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18話 ユリアスside
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卒業パーティーで起こったあの事件を調査し始めて、4日が経った。
まだたったの4日なのに、すぐに冤罪の証拠が集まった。
俺が今まで話を聞いてきた人、それからリディアもリディアの友人も、皆マリアンヌ様が冤罪だ、と答えている。
そして、
「なぜ卒業パーティーのときに黙っていたのか」
と尋ねると様々な意見があったが大体は
「すべて解放されたほうがマリアンヌ様にとっていいと思った。あんな扱いをされて可哀そうだ」
「事前に黙っているように言われたから」
の二択にわかれた。
確かに殿下も父親である公爵もマリアンヌ様に対して褒められたようなことは一切していない。
殿下は権力だけが高いおかげで誰に対しても傲慢な態度をとり続けていた。
もちろんそれは、マリアンヌ様に対しても同じだ。
公爵の方は、公務はマリアンヌ様に押し付け自分は愛人たちと遊び放題。
マリアンヌ様は王妃教育と公務で遊ぶ暇もなければ、アリスを虐める時間なんてもっとなかっただろう。
ただ、それを言われるまで気付かないなんて.....。
俺がいかにアリスにうつつを抜かしていて、冷静な判断が出来ていなかったのか思い知った気がする。
今日まで調べ上げた報告書に目を通しながらそんなことを考えていると、俺の横に座っていたリディアが
「ユリアス様、これでマリアンヌ様が冤罪だというのは嫌と言うほどわかりましたよね?」
真剣な顔をしながらそう聞いてきた。
リディアは、あの日から本当に俺の協力をしてくれている。
学園長に事情を話してくれたおかげで、俺も情報を集めやすかったし、この資料をまとめてくれたのもリディアだ。
「あぁ...よくわかった。その...」
こんなことに協力してくれたんだから、ちゃんと謝って再び婚約を申し込んだら受け入れてくれるのでは?
そう思って何度か言おうとしたけど、俺に勇気がないばかりに伝えられないままだ。
そんな俺をリディアは冷たい目で見ながら
「この事実を知っても尚、人の婚約者を奪うような人を心優しい、可愛らしいと?」
と聞いてきた。
「ち、違う.....!俺はもうアリスのことは.....」
アリスのことは、もう何も思っていない。
つい最近まで、アリスと話をしたら癒される、なんてバカみたいなことを思っていたが、いざ離れて冷静になってみると、自分の都合のいいことしか言わないアリスを気に入っていただけだと気づくことができた。
でも、それをリディアに伝えても、今更だと言われるだろうか。
そう考えるとなんて言ったら良いのかわからず黙り込んでいると
「そうですか。まぁ、私には関係のないことですけどね」
そう言ってリディアが立ち上がった。
そして
「調査も終わったことですし、私が協力するのはここまでですわ。.....約束、覚えていますよね?」
今まで見たことがないくらいの冷たい目でそう聞いてきた。
約束。
マリアンヌ様も冤罪を公表すること。
それにはまず、殿下に全てを話さなくては。
早速今日、話すつもりでいる。
「あぁ、必ず約束は守る」
俺がそう頷くと
「それなら良かったですわ。では.....」
用事は済んだ、といった様子でリディアは立ち去ってしまった。
「あ....リディア...っ!」
と呼び止めたけど、リディアは決して振り返ってくれなかった。
まだたったの4日なのに、すぐに冤罪の証拠が集まった。
俺が今まで話を聞いてきた人、それからリディアもリディアの友人も、皆マリアンヌ様が冤罪だ、と答えている。
そして、
「なぜ卒業パーティーのときに黙っていたのか」
と尋ねると様々な意見があったが大体は
「すべて解放されたほうがマリアンヌ様にとっていいと思った。あんな扱いをされて可哀そうだ」
「事前に黙っているように言われたから」
の二択にわかれた。
確かに殿下も父親である公爵もマリアンヌ様に対して褒められたようなことは一切していない。
殿下は権力だけが高いおかげで誰に対しても傲慢な態度をとり続けていた。
もちろんそれは、マリアンヌ様に対しても同じだ。
公爵の方は、公務はマリアンヌ様に押し付け自分は愛人たちと遊び放題。
マリアンヌ様は王妃教育と公務で遊ぶ暇もなければ、アリスを虐める時間なんてもっとなかっただろう。
ただ、それを言われるまで気付かないなんて.....。
俺がいかにアリスにうつつを抜かしていて、冷静な判断が出来ていなかったのか思い知った気がする。
今日まで調べ上げた報告書に目を通しながらそんなことを考えていると、俺の横に座っていたリディアが
「ユリアス様、これでマリアンヌ様が冤罪だというのは嫌と言うほどわかりましたよね?」
真剣な顔をしながらそう聞いてきた。
リディアは、あの日から本当に俺の協力をしてくれている。
学園長に事情を話してくれたおかげで、俺も情報を集めやすかったし、この資料をまとめてくれたのもリディアだ。
「あぁ...よくわかった。その...」
こんなことに協力してくれたんだから、ちゃんと謝って再び婚約を申し込んだら受け入れてくれるのでは?
そう思って何度か言おうとしたけど、俺に勇気がないばかりに伝えられないままだ。
そんな俺をリディアは冷たい目で見ながら
「この事実を知っても尚、人の婚約者を奪うような人を心優しい、可愛らしいと?」
と聞いてきた。
「ち、違う.....!俺はもうアリスのことは.....」
アリスのことは、もう何も思っていない。
つい最近まで、アリスと話をしたら癒される、なんてバカみたいなことを思っていたが、いざ離れて冷静になってみると、自分の都合のいいことしか言わないアリスを気に入っていただけだと気づくことができた。
でも、それをリディアに伝えても、今更だと言われるだろうか。
そう考えるとなんて言ったら良いのかわからず黙り込んでいると
「そうですか。まぁ、私には関係のないことですけどね」
そう言ってリディアが立ち上がった。
そして
「調査も終わったことですし、私が協力するのはここまでですわ。.....約束、覚えていますよね?」
今まで見たことがないくらいの冷たい目でそう聞いてきた。
約束。
マリアンヌ様も冤罪を公表すること。
それにはまず、殿下に全てを話さなくては。
早速今日、話すつもりでいる。
「あぁ、必ず約束は守る」
俺がそう頷くと
「それなら良かったですわ。では.....」
用事は済んだ、といった様子でリディアは立ち去ってしまった。
「あ....リディア...っ!」
と呼び止めたけど、リディアは決して振り返ってくれなかった。
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