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2話
しおりを挟む馬車に乗って1時間ほどが経った頃、やっとのことで家に到着しましたわ。
王都から特別遠いわけではありませんが、1時間も移動をしていた、と考えたら嫌な時間ですわよね。
なんて思いながら、早速家の中に入ると、流石にまだお父様達には話が伝わっていなかったので、想像以上に早く帰ってきた私とお兄様を見て
「2人とも、どうしたんだ?」
と驚いた顔をしていましたわ。
しかも、今はパーティーが始まる時間なだけあって既に18時を回っているというのに、お父様は今帰ってきたようで泥まみれの作業着を着ていますわね。
まぁ、普段から領民の畑だけではなく自分の畑の手入れをしたり、貴族とは思えないようなことをするのがお父様なので今更驚いたりはしませんけどね。
そもそも、我が家が貧乏なのも、お父様が平民達の税金を他の領地よりも明らかに少なく徴収している、というのも1つの理由ですが、育てた野菜は売るよりも畑を持っていない貧しい家の人達に分け与える、ということを繰り返しているからなんですのよね。
税金を少なく徴収するのであれば、その分お野菜を売るとか、領地の店が繁盛していたりとか.....そういうことがあればわかりますわよ?
ですが、我が家はこれといった特産品もありませんし、お店も他の領地とほぼ同じ....いや、少し劣っている店ばかりです。
はぁ......お父様の優しさでの行動なので、平民達からの人気は高いですが、それが原因で自分たちの首を絞めていたら意味がありませんわよね。
.....って、話が逸れてしまいましたわね。
質問したのに、なかなか返事が返ってこないので、作業着を着たお父様がキョトンとした顔をして、私の言葉を待っていますわ。
そんなお父様を見て、少し笑いそうになってしまいましたがグッと堪えて、早速
「キール様から婚約破棄されましたわ」
とあった出来事の結果だけをお父様に話しましたわ。
すると
「はぁ!?そ、それは一体どういうことだ!?ヴァイオレットの聞き間違えとかではないのか!?」
まぁ、当然ですが驚きますわよね。
だって、お父様自信が私とキール様の婚約は反対でしたが、あちら側に強く希望されたから渋々受けたような話なんですもの。
それなのに、他の令嬢にうつつを抜かして....いや、確かビビアン様のせいではない、でしたっけ?
なんて思っていると、今まで黙っていたお兄様が遠慮気味に
「ヴァ、ヴァイオレット.......先に着替えてきた方が良いんじゃないかな?皆これだと動きにくいだろう?」
と声をかけてきましたわね。
確かに、今日のパーティーに着て行ったドレスは、結構重たいものですし、お父様も一度シャワーを浴びた方が良いほど泥まみれですわ。
しかも、ここはまだ玄関だ、ということを考えたら
「確かにその通りですわね。お父様、着替えてから続きをお話ししますわ」
という結果になりますわよね。
ただ、お父様は話の続きが気になるみたいで
「え!?あ、いや.....今話してくれても........」
と言っていますけど。
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