわ。

ネイトは、明るくて調理場のムードメーカ的存在ですの。

私がお母様に食事を取り上げられてしまったときに、わざわざ部屋に届けてくれる優しい一面もありますのよ。

そのおかげで、私は痩せ細ることもなく生活している、と言っても過言ではありませんわね。

ついて来てくれる、と聞いて本当に安心しましたわ。

なんて思いながら、ネイトに

「そうだけど.......お互いに婚約者が居るからむやみに近付かないようにしていたのよ」

と苦笑すると、私の隣にいた『ディア』が

「確かに良せ同士の2人きりで話をしているだけで変な噂になる可能性がりますもんね」

そう言って何とも言えないような表情をしていますわ。

ディアは最近新しく入ってきたメイドであまり関りがなかったんですが、私に対する扱いがおかしい、と元々思っていてくれたみたいで、今回の件も即決してついて行く、と決めてくれましたわ。

どのような人なのかわかりませんが、悪い人ではない、となんとなくですが思っていますわよ。

だって、ユーリが声をかけたくらいですからね。

そう思っていると、

「.......王太子殿下の婚約者様とは話をしたことがないんですか?」

ユーリは真剣な顔をしてそう聞いてきましたわ。

うーん.......なんとなくですが、皆が言いたいことは理解しましたわよ。

だって、皆期待に満ちたような顔を私に向けていますもの。

1つ咳払いをした後に、4人のことを見ながら

「つまり、皆が言いたいことは、明日学園で王太子殿下に隣国に行く許可を貰えばいい、ということですのね?」

私がそう尋ねると、なぜか全員が真剣な顔をして小さく頷きましたわ。

......ま、まぁ、そうだとは思っていましたわよ。

思わず苦笑して4人の顔をそれぞれ見ると、なぜか全員が捨てられた子犬のような目で私のことを見ていますわ。

そんな目で訴えてきたら........流石に断ることなんて出来ないじゃないですか。

そう思った私は

「.........まぁ、同じクラスだから出来なくはないと思いますが、事情を全て話す必要がありますわよ?」

と4人に確認を取ると、皆の顔がパァっと明るくなりましたわ。

そ、相当こんな家から出て行きたいんですのね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る

花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。 その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。 何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。 “傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。 背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。 7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。 長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。 守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。 この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。 ※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。 (C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。

婚約破棄を受け入れたのは、この日の為に準備していたからです

天宮有
恋愛
 子爵令嬢の私シーラは、伯爵令息レヴォクに婚約破棄を言い渡されてしまう。  レヴォクは私の妹ソフィーを好きになったみたいだけど、それは前から知っていた。  知っていて、許せなかったからこそ――私はこの日の為に準備していた。  私は婚約破棄を言い渡されてしまうけど、すぐに受け入れる。  そして――レヴォクの後悔が、始まろうとしていた。

お前は名前だけの婚約者だ、と言われたけれど、おかげで幸せになりました。

あお
恋愛
厳しい選考会を経て第一王子の婚約者に選ばれた侯爵家令嬢シェリアーナ。 王宮での顔合わせの日、王子はお気に入りの侍女を抱きながら、 「お前は名前だけの婚約者だ。愛する人はイリアだけ。俺たちの邪魔をするな」 と言った。

隣国で大活躍中につき、婚約破棄してきた王子様にはもう会いません!

昼から山猫
恋愛
【祖国から要らないと言われた私、隣国では超引っ張りだこなんです」】  子爵令嬢フィオナは、王子アレクセイに「才能なし」と決めつけられ、婚約破棄。嫌気が差して隣国ラウフェンへ行き、のんびり過ごすつもりが、たまたま魔法オペラ劇団の楽屋トラブルに遭遇。彼女は舞台裏の整理や演出スケジュールをササッと把握し、混乱を収めてしまう。  実は王宮で礼法や舞踏を学んでいた彼女の経験が、劇場運営にぴったりハマったのだ。劇団から「ぜひ演出助手をやってほしい」とオファーされ、フィオナは試しにやってみると、次々と劇を成功に導き、観客も劇団員も感謝しきり。  いつしかラウフェン中に「魔法オペラを成功させる立役者がいる」と話題が広がり、貴族社会からも「劇場改革を手伝って」と大勢の依頼が舞い込む。フィオナは連日舞台裏で大忙しだが、感謝される喜びに満たされ、毎日が輝いていた。  祖国はアレクセイ王子が失敗続きで苦境に陥り、「あのフィオナがいれば…」と呼び戻しを試みる。だが劇団やラウフェン貴族らが口をそろえて「彼女は我が国に欠かせない」と拒否。フィオナも「申し訳ありませんが、もうそちらで働く気はありません」と一蹴する。  王子が必死に“お詫び”の書簡を送っても、フィオナは「舞台の本番が迫っているので忙しくて」と相手にしない。祖国の苦しみなど、今の彼女には関係ない話だ。  こうして、祖国で「無能」と言われた彼女は、隣国で新しい道を切り開き、人々の拍手と喝采を受ける立場になった。婚約破棄も悪くない――そんな開き直りさえ感じるほど、フィオナの充実した日々は続いていく。

完璧すぎる王太子に愛されていると思っていたら、自称聖女が現れて私の人生が狂わされましたが、最愛の人との再会で軌道修正を始めたようです

珠宮さくら
恋愛
テネリアという国に生まれた公爵家の令嬢エウリュディケ・グリーヒェンライトは、全てのものに恵まれていた。 誰もが羨むような環境の中にいながら、見た目も中身も完璧なはずの婚約者の王太子に殺意を抱くほど嫌っていた。その顔をエウリュディケが見ると抑えようもないほどの殺意が沸き起こってしまって仕方がなかったが、それをひた隠しにして、相思相愛に見えるように努力を惜しまなかった。 そんな彼女の癒しであり、ストッパーとなっていたのが、幼なじみだったが彼と離れることになってしまい、そこから殺意を抱く理由や色んなことを知ることになっていっぱいいっぱいの中で、突然自称聖女がテネリアに現れ、それでテネリアの人たちがおかしくなっていく。 エウリュディケは次第に追いつめられていくことになるのだが……。

双子の妹は私から全てを奪う予定でいたらしい

佐倉ミズキ
恋愛
双子の妹リリアナは小さい頃から私のものを奪っていった。 お人形に靴、ドレスにアクセサリー、そして婚約者の侯爵家のエリオットまで…。 しかし、私がやっと結婚を決めたとき、リリアナは激怒した。 「どういうことなのこれは!」 そう、私の新しい婚約者は……。

もう我慢する気はないので出て行きます〜陰から私が国を支えていた事実を彼らは知らない〜

おしゃれスナイプ
恋愛
公爵令嬢として生を受けたセフィリア・アインベルクは己の前世の記憶を持った稀有な存在であった。 それは『精霊姫』と呼ばれた前世の記憶。 精霊と意思疎通の出来る唯一の存在であったが故に、かつての私は精霊の力を借りて国を加護する役目を負っていた。 だからこそ、人知れず私は精霊の力を借りて今生も『精霊姫』としての役目を果たしていたのだが————

結婚式の夜、夫が別の女性と駆け落ちをしました。ありがとうございます。

黒田悠月
恋愛
結婚式の夜、夫が別の女性と駆け落ちをしました。 とっても嬉しいです。ありがとうございます!

処理中です...