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メイリスの恋
7話 メイリスside
しおりを挟むお嬢様に話をした方が良いと言われた次の日、私はワールを探していた。
約束をしていた訳ではなかったし、どこにいるのかサッパリわからないけど、何となく自分も話をしたいと思ったから。
正直、恋とかそういうのわかりませんし、ワールさんに恋をしているのかもサッパリわかりません。
ですが、告白されて、時間が経つにつれて、あんな断り方して大丈夫だったかな、とか、あの後聞いてた人からからかわれたりしなかったかな、とか思ってしまうんです。
昨日、お嬢様が自分勝手で私に色々言ってきたのであれば、私も充分自分勝手の自己中なんです。
あの日から、今まではなかった感情が込み上げてくるんです。
あの時の告白を受けたらどうなっていたかな、とかワールさんならお嬢様のそばに居るのを許してくれるんじゃないか、とかそんなことを考えてしまうんです。
自分で振っておきながら勝手ですよね。
ギルドの前を通ったとき、驚いた。
『シエラさん、メイリスさん、おかえりなさい』
そう書いてあった横断幕を見て。
わからないけど、なんとなくだけどワールさんも手伝ったんだろうな、と思うと頬が緩んでしまう。
私がふふ、と笑っていると
「メイリスさん......?」
という声が聞こえた。
すぐにわかった。ワールさんの声だって。
振り向くと、やっぱりそこにはワールが立っていた。
「どうしてここに?あ、ギルドに用事ですよね。すみません...じゃあ、僕はこれで......」
そう言って立ち去ろうとするワールの手を掴んで。
「待ってください......その、...用事があるのはワールさんです」
すると、ワールは驚いた顔をして、え?と呟いた。
引き止めたくせに、なんて言ったらいいのかわからなくて、えっと...その...しか言えない私をワールは不思議そうな顔をして見ている。
まだ、話はまとまっていないけど、自分の気持ちを伝えたいという一心で
「あの......私は恋をしたことがありません。だから好きだとかわからないんです。あと、お嬢様から離れるのも嫌です。それから、この国に移住することはできません」
とにかく、頭に浮かんできたことを言っているだけだから、もう自分でも訳分からないことになっているけど伝えたいことは言えた......と思う。
「ですので......告白はお受けすることができません。前回は理由も何も伝えず断ってしまって申し訳ありません」
私がそう言って頭を下げるとワールはふむ...と少し考えてから
「じゃあ、今言ったことが解決すれば付き合ってくれますか?」
と聞いてきた。
.........え?
ワールはニコニコしながら
「まず、メイリスさんとシエラさんを引き離そうなんて初めから考えていません。だって、俺が休みの時にナリス国に行けばいいだけですし。あ!移住もすることないですよ!なんなら俺が移住してもいいと考えているんで!」
そう言った。
周りは無表情に見えるかも知れないですが、今の私は物凄く驚いていますよ。
だって、まさかこんな答えが来るなんて誰も思わないですよね?
「それから、恋をしたことないなら、しましょうよ!俺と!今は好きじゃなくてもいいので、沢山話をして、それぞれのことを知っていって、好きになってください!」
そう言ってワールは解決したでしょう?とドヤ顔で私を見てきた。
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