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36話

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さて、時間が進んで放課後になりましたわ。

廊下で私とディアナ様の話を聞いた人がいるのか、なんとなく午前中よりかは過ごしやすくなりましたわね。

それに、ベルン様も絡んでくることはありませんでしたし、後は帰宅するだけです。

そう思っていると、ついに来てしまいましたわ。

誰にも話しかけられないように、となるべく早く席を立ったんですがそれよりも先に

「シャルロット、少し時間を貰っても良いかな?」

と声をかけられてしまったんです。

声をかけてきたのはレオンハルト様ですわ。

今日一日中、チラチラと私の方を見ていたのは察していましたが、なんとか近付いてこられないようにビビアン様の近くにいたんですの。

レオンハルト様が私に話しかけてきたことによって、クラスの人達は私達の方を横目で見てきますし、無駄に注目を浴びていますわ。

本当に面倒ですわね。

そう思いながら、レオンハルト様に

「嫌ですわ」

とだけ言って、逃げるように横を通り抜けようとしたんですが、サッと出口までの道を塞いできましたわ。

まぁ、まだ勝手に腕を掴んでくるよりはマシですが、これもこれでウザイですわね。

つい、レオンハルト様のことを睨みつけてしまいましたわ。

すると、レオンハルト様は苦笑しながら

「まぁまぁ、せっかく婚約者の候補に入れてもらったんだからアピールくらいはさせてよ」

そう言うと、一気にクラスがざわつきましたわね。

皆も誰が次期王妃になるのか、レオンハルト様の婚約者については興味津々でしたもの。

ここで候補とは言え私とレオンハルト様の婚約が知れ渡ってしまうと、また勝手に次期王妃はシャルロット、なんてバカみたいな噂が広まってしまいますわ。

1つの噂に右往左往させられるなんて、皆揃ってみっともない事なんですけどね。

レオンハルト様を睨みつけたまま、

「レオンハルト様を候補に入れたのは私ではなくお父様ですわ。勘違いしないでくださいませ」

そう言うと、再びざわつきましたわね。

多分、ここでヒソヒソと話している人たちは、レオンハルト様に何人かの令嬢の候補がいると思ったんでしょう。

候補に入れさせてもらった、という時点でレオンハルト様が候補だっていうことくらいわかりますのにね。

はぁ......悪いうわさが広まりそうで億劫です。

すると、レオンハルト様はさっきまでのニコニコとした顔とは一変して、真剣な顔で

「少しで良いから。遅くまでは引き留めない」

と私に言ってきましたわ。

遅くまで引き留めない、ですか。

前回もそう言っておきながら結構な時間まで引き留められましたのよね。

ですが、ここで断ったら余計に面倒な噂が広まりますし............。

とはいえ、レオンハルト様の相手をするのはとてつもなく面倒くさいです。

レオンハルト様をチラッと見ると、なんだか真剣そうな顔ですわね。

まぁ、一日中避けられてやっと話が出来ましたもの。

了承して欲しいですわよね。

そう思うと、私のせいで話せなかった、という罪悪感で

「10分で終わらせてくださいな。私も忙しいんですの」

と言ってしまいましたわ。

これが後に、面倒なことになることくらい安易に想像出来ましたのにね。



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