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17話

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殿下の話を聞いて、お父様が単純に忘れていただけなのか、それとも意図的に隠していたことなのか聞くことを心の中に決意して、とりあえず殿下に

「その、特許の金額?はいくらになっていますの?」

と聞いてみましたわ。

というのも、契約書に書かれている通り石鹸の売上1割は私に入ってくる、とのことなので、私自身何もしなくても入ってくる金額がある、ということですわよね。

当然ですが、だからといって働かない、という選択肢はありませんが、少しでもお父様達に楽をしてあげられるのかも、と考えましたの。

ただ1割なので本当に微々たるものでしょうけどね。

なんて思っていると、殿下は懐からもう一枚の紙を取り出して

「えーっと.....金額はー.......」

と呟きながら、頭の中で計算してくれていますわね。

なんだか面倒なことをさせてしまって申し訳ありませんが、わざわざ合計で教えてくれるのはありがたいですわ。

なんて思っていると、計算を終えた殿下は、ふぅ....と小さく息を吐いた後に

「合計で約1億6500万ジェム........くらいかな?」

満面の笑みでそう言ってきましたが........え、えーっと?

「今、い、1億と言いましたか?」

殿下の言葉がなかなか理解できず、そう尋ねると、

「そうだね。端数とかは切ったからもう少し上だけど」

と言ってさっきまで見ていた紙を私の前に差し出してきましたわ。

すると、その紙には今までの私に入ってきた金額.....つまり11年分の記録がしっかりと1枚にまとめられていて、年間で1500万円もの大金が私に入って来ていたことがわかりましたわ。

ちなみに、平民達の収入が年間で240万、商会や自分の店を持っている人でも年間570万が平均の年収なので、私が貰うことになるこの金額は明らかに桁がおかしい、ということになりますわね。

この金額だと......伯爵の年収くらいに相当するのではないでしょうか?

そう考えると相当な金額ですわよね。

なんて思っていると、

「まぁ、ずっと家にいてもこの金額は確定、と考えると結婚して少しでも贅沢したい奴はすぐに婚約を申し込んでくるだろうな」

ポツリと殿下がそう呟いた声が聞こえてきましたわね。

それを聞いた私は反射的に

「もしかして.......キーン様もそう思って私と婚約を.......」

と言ってしまいましたわよ。

だって、7歳で特許の話をしていたのなら、それを狙って来る人が少なからずいるに決まっていますわ。

キーン様との婚約は8歳の頃。

幼いながらも私が貰うことになるお金に目を付けていたのなら.......。

そう考えると、なんだかぞっとしてきて血の気が引いてしまった私に、殿下は

「いや、奴の場合はヴァイオレット嬢がここまで稼ぐことが出来る、と知らないからこそバカな行動をしたんじゃないか?」

苦笑しながらそう言ってきましたわ。

確かに.....殿下の言う通りお金が目的なら嫌でも私に対して優しくなりますわよね。

ですが、キーン様は最初から態度が悪かった。

そう考えたら、私のお金を狙っていたのはキーン様の.....。
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