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9話 アリスside
しおりを挟む私がマロンと話をしていると
「アリス!今日こそは誰にするのか決めてくれ!」
とハロルド様が今日も現れた。
あぁー...また来たわ。
3日に1回のペースだった相手選びの催促も、最近は毎日になってきている。
もう何なの!?
しかも、、最近のハロルド様は勢いが凄くて......もう強制的にハロルド様を選ばなきゃいけない、みたいな雰囲気になってるんだよね。
一応聞き方は、誰にするんだ!?だけど、視線で自分を選ぶよう圧をかけているようにしか見えない。
卒業から早1年......?
確かにそろそろ相手を決めなきゃいけないのはわかっているのよ。
わかってはいるんだけど、選べないんだよねぇ。
王妃で良いじゃんって最初は思ってたんだけど、王妃って仕事とか他の夫人より多そうじゃん?
まぁ、ハンコを押すだけだとは思うんだけど、面倒くさいよねぇ...。
はぁ...いつもはユリアス様がハロルド様を止めてくれるから楽なんだけどなぁ...。
......ん?
そういえば最近、ハロルド様が居ないよね?
今までは5分くらいだけでも、と話にきていたのに......。
一体何をしてるの?
............もしかして、私が選ぶの遅すぎて他に好きな人が出来ちゃった...?
いやいや!そんなわけないよね!だって、私はヒロインだし。
そう自分に言い聞かせながらも、内心はすっごい焦ってる。
あ.........でもヘタに爵位が高いと色々面倒事が多そうだよね?
うーん.........じゃあ、ユリアス様はいいや!
もう少し、男爵家に近い爵位で、お金持ちなところを狙った方が確実じゃん!
なんで今まで気付かなかったんだろ?
私ったらおっちょこちょいなんだから!
まぁ、一応ハロルド様の機嫌を損ねたら面倒くさいさら適当にはぐらかしておこうかなぁ。
「殿下ぁ......なんか怒ってるんですかぁ?アリス怖い...っ」
ちょっと可愛らしくそう言うと、ハロルド様は残念そうな顔をしたけど、大人しく引き下がってくれた。
全く...手間かけさせるんじゃないわよ。
とぼとぼとハロルド様が立ち去ったのを確認してから
「マロン様ぁ~、アリス、商会を見てみたいですぅ」
少し上目遣いでそうやってお願いすると、二つ返事で了承してくれた。
多分、マロン様は自分を選んでくれるかも、って期待してるだろうね。
まぁ、そうなんだけどさ。
嬉しい!と言ってマロン様の腕に絡みつくと
「見ろよ......またやってるぞ?」
「みっともないですね」
「あぁ、王宮をなんだと思っているんだか......」
わざと私達に聞こえるくらいの声でそう言いながら立ち去る貴族達が見えた。
......なによ!羨ましいからって、僻むのはやめてくれるかしら?
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