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26話
しおりを挟むノエルとハノンの婚約破棄から1週間後、平和だった私達の前には
「ねぇー、ノエルー。俺と話しよー」
そう言って、ハノンが恒例のお茶会に勝手に混ざり込んでいた。
何を思ったのか、今までのモニカの取り巻きだったのに、婚約破棄されてからノエルを追いかけ回していた。
何もなかった1週間は、ハノンの父親にめちゃくちゃ怒られて、根性を叩き直す、とかなんとかで学園を休んでいたらしい。
一日中追いかけ回されているノエルは、苛立ちを隠すことなく溜息をついて
「鬱陶しいわ。二度と話しかけてこないでっていったわよね?」
とハノンを睨みつけている。
なんか、婚約破棄されてからロイとハノンの様子がおかしい...というか、前に戻った、というか。
私が考え事をしている間に、ハノンを追い払ったノエルは
「すみません、お騒がせしてしまって...」
と申し訳なさそうに謝ってきた。
「ノエルさんは何も悪くないですわ。......それより、どうやって両親達を説得しましたの?」
そう言ってシエラは首を傾げた。
皆も同じことを聞きたかったみたいで、ノエルの話に興味深々、という感じだ。
「実は......」
と話し始めたノエルの内容には物凄く驚いた。
まず、自分の両親に最近のハノンの愚行を伝えた。
でもそれだけだったら、やっぱり納得してくれなかったから、ノエルはモニカとハノンがイチャついている所を写真機に収めたんだとか。
え、普通じゃないかって?
そりゃ、前世だったらスマホなりカメラなり色々あるけどね、この世界に写真機って存在しないのよ。
ノエルは婚約破棄をすると決めてから、ずっと写真機の制作をしていたらしい。
前に用事があるって言ったのは、写真機を魔道具として登録する為に色々動いていたんだとか。
ね!凄いでしょ!だって、1からカメラを作ったってことだよ!?
それで、写真機は合成出来ないってことの証明もした後にハノンの実家に写真を持って話をしに行ったんだって。
そしたら話を聞いただけでハノンの父親は大激怒。
写真なんて見せたらもう凄かったらしい。
何が凄かったのか気になって聞いてみたら、ノエルは苦笑しながら
「とにかく、凄かったんです」
としか教えてくれなかったから詳しくはわからないけど。
でも、これだけですぐに婚約破棄は流石に...って話になってしまったから、じゃあテストの結果で......という条件を付けたんだってさ。
ハノンがモニカに構ってて勉強していないことは知ってたから、確実に出来るってわかってて条件を出したらしいけど。
ちなみに、ハノンの両親は
「流石に順位表には載るだろう」
と笑って了承したらしい。
「.........まぁ、大体こんな感じでした!あ、写真機は勿論、皆さんも使えるので、是非使ってください!」
そう言ったノエルはどこかスッキリした顔をしていた。
お疲れ様です、と皆で労いの言葉をそれぞれ言うと
「じゃあ、次は私なので借りても良いですか~?」
ゆったりとした声でサーシャはそう言って微笑んだ。
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