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10話 マロンside
しおりを挟む殿下が立ち去った後、アリスにお願いごとをされて俺は上機嫌だ。
アリスが俺の商会に行きたいって話すということは俺を選んでくれたっていうことだよな?
少しくらい調子に乗っても良いだろ?
そう思いながらアリスが1度家に帰ったから、俺も自分の家で待っている。
俺は伯爵家の次男に生まれたが、双子だったから一応伯爵家を継ぐ権利を持っていた。
でもそれを早いうちに兄に譲った。
理由は、当主に収まっているよりも、商会を立ち上げて自分でお金を稼ぎたい、と思ったからだ。
両親は双子だからどちらが跡を継ぐのか争うのでは?と心配していたから、俺がそのことを話すとすぐに了承してくれた。
おかげで、領地の中で一番立地のいい所に俺の商会を立ち上げてくれた。
元々、あそこは更地だったから領民も歓迎してくれたと聞く。
実際に商売をしてみると、自分が向いていることに気付いた。
売上も上々、思った以上に上手くいっていたそんなとき、急に婚約者が出来た。
『オリビア・カルサイド』という子爵令嬢だ。
オリビアは俺がやりたいって言ったことに対して、何かと文句をつけてきたり、従業員や取引先にどう取り入ったのかわからないが、いつの間にか中心にいた。
正直それが気に食わなかった。
だって、俺がここまで手がけてきた商会なのに、他の人が中心になっているなんておかしいだろ?
だから、アリスに婚約破棄した方がいいと言われてすぐに行動に移した。
オリビアと婚約破棄出来た時は心の底から喜んだ。
まぁ、婚約破棄自体は俺が思っていた以上にあっさりと出来て拍子抜けしたっていうのが本音だけど...。
どちらかというと、父上の方がうるさかったからな。
最近は婚約者をどうするとかうるさかったし。
まぁ、それも今日までだな。
アリスが来たら今日は俺の部屋で明日、商会に連れていこう。
そう思っていると、アリスが来たという報告があったから、すぐに俺の部屋に来るよう頼んだ。
「マロン様ぁ、お待たせしましたぁ~」
そう言って俺の部屋に入ってきたアリスは今日も可愛らしいドレスに身を包んでいる。
フリフリのドレスも、アリス以外の人が着ると見ていられない気持ちになるけど......やっぱりアリスは可愛いからなんでも似合うなぁ。
「大丈夫だよ。そんなに待っていないから」
そう言って微笑むと
「マロン様のお部屋ってことはぁ......明日商会を見せてくれるってことですかぁ?」
そう言ってきた。
わかってるくせに......
「よくわかったね。今日はゆっくりしようかなって思って」
そう言ってアリスをベットに座らせると
「ゆっくりするんじゃないんですか~?」
と首を傾げている。
この仕草も可愛らしくて仕方ない。
「いいじゃん。ちょっとくらいは」
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