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51話 ブレイドside

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この家に引き取られてすぐの時のこと。

シャルロットは元々兄弟というものに憧れていて、急に来た俺のこともすぐに兄として慕ってくれるようになった。

俺もそのことが嬉しかったし、最初はこの家の息子として生きていくことについて不安しかなかったけど、シャルロットの屈託のない笑顔を見ているとそんな不安もどこかに吹き飛んでいくような、そんな気がした。

妹は可愛い。

父上も母上も優しい。

従者たちも急に来た俺のことを元々この家の息子だったかのように接してくれた。

これ以上、何を望むことがあるのか、と思うほどに恵まれた生活だった。

屋根裏部屋のようなところに押し込まれるわけではないし、必要な勉強もしっかりとさせてもらえる。

急にいなくなった本当の父上たちのことを忘れるのは無理だけど、今はもう顔も思い出せないくらいには記憶が薄れてしまっている。

でも、それを悲しいと思ったこともなかった。

それほどまでに、しっかりと愛情を注がれて育てられた、と自分でもわかっているからだ。

でもやっぱり、俺のことを面白く思わない奴もいた。

急に伯爵から公爵に来て、しかも息子として扱われている、だなんて当たり前だ、と思ったから

「お前が公爵当主になれるわけがないだろ!」

という声も

「どうせ公爵家を乗っ取ろうとして養子になったんだろ」

という声も黙らせるように必死に努力した。

ただ、1つだけどう頑張っても黙らせることが出来ないことがあった。

それが

「公爵の血が入ってないくせに」

という声だった。

これに関しては、過去に戻ってやり直したとしても、どう頑張っても言い返すことが出来ないことだった。

確かに俺には公爵家の血が一滴も入っていない。

それに、元々は何の関係もない家だ。

それなのに、なんで俺を引き取ってくれたのか、俺には理解できなかった。

だから、昔父上に尋ねてみたことがある。

「なんで血の繋がりもない俺のことを育ててくれるのか」

と。

すると父上は

「俺たちの間ではもう子供は無理だからな。それに、大事な親友の息子を路頭に迷わせるようなことはしたくなかった」

そう言って寂し気に微笑んだのが印象的だった。

シャルロットには話していないらしいが、親戚の家に預けられた男兄弟たちは最終的に、他の家に養子として迎えられているんだとか。

結局、自分たちの子供に後を継がせたいから、男である俺たちは邪魔になってしまったんだろう、と俺は思っている。

姉上たちはそれぞれ、商人の家だったり、貴族の人達と幸せに暮らしている、と手紙で報告があったから、それは感謝しているけどね。

そんな中、どうにかすればシャルロットを次期当主とすることも出来るはずなのに俺のことを、跡継ぎとして育ててくれた父上たちには本当に感謝しかなかった。

だからこそ、シャルロットが俺のことを、兄弟ではなく男として愛してくれていることに気付きながら、気付いていないふりを続けた。

家の利益にもなって、シャルロットも幸せになれる、そんな相手と結婚するのが一番だと思ったから。
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