上 下
11 / 40

10話 マロンside

しおりを挟む

殿下が立ち去った後、アリスにお願いごとをされて俺は上機嫌だ。

アリスが俺の商会に行きたいって話すということは俺を選んでくれたっていうことだよな?

少しくらい調子に乗っても良いだろ?

そう思いながらアリスが1度家に帰ったから、俺も自分の家で待っている。

俺は伯爵家の次男に生まれたが、双子だったから一応伯爵家を継ぐ権利を持っていた。

でもそれを早いうちに兄に譲った。

理由は、当主に収まっているよりも、商会を立ち上げて自分でお金を稼ぎたい、と思ったからだ。

両親は双子だからどちらが跡を継ぐのか争うのでは?と心配していたから、俺がそのことを話すとすぐに了承してくれた。

おかげで、領地の中で一番立地のいい所に俺の商会を立ち上げてくれた。

元々、あそこは更地だったから領民も歓迎してくれたと聞く。

実際に商売をしてみると、自分が向いていることに気付いた。

売上も上々、思った以上に上手くいっていたそんなとき、急に婚約者が出来た。

『オリビア・カルサイド』という子爵令嬢だ。

オリビアは俺がやりたいって言ったことに対して、何かと文句をつけてきたり、従業員や取引先にどう取り入ったのかわからないが、いつの間にか中心にいた。

正直それが気に食わなかった。

だって、俺がここまで手がけてきた商会なのに、他の人が中心になっているなんておかしいだろ?

だから、アリスに婚約破棄した方がいいと言われてすぐに行動に移した。

オリビアと婚約破棄出来た時は心の底から喜んだ。

まぁ、婚約破棄自体は俺が思っていた以上にあっさりと出来て拍子抜けしたっていうのが本音だけど...。

どちらかというと、父上の方がうるさかったからな。

最近は婚約者をどうするとかうるさかったし。

まぁ、それも今日までだな。

アリスが来たら今日は俺の部屋で明日、商会に連れていこう。

そう思っていると、アリスが来たという報告があったから、すぐに俺の部屋に来るよう頼んだ。

「マロン様ぁ、お待たせしましたぁ~」

そう言って俺の部屋に入ってきたアリスは今日も可愛らしいドレスに身を包んでいる。

フリフリのドレスも、アリス以外の人が着ると見ていられない気持ちになるけど......やっぱりアリスは可愛いからなんでも似合うなぁ。

「大丈夫だよ。そんなに待っていないから」

そう言って微笑むと

「マロン様のお部屋ってことはぁ......明日商会を見せてくれるってことですかぁ?」

そう言ってきた。

わかってるくせに......

「よくわかったね。今日はゆっくりしようかなって思って」

そう言ってアリスをベットに座らせると

「ゆっくりするんじゃないんですか~?」

と首を傾げている。

この仕草も可愛らしくて仕方ない。

「いいじゃん。ちょっとくらいは」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結済】監視される悪役令嬢、自滅するヒロイン

curosu
恋愛
【書きたい場面だけシリーズ】 タイトル通り

婚約者が女好きでどうしようもないので、私は去ります

四季
恋愛
アメリナ・レジンには婚約者がいる。 彼は、学生時代同級生であり、似たような家柄の人物だ。 ただ、彼には問題があって……。

婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました

青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。 しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。 「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」 そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。 実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。 落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。 一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。 ※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】 私には婚約中の王子がいた。 ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。 そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。 次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。 目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。 名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。 ※他サイトでも投稿中

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

【完結】義妹(ヒロイン)の邪魔をすることに致します

凛 伊緒
恋愛
伯爵令嬢へレア・セルティラス、15歳の彼女には1つ下の妹が出来た。その妹は義妹であり、伯爵家現当主たる父が養子にした元平民だったのだ。 自分は『ヒロイン』だと言い出し、王族や有力者などに近付く義妹。さらにはへレアが尊敬している公爵令嬢メリーア・シェルラートを『悪役令嬢』と呼ぶ始末。 このままではメリーアが義妹に陥れられると知ったへレアは、計画の全てを阻止していく── ─義妹が異なる世界からの転生者だと知った、元から『乙女ゲーム』の世界にいる人物側の物語─

【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、王太子は伯爵令嬢マーテリーと婚約してしまう。 留学から帰ってきたマーテリーはすっかりあか抜けており、王太子はマーテリーに夢中。 政略結婚と割り切っていたが納得いかず、必死に説得するも、ありもしない罪をかぶせられ国外追放になる。 家族にも見捨てられ、頼れる人が居ない。 「こんな国、もう知らない!」 そんなある日、とある街で子供が怪我をしたため、術を使って治療を施す。 アトリアは弱いながらも治癒の力がある。 子供の怪我の治癒をした時、ある男性に目撃されて旅に付いて来てしまう。 それ以降も街で見かけた体調の悪い人を治癒の力で回復したが、気が付くとさっきの男性がずっとそばに付いて来る。 「ぜひ我が国へ来てほしい」 男性から誘いを受け、行く当てもないため付いて行く。が、着いた先は祖国ヴァルプールとは比較にならない大国メジェンヌ……の王城。 「……ん!?」

処理中です...