74 / 94
73話
しおりを挟む
まず、自分に届いた手紙ではなくお父様の方の手紙を読もう、と思った私は、早速受け取ったばかりの封筒から2枚の便箋を取り出しましたわ。
すると、ここでもまた手紙の一番最初に
『親愛なるー--......』
と書かれているのを見てつい笑いそうになってしまいましたわ。
手紙の最初は親愛なる、意外知らないんでしょうか?
そもそも、自分よりも年上の、しかもあまり関りのないお父様にもその言葉を使うなんて.......。
いまだに卒業試験を受けられないのも納得ですわよね。
なんて思いながら、手紙を読み進めましたわ。
えーっと.....まぁ、2枚にもわたる手紙の内容を簡単に説明するとしたら
『婚約破棄をなかったことにして欲しい。そして、我が家に金銭的な支援をしてくれ』
とのことですわね。
お父様が手紙を破り捨てたくなる、といった意味がよくわかりましたわ。
確かにこの内容は苛立ちますわよね。
そう思いながら便箋を折りたたんで再び封筒の中に入れていると、それに気付いたお父様が苦笑しながら
「どうだった?」
と聞いてきましたわね。
全く.....聞かなくてもどう答えるかわかっているでしょうに。
なんて思いながら、苦笑しているお父様に
「最悪ですわね。そもそも、なぜキーン様の家に金銭的な支援をしないといけませんの?それに、婚約破棄をなかったことに、なんて絶対に嫌ですわ」
ハッキリとそう言うと
「まぁ、当然だな」
と言って頷いていますわね。
そうです、当然なんですわ。
だって、婚約破棄をなかったことに、ということは、やっとキーン様から解放されたのに再び婚約なんて、自分から地獄に行くことと同じくらいのことですわよ。
まぁ、当の本人であるキーン様の方は私と会うたびに
「俺と婚約出来ることに感謝しろ」
と言っていたので、嫌がられている、ということを知らないんでしょうけど。
はぁ.......どうやったらここまで自分に自信を持てるのか、是非教えて欲しいですわね。
そう思いながら、お父様に便箋を入れた封筒を渡して
「というか、なぜ金銭的支援がー.....という話になっていますの?あれほど貧乏人だと言っていたではありませんか」
と気になったことを尋ねましたわ。
あれほどまでにバカにしていたのに、言動とこの手紙の内容が全く合っていないんですのよね。
あ、もちろん支援しろ、ではなく、支援してやるだったら話しは違いますわよ?
反省したのか、自分の言ったことをしっかりと考えたんだ、と私の方も婚約について考えるかもしれません。
ですが、このキーン様からの手紙の通り婚約をしたとして、我が家に何の利益があるんでしょう?
正直、婚約を結ぶ理由がありませんわよね。
なんて思っていると
「多分だが、ヴァイオレットが特許を取ったから、貧乏ではなくなった、とでも考えたんじゃないか?よく考えると、あの時の婚約の時に結んだ契約も、我が家にとって1つも利益はなかったな」
いま思い出したことのように言っていますが、衝撃ですわよ?
私だって、利益のない婚約だったらすぐにでも破棄したかったのに.....。
なんて思いながら、お父様に
「それでよく婚約していましたわね」
と言うと
「伯爵は相当口が上手いんだよ」
笑いながらそう言ってきましたが、私からすると笑い事ではありませんわよ?
すると、ここでもまた手紙の一番最初に
『親愛なるー--......』
と書かれているのを見てつい笑いそうになってしまいましたわ。
手紙の最初は親愛なる、意外知らないんでしょうか?
