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26話 バカだし汚いです

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あの後、中に居た人達、一人一人に挨拶をしてからギルドを出た。


「お嬢様、良かったのですか?」

とメイリスが心配そうな顔をして聞いてきた。

「いいのよ。だって、元々は傷心旅行という名のプチ家出みたいなものじゃない」

私がそう答えると、納得いかない、と顔に出ていたので笑ってしまった。

「シエラはやっぱり俺のことが好きだから戻る気になったんだよな!」

と後ろから馬鹿の声が聞こえてきた。

「.........お嬢様、これはどうするつもりですか?」

メイリスがと指をさしたのは勿論、マノンのことだ。

「そうよね、連れていく訳にもいかないし...汚いし」

「なっ...!シエラ!今、俺の事を汚いと言ったな!」

「そうですね。汚いですよね」

王宮にお世話になってると言えば絶対に付いてきてしまう。

それだけは絶対に阻止しなければ......

私は少し考えた後に

「マノン様は入国門の所で待っててくれるかしら?準備が終わり次第すぐ行きますわ」

とにこやかに告げるとマノンは顔をひきつらせながら、やっと風呂に入れると思ったのに...と呟いていた。

「あ、もし待っていなかったらナリス国には帰らないので」

と私が言うと、余程帰って欲しいのか、前とは扱いが違うことに驚いたのかどちらかわからないが、素直に門の方向にとぼとぼ歩いていった。

私とメイリスは何かしら騒ぐと思っていたので、素直に従ったことに驚いてしまった。

マノンが離れていくと、目の前に黒ずくめのガタイのいい男性が現れた。

さっきからマノンに気付かれないように後をつけていたから、多分護衛をつけられたのだろう。

「突然飛び出て来て申し訳ございません」

気付いてたから大丈夫よ、と答えると一瞬だけ驚いた顔をしてから

「まともに謝罪もすることなく、あのような物言い申し訳ございません。ですが、良い決断をして頂き感謝致します」

では、と立ち去ろうとしたのを引き止め、今のナリス国の状況を聞いた。

すると私が思っていた以上に大変なことになっていた。

作物は一応育ってはいるが、出来が悪く、量も減ってきていて、このままだと足りなくなってしまうらしい。

他にはら魔物が急に強くなったせいで兵士が足りていないだとか。
今、戦争を仕掛けられたら一瞬で負ける程ならしい。

これも、私が軽い気持ちで家出をしたせいだ、と凄く後悔した。





マノンの護衛と別れ、私とメイリスは王宮へと向かった。

急いで帰ったとしても、ハルエット国からナリス国までは3日くらいかかるため、すぐに出発しなければならない。

ハルエット国での生活はもちろん楽しかったが、予定では2週間くらいだったのを、2ヶ月近く家を離れてしまっていたのだ。
流石にもう帰らないと父上達も心配してしまう。


そんなことを考えながら、私とメイリスは道を急いだのだった。
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