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20話

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そして迎えた放課後。

今日は久しぶりにビビアン様とお茶を飲んで帰ろう、という話をしていましたの。

お昼は邪魔されましたし、放課後くらいはゆっくりと楽しみたいですわ、と思ったのもつかの間

「シャルロット!」

と教室のドアの方から私の名前を呼ぶ声が聞こえてきましたわ。

はぁ.......なんで、こんなにも私の邪魔しかしてきませんの?

わざわざFクラスからここに来たのは褒めても良いですが、私もそんなに暇じゃありませんのに。

今日で何度目かもわからないため息をつきながら、教室に来たベルン様に

「何の用ですの?私も暇じゃありませんの」

と言って睨みつけると、一瞬ベルン様は後ずさりましたが、すぐに

「何の用って.......お前、アリスに嫌がらせをしているらしいな!」

と私に言ってきましたわ。

虐められている、ですか。

まぁ、本人に原因がありまくりなので全てが嘘ではないと思いますが、私には全く関係がないですわね。

大体、そんなことをするくらいなら早く家に帰ってお兄様と一緒にいた方が何倍も良いですわ、と言いたいですが流石に言えないので

「はぁ.....?そんなことをする暇があると思っていますの?」

とだけ言うと、ベルン様は

「とぼけても無駄だ!アリスが泣きながらそう言ってきたんだ!」

そう言って胸を張っていますわ。

私が犯人だ、と勝手に確定されているようですわね。

本当に良い迷惑ですわ。

つい、ため息をつきながら

「相変わらず周りが見えていないおバカさんですのね。大体、アリス様に嫌がらせをする理由がありません」

頬に手を当ててそう言うと、ベルン様も理由が思いつかないのか

「それは.......俺を取られたからその仕返しで.........」

なぜか、さっきまでの自信がなくなって小さい声でそう言いましたわ。

まぁ、自信がなくなるのも仕方がないことですわね。

だって

「何度も言っていますが、私はベルン様のことが嫌いですのよ?逆に奪ってくれて感謝しかしていませんわ」

ということを、何度伝えてきたことか。

一応、ベルン様もそのことは覚えていたんでしょうね。

ですが、ベルン様は

「だが、アリスがそう言っていたんだ!」

と私がやっていない、と言っても信じてくれないようです。

恋は盲目、という言葉は本当ですのね。

誰がどう見ても私がアリス様に嫌がらせなんてしませんのに。

なんて思いながら

「そう思うのなら嫌がらせをしている証拠と犯人を自分で探してあげたらどうでしょう?まぁ、そんなものはないと思いますが」

そう言って待っていてくれたビビアン様に、行きましょう、と声を掛けました。

バカに構っても仕方ないんです。

それをここまで話してあげているんですから感謝して欲しいですわ。

そう思いながらベルン様の横を通り過ぎようとすると

「逃げるのか!」

と言って、私の腕をつかんできましたわ。

本当に気持ちが悪いですわね。

私に触れて良いのはお兄様だけですわ。

そう思いながら、ベルン様の腕を思いっきり振り払って

「婚約破棄をなかったことにしろ、と言ってきたり、私にそうやって喧嘩を売ってきたり、何がしたいんですの?ハッキリ言ってどちらも迷惑ですわ。私に関わらないでくださいませ」

今までで一番、目に力を入れてそう言ってやりましたわ。

だって、本当に迷惑ですもの。

おバカさん達のせいで、私の時間がなくなるのは本当に嫌ですわね。
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