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64話

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とりあえず、なぜ色んな人に謝られるようなことになったのかわかったので、すっきりとしましたわ。

話を教えてくれたビビアン様にお礼を言った後に

「はぁ......とにかく、そんな理由なら別に謝る必要もありませんわ」

と私が呟くと、ビビアン様は苦笑していますが、中には話をしたことがない人もいますからね。

そんな人たちが、チラチラと私を見てくるのも面倒なんです。

なんて思っていると、

「それよりも、ブレイド様は何がありましたの?」

そういえば朝に何かしらあったことを伝えましたわね。

色々ありすぎて忘れていましたわ。

そう思いながら

「あぁ......本当にありえないことがありましたのよ」

とビビアン様にざっくりと起こったことを伝えましたわ。

もちろん、アンナ様の家が法に触れるようなことをしている、ということはまだ確定ではありませんし、何も関係のないビビアン様に教えるわけにもいかないので、初めて会ったのに、お兄様の膝の上に座っていちゃついていた、ということだけを教えました。

すると

「それは......ブレイド様もありえませんが、その令嬢も凄いですわね」

ありえない、という思いが伝わってきますわ。

それほどまでにアンナ様とお兄様の行動はあり得ないことで、私の感覚が間違っていないのもわかってよかったです。

そう思いながら

「そうなんですの。それに、自分の子供が次期当主にならないのはあり得ない、なんて話もしているらしいですし」

と言ってため息をつくと

「まぁ!シャルロット様の家の事情は皆知っているものだと思っていましたわ。流石に隣国の人だから知らなかったんでしょうか?」

そうなんですの。

我が家のことは、この国の人ならしっかりと知っている話ですわ。

だからこそ、次期公爵でありながら婚約者が出来ませんでしたもの。

ビビアン様の疑問に対して

「ですが婚約者になる人の家を何も調べないのはあり得ないと思いますわ」

と答えると

「そうですわよね..........」

と悩ませてしまいましたわ。

なんだか毎回心配させるようなことを言って申し訳ないですわね。

面白がって話を聞いてくるような令嬢と違ってビビアン様は本気で心配してくれていますし。

私だって出来ることなら楽しい話がしたいですわ。

でも、なんでか楽しい話が出来るようなことが起こりませんのよね。

はぁ.....もしかして私、運が悪いんでしょうか?

なんて思っていると、

「伯爵令嬢、ということなので、爵位が目当てで近付いた、とかでしょうか?」

とビビアン様が言いましたわ。

これに関しては

「失礼かもしれませんが、私も同じことを思っていますわ。お兄様の年齢で婚約者がいないなんて珍しいことですし」

公爵夫人、という地位は王妃様と側室様の次に高いものですからね。

アンナ様が欲しくなるのも頷けますわ。

それに自分の息子を公爵にしたら.......なんて考えていそうな人でしたし。

するとビビアン様は

「なんだか嫌な令嬢ですわね」

と苦笑しましたわ。

もう、それは私も同意見です。

本当に嫌な令嬢ですわ。

ビビアン様の言葉に頷いて

「えぇ、いっそのこと陛下に直談判して私が家を継ごうか、とも考えたくらいですわ」

そう言ってふふっと微笑むと

「それもそれで面白そうですわね」

今日見たビビアン様の笑顔の中で一番楽しそうな顔をして微笑んでくれました。


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