冤罪で殺された令嬢が転生したら溺愛ルートでした

15話

帰り道、セルドリック様から何を話していたのか聞かれましたが、流石に答えることが出来ませんでした。

だって、

私は転生してて貴方とリナリーさんに何度も殺されているんです。

なんて言ったら頭がおかしい奴だ、と思われますもの。

私が言葉を曖昧に濁すとセルドリック様は複雑な表情を浮かべていましたが、仕方のないことなんです。

セルドリック様は私が言いたくないのを察してか、深く追求してこなかったので安心しました。


行きはあんなに楽しみで仕方なかったのに、リナリーさんに会ってから空気が悪くなってしまいました。

やっぱりリナリーさんとお話しなければ良かったです。

そう思っていると、セルドリック様が少し言いずらそうにしながらも

｢教えたくなったらで良いんだ。もしその時が来たらエリザベス嬢が何を抱え込んでいるのか、教えて欲しい｣

と言ってくれました。

驚きましたわ。

てっきり、言わないなら別にいいや、くらいだから追求してこないとばかり思っていました。

しかも、私が何かを抱えているって...気付いていたんですね。

そう思いながらセルドリック様の言葉に頷くと、約束だ、と笑っていました。

やっぱり今回のセルドリック様は今までと違います。

言うことも、行動も、あと雰囲気も。

今のセルドリック様なら、私が死んでしまう最後を選ばないのではないか......そう思ってしまいます。

重たかった空気が良くなったこともあって、その後は他愛もない話をしていると、いつの間にか家に到着しました。

馬車を降りる時の、また明日、と言う殿下の顔はなんとなく寂しそうに見えたような気がしますが多分、私の気のせいでしょう。





屋敷の中に入ると

｢おかえりー！｣

とお兄様がお出迎えしてくれました。

後ろにはニコニコしているお母様も一緒です。

｢