上 下
7 / 89

6話

しおりを挟む
そして、憂鬱ですが今日も学園に来てしまいましたわ。

はぁ.........本当なら、お兄様と一緒におうちでゆっくりしたかったんですけどね。

お兄様のいない学園だなんてつまらなすぎて反吐が出ますわ。

なんてことを考えているうちに放課後になってしまいましたわね。

まぁ、変に絡んでくる人もいませんし、何もなく終わってよかったんですが、皆腫れものを触るように扱ってくるんですのよ?

婚約破棄されて喜んでいる私にそんな扱いは不要じゃなくて?

そう思いながら帰宅のために廊下を歩いていると

「あ、私に婚約者を奪われたシャルロット様じゃないですかぁ~」

「あら、アリス様」

面倒な人に声をかけられましたわね。

しかも奪われた、なんて言い方も気に食わないですわ。

まぁ、そう思っても顔に出さないのが立派な淑女というものですけどね。

そう思っていると、アリス様はニヤニヤとしながら

「悔しいですか?私のような下の者に婚約者を奪われるなんて」

と言ってきましたわ。

周りで見ていた人も、まさかそんなことを言うなんて思っていなかったようで

「あ、アリス様!なんてことを!」

と言いながら止めていますが、内心面白がっているのがバレバレですわよ?

他の人なんて、わざわざ足を止めて私たちの会話を聞いていますからね。

ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべているアリス様にキョトンとした顔をしながら

「いえ?ベルン様のことでしたら心から婚約がなくなって嬉しいですわよ?」

そう言って首を傾げると

「は........?」

あらあら、顔が引きつっていますわ。

自分から喧嘩を売っておいて、そんな反応するのはおかしいですわよね?

するとアリス様は

「え、強がってるんですか~?」

引きつった顔のまま、再び私に喧嘩を売ってきましたわ。

この人は、人をバカにすることしか出来ないんでしょうか?

それに強がりも何も本当の話ですし。

心の中で大きくため息をつきながら

「本当のことを言ったまでですが.......それとも、今日一日中、私が落ち込んでいるように見えましたか?」

そう言って周りを見ると、都合の悪そうに目を逸らされてしまいましたわ。

はぁ.....そんなことなら最初から話を聞こうと立ち止まらなきゃ良い話ですのに。

わざとらしく、頬に手を当てて大きくため息をつきながら

「私、ベルン様が嫌いでしたの。大して顔も良くないのに自信家で、勉強も出来ない、何も取り柄なんてないくせに公爵家に生まれただけで威張っているような男なんて好きになるところがありませんわよね?」

そうアリス様に言うと、どうしても私が悔しがっている、ということを聞きたいのか

「そ、そんなこと言って、10年も一緒にいたのに悲しくないわけがないじゃないですか」

と言い返してきたので

「それを言ったらベルン様と婚約したくなくて、決まった時は1日中泣いていましたけど?だから、今は物凄く嬉しいんですの」

そう言ってニッコリと微笑んで差し上げましたわ。

はぁ......これだからアリス様は悪い噂が消えませんのよ。

こんなことをしている暇があったら、ベルン様の母親に好かれるように努力した方が身のためだと思いますわよ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。

木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。 彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。 しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

パーティー中に婚約破棄された私ですが、実は国王陛下の娘だったようです〜理不尽に婚約破棄した伯爵令息に陛下の雷が落ちました〜

雪島 由
恋愛
生まれた時から家族も帰る場所もお金も何もかもがない環境で生まれたセラは幸運なことにメイドを務めていた伯爵家の息子と婚約を交わしていた。 だが、貴族が集まるパーティーで高らかに宣言されたのは婚約破棄。 平民ごときでは釣り合わないらしい。 笑い者にされ、生まれた環境を馬鹿にされたセラが言い返そうとした時。パーティー会場に聞こえた声は国王陛下のもの。 何故かその声からは怒りが溢れて出ていた。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!

しずもり
恋愛
 ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。 お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?  突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。 そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。 よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。 *なんちゃって異世界モノの緩い設定です。 *登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。 *ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。

婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ
恋愛
侯爵令嬢であるアーデルハイドは妹を苛めた罪により婚約者に捨てられ流罪にされた。 全ては仕組まれたことだったが、幼少期からお姫様のように愛された妹のことしか耳を貸さない母に、母に言いなりだった父に弁解することもなかった。 言われるがまま島流しの刑を受けるも、その先は隣国の南の島だった。 食料が豊作で誰の目を気にすることなく自由に過ごせる島はまさにパラダイス。 アーデルハイドは家族の事も国も忘れて悠々自適な生活を送る中、一人の少年に出会う。 その一方でアーデルハイドを追い出し本当のお姫様になったつもりでいたアイシャは、真面な淑女教育を受けてこなかったので、社交界で四面楚歌になってしまう。 幸せのはずが不幸のドン底に落ちたアイシャは姉の不幸を願いながら南国に向かうが…

【本編完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。

はゆりか
恋愛
「お前との婚約は破棄させもらう」 「破棄…ですか?マルク様が望んだ婚約だったと思いますが?」 「お前のその人形の様な態度は懲り懲りだ。俺は真実の愛に目覚めたのだ。だからこの婚約は無かったことにする」 「ああ…なるほど。わかりました」 皆が賑わう昼食時の学食。 私、カロリーナ・ミスドナはこの国の第2王子で婚約者のマルク様から婚約破棄を言い渡された。 マルク様は自分のやっている事に酔っているみたいですが、貴方がこれから経験する未来は地獄ですよ。 全くこの人は… 全て仕組まれた事だと知らずに幸せものですね。

【完結】両親が亡くなったら、婚約破棄されて追放されました。他国に亡命します。

西東友一
恋愛
両親が亡くなった途端、私の家の資産を奪った挙句、婚約破棄をしたエドワード王子。 路頭に迷う中、以前から懇意にしていた隣国のリチャード王子に拾われた私。 実はリチャード王子は私のことが好きだったらしく――― ※※ 皆様に助けられ、応援され、読んでいただき、令和3年7月17日に完結することができました。 本当にありがとうございました。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

処理中です...