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18話 第1王子です
しおりを挟むギルドでガルとサーヤとこれからの話し合いをした結果、特別扱いなどはせず、明日から1番下のFランク任務を受けることになった。
ワクワクする気持ちを抑えながら、明日の為にメイリスの服や日用品を買ってから城へと戻った。
「おかえり」
城に着くと、フォストが稽古終わりなのか汗だくの状態で出迎えてくれた。
「ただいま戻りました」
と言うとフォストは嬉しそうに顔を綻ばせた。
それを見て、私もつい微笑んだ。
すると、後ろから急に声が聞こえた。
「フォスト」
声のした方を見てみると、フォストと雰囲気の似た男性が立っていた。
「あ、お兄様。どうされました?」
「どうされました?じゃないよ。お客様の前で、そんなに汗だくの状態を見せるなんて常識を疑うよ」
と苦笑しながら言う男性はメガネをかけていて、知的な印象だが、どこかフォストと雰囲気が似ていた。
フォストは風呂に行ってきます!と言うと走ってその場を後にした。
男性は私とメイリスに視線を向けると
「貴方達がフォストを助けてくれたご令嬢ですね。父上から話を聞いています。カイン・レンダといいます」
と言った。
陛下とフォスト様とだいぶ違うなぁと考えているとまさかの王太子でした。
「挨拶が遅くなって申し訳ありません。シエラ・ハーヴェストと申しますわ。こちらは従者のメイリスです」
私がカーテシーをとろうとすると、カイン様に止められた。
なんでも、堅苦しい挨拶は我が家に必要ない、だそうだ。
とりあえず、今日買ってきた物を片付けようと思って部屋に戻ろうとしたら
「今日の夕食は僕も共にしていいかな?」
と聞かれたので、勿論ですわ、と答えるしかなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから約2週間後、
私とメイリスは、下のランクから順番にギルドの依頼をこなしてFランクからBランクにまで上がっていた。
サーヤ曰く、こんなに早くランクが上がるのは異例ならしく、凄く驚かれた。
さりげなく、ギルドマスターのガルがランクに合わない依頼を押し付けるのはやめて欲しいがそれ以外は順調に冒険者を楽しんでいた。
そんなある日、私とメイリスはガルから呼び出しをもらっていた。
「どうされたんですか?急に呼び出すなんて」
と聞くとガルは一言すまない、と謝ってから
「2人に参加して欲しい依頼がある」
と言われた。
「珍しいですね。どういう依頼なんですか?」
とメイリスが聞くと、少し気まずそうな顔をして
「実はAランク任務での人手が足りないんだ」
と言われた。
「なぜ私達なんでしょうか?」
このギルドには私達程ではないが強い人がいる。その人達はどうしたんでしょう?
「今、他の討伐に行ってて出払っているんだ。今回依頼を受ける奴らは確かにAランクの冒険者だが、なったばかりの駆け出しのようなものばかりでヒーラーもいない。頼む!」
そう言うとガルは頭を下げた。
ギルドマスターにここまでお願いされたら断れない。
メイリスを見ると仕方ない、という顔をして肩を竦めていたのでその依頼を引き受けることにした。
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