上 下
11 / 11

10話

しおりを挟む

さて、あの卒業パーティーから3日が経過しましたわ。

ジーア様とアリス様はそれぞれの両親にこっぴどく怒られて、所別に関しては陛下の決定に従う、との話をしていましたわ。

結論から言うと、アリス様は修道院行き、ジーア様は王都にある兵士となりましたわ。

アリス様は平民から1年前に貴族になったばかりだから、マナーや決まりがよくわかっていなかった、と主張していたみたいですね。

ですが、いくら平民だったとしても人の婚約者を誑かすことはダメな事だとわかるはずだ、と論破されていらしいですわ。

当然のことですわよね。

それにジーア様だけ、ということだったらその言い訳も通じるかもしれませんが、取り巻きの5人以外にも10人ほどの人達が被害に遭っていたみたいですの。

しかも全員が婚約者のいる人達だったみたいですわ。

アリス様は人の物を奪いたいだけ、という人だったんでしょうね。

だってそうじゃなきゃ、意図的に婚約者のいる人なんて狙いませんもの。

連れていかれた修道院は規律に厳しいと有名なところなので、アリス様の歪んだ根性も徹底的にったき直してくれると思いますわ。

それからジーア様は兵士になった、と言いましたが、ただの兵士ではありませんの。

辺境で魔物と闘うために結成された兵団に無理やり入れられたんですわ。

しかもジーア様は魔法を使えないので、私達と違って剣で挑まなければならないので、ここ最近、悲鳴を上げている姿をよく見かけていますわ。

辺境での戦いがどのようなものなのか、わかっていないみたいだから、ということらしいですが、一応今でも貴族として兵士になっていますわよ。

まぁ、そこはジーア様のご両親の優しさ、ですわよね。

あ、それから私とジーア様の婚約は無事に白紙となりました。

本当はジーア様が破棄、と言ってきたので、そのまま慰謝料も取るつもりだったんですが辞めましたわ。

だって、あまりにもジーア様のご両親が可哀そうですし、私もこの婚約がなくなって嬉しいですもの。

だって、新しく婚約を結ぶことにもなりましたからね。

そう思って私の隣に立つ、アレックス.......いや、アレクロイのことをチラッと見ると、今も魔物に向かって魔法を展開していますわ。

実はあの後、陛下とお父様の前で求婚されましたの。

アレックスの時に、私の本性は見せていますし、何よりアレクロイ以上に私のことを理解してくれる子息はいない、と思って喜んで受けることにしましたわ。

これは後から知った話なんですが、陛下が私とジーア様の婚約を反対していたのはアレクロイと私を結婚させたい、と考えていたからみたいなんですの。

でも、ジーア様の両親があまりにも必死に頼み込んでくるもので、渋々折れた、とのことでしたわ。

結局は陛下の望んだ通りになっているので、それはもう.....毎日のように嬉しそうに結婚式の話をしていますわ。

今日もどんな結婚式が良いか、と話して来たばかりですの。

嫌がられるよりは良いと思いますが、あまりのテンションの高さにこっちが引き気味になってしまっている、という状況ですわ。

でも、毎日が楽しいですし凄く充実していますわ。

そんなことを思っていると、気付かないうちに魔物を倒し終わったアレクロイが私の方を見て

「ジュリア?どうしたの?」

と不思議そうに首を傾げています。

視線を感じたんでしょうね。

気付いたらずっと見ていましたもの。

首を傾げているアレクロイに

「なんでもありませんわ」

と微笑むと、余計に不思議そうな顔をされてしまいましたわ。

そんなアレクロイを横目に

「さて、さっさと倒して王宮に戻りましょうか」

そう言って、魔法を展開させましたわ。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。

ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。 毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。

婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい

今川幸乃
恋愛
父の再婚で新しい母や妹が出来た公爵令嬢のエレナは継母オードリーや義妹マリーに苛められていた。 父もオードリーに情が移っており、家の中は敵ばかり。 そんなエレナが唯一気を許せるのは婚約相手のオリバーだけだった。 しかしある日、優しい婚約者だと思っていたオリバーの心の声が聞こえてしまう。 ”またエレナと話すのか、面倒だな。早くマリーと会いたいけど隠すの面倒くさいな” 失意のうちに街を駆けまわったエレナは街で少し不思議な青年と出会い、親しくなる。 実は彼はお忍びで街をうろうろしていた王子ルインであった。 オリバーはマリーと結ばれるため、エレナに婚約破棄を宣言する。 その後ルインと正式に結ばれたエレナとは裏腹に、オリバーとマリーは浮気やエレナへのいじめが露見し、貴族社会で孤立していくのであった。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。 その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。 自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……

「聖女に比べてお前には癒しが足りない」と婚約破棄される将来が見えたので、医者になって彼を見返すことにしました。

ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
「ジュリア=ミゲット。お前のようなお飾りではなく、俺の病気を癒してくれるマリーこそ、王妃に相応しいのだ!!」 侯爵令嬢だったジュリアはアンドレ王子の婚約者だった。王妃教育はあんまり乗り気ではなかったけれど、それが役目なのだからとそれなりに頑張ってきた。だがそんな彼女はとある夢を見た。三年後の婚姻式で、アンドレ王子に婚約破棄を言い渡される悪夢を。 「……認めませんわ。あんな未来は絶対にお断り致します」 そんな夢を回避するため、ジュリアは行動を開始する。

【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される

えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
 リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。  お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。  少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。  22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

離婚で構いません、王子がいるので。

杉本凪咲
恋愛
公爵令息のパストラと結婚した私。 しかし彼は私を裏切り、別の女性と浮気をしているよう。 浮気を知り悲しみの淵に立つ私に救世主が現れる。 それはこの国の第一王子だった。

処理中です...