旦那様、離婚しましょう

榎夜

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4話

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私がお父様達のところに来て2ヶ月がたった。

え、その間何も無いの?って思った人居ますよね?
勿論、色々ありましたよ。

まず、今まで私の手伝いをしていたから貰えたマノン様の給料は渡さなくなりました。
当たり前ですよね?だって働いてないんですもの。

多分、リリーさんは公爵家に婿入りしたんだからお金を持っているとか勘違いしているんでしょうね。

あの人は公爵家当主じゃないし、入婿なんですから公爵家のお金は自由に出来ませんよ。


それから、公爵家で働いていた人達が少しずつ私達の居るところに移ってきました。

あ、これは私が指示したわけじゃないですよ?
無理だと思ったらすぐにおいで、と言ったら思った以上の人が来ましたの。余程好き勝手していたんでしょうね。

あ、勿論その時にメイリスに頼んでいた荷物は回収しましたわ。


他にも、陛下に説明したり、領主としての仕事をしたり...あ、何度かマノン様がこの屋敷に乗り込んできたこともありますね。

丁重にお帰り願いましたが。



「シエラ」

「あら、お父様。どうしましたか?」

私が執務室で仕事をしていると、お父様が入ってきた。

「やっと調査が全て終わった」

お父様が少しやつれた顔で報告してきた。

まぁ、私がせっかく引退したお父様を無理させてしまったんですが...申し訳ないですわ。

「ありがとうございます。証拠も揃いましたか?」

「あぁ、証人が沢山いてくれて助かった」

「それは良かったですわ」

私がここ最近の中で一番の笑顔をして答えたものだから、お父様が苦笑してしまった。


「じゃあ、明日にでもマージェン家に手紙を出しておくぞ?」

「そうですね。お願いします」

実はマージェン家からは二人で状況を説明して欲しい、との手紙が何度もきていたんですが、お父様にお願いして、調査が終わるまで、はぐらかしてもらっていたのです。

だって、調査や証拠もなく浮気してました、なんて私から言っても、気のせいだ、とか言われるかも知れないじゃないですか。

といいますか、マノン様本人に聞けば終わりますのに、なぜ私と二人揃って事情を話せって言われなければならないのか...





「お嬢様!ついに明日ですねっ!」

「えぇ、そうね。長かったわ」

私は仕事が終わってから、寝室でメイリスと話をしていた。

メイリスとは、一緒にここに来たけどマノン達の様子を知りたいから、とそれぞれの屋敷を往復してもらっていた。

この2ヶ月の間、屋敷の中も大変だったみたいで、まだ離婚していないのに勝手に公爵夫人面して使用人に指示していたり、私の寝室に勝手に入って思っていた通り服やら宝石やら...色々漁っていたみたいですわ。

まぁ、置いてきたのは二、三枚くらいのドレスしかありませんし、それも汚れてしまったものだけなので売ってもまともな金額にならない、と思って置いておいただけですが。

他にもイライラして物に当たったり、大事な従者達に辛く当たったり...色々やらかしてくれたみたいですわ。

一通り話し終わったメイリスは

「明日のために早く寝てくださいね!」

と言って部屋を出ていった。


そんなことを言われても、明日のことを考えるだけで楽しみで眠れませんわ
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