そもそも、自分よりも年上の、しかもあまり関りのないお父様にもその言葉を使うなんて.......。
いまだに卒業試験を受けられないのも納得ですわよね。
なんて思いながら、手紙を読み進めましたわ。
えーっと.....まぁ、2枚にもわたる手紙の内容を簡単に説明するとしたら
『婚約破棄をなかったことにして欲しい。そして、我が家に金銭的な支援をしてくれ』
とのことですわね。
お父様が手紙を破り捨てたくなる、といった意味がよくわかりましたわ。
確かにこの内容は苛立ちますわよね。
そう思いながら便箋を折りたたんで再び封筒の中に入れていると、それに気付いたお父様が苦笑しながら
「どうだった?」
と聞いてきましたわね。
全く.....聞かなくてもどう答えるかわかっているでしょうに。
なんて思いながら、苦笑しているお父様に
「最悪ですわね。そもそも、なぜキーン様の家に金銭的な支援をしないといけませんの?それに、婚約破棄をなかったことに、なんて絶対に嫌ですわ」
ハッキリとそう言うと
「まぁ、当然だな」
と言って頷いていますわね。
そうです、当然なんですわ。
だって、婚約破棄をなかったことに、ということは、やっとキーン様から解放されたのに再び婚約なんて、自分から地獄に行くことと同じくらいのことですわよ。
まぁ、当の本人であるキーン様の方は私と会うたびに
「俺と婚約出来ることに感謝しろ」
と言っていたので、嫌がられている、ということを知らないんでしょうけど。
はぁ.......どうやったらここまで自分に自信を持てるのか、是非教えて欲しいですわね。
そう思いながら、お父様に便箋を入れた封筒を渡して
「というか、なぜ金銭的支援がー.....という話になっていますの?あれほど貧乏人だと言っていたではありませんか」
と気になったことを尋ねましたわ。
あれほどまでにバカにしていたのに、言動とこの手紙の内容が全く合っていないんですのよね。
あ、もちろん支援しろ、ではなく、支援してやるだったら話しは違いますわよ?
反省したのか、自分の言ったことをしっかりと考えたんだ、と私の方も婚約について考えるかもしれません。
ですが、このキーン様からの手紙の通り婚約をしたとして、我が家に何の利益があるんでしょう?
正直、婚約を結ぶ理由がありませんわよね。
なんて思っていると
「多分だが、ヴァイオレットが特許を取ったから、貧乏ではなくなった、とでも考えたんじゃないか?よく考えると、あの時の婚約の時に結んだ契約も、我が家にとって1つも利益はなかったな」
いま思い出したことのように言っていますが、衝撃ですわよ?
私だって、利益のない婚約だったらすぐにでも破棄したかったのに.....。
なんて思いながら、お父様に
「それでよく婚約していましたわね」
と言うと
「伯爵は相当口が上手いんだよ」
笑いながらそう言ってきましたが、私からすると笑い事ではありませんわよ?
2
お気に入りに追加
2,664
あなたにおすすめの小説
子爵令息だからと馬鹿にした元婚約者は最低です。私の新しい婚約者は彼ではありませんよ?
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のカミーユ・シャスカは婚約者であり、侯爵のクロッセ・エンブリオに婚約破棄されてしまう。
カミーユには幼馴染で王子殿下であるマークス・トルドイが居た。彼女は彼と婚約することになる。
マークスは子爵令息のゼラン・コルカストを常に付き人として同行させていた。それだけ信頼のある人物だということだ。
カミーユはマークスと出会う為の日時調整などで、ゼランと一緒に居ることが増えていき……
現場を目撃したクロッセは新しい婚約者はゼランであると勘違いするのだった。
「最初から期待してないからいいんです」家族から見放された少女、後に家族から助けを求められるも戦勝国の王弟殿下へ嫁入りしているので拒否る。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられた少女が幸せなるお話。
主人公は聖女に嵌められた。結果、家族からも見捨てられた。独りぼっちになった彼女は、敵国の王弟に拾われて妻となった。
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章について考え中です(第二章が考えていた話から離れてしまいました(^_^;))
書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
侯爵様と婚約したと自慢する幼馴染にうんざりしていたら、幸せが舞い込んできた。
和泉鷹央
恋愛
「私、ロアン侯爵様と婚約したのよ。貴方のような無能で下賤な女にはこんな良縁来ないわよね、残念ー!」
同じ十七歳。もう、結婚をしていい年齢だった。
幼馴染のユーリアはそう言ってアグネスのことを蔑み、憐れみを込めた目で見下して自分の婚約を報告してきた。
外見の良さにプロポーションの対比も、それぞれの実家の爵位も天と地ほどの差があってユーリアには、いくつもの高得点が挙げられる。
しかし、中身の汚さ、性格の悪さときたらそれは正反対になるかもしれない。
人間、似た物同士が夫婦になるという。
その通り、ユーリアとオランは似た物同士だった。その家族や親せきも。
ただ一つ違うところといえば、彼の従兄弟になるレスターは外見よりも中身を愛する人だったということだ。
そして、外見にばかりこだわるユーリアたちは転落人生を迎えることになる。
一方、アグネスにはレスターとの婚約という幸せが舞い込んでくるのだった。
他の投稿サイトにも掲載しています。
お飾り王妃は愛されたい
神崎葵
恋愛
誰も愛せないはずの男のもとに嫁いだはずなのに、彼は愛を得た。
私とは違う人との間に。
愛されたいと願ったお飾り王妃は自らの人生に終止符を打ち――次の瞬間、嫁ぐ直前で目を覚ました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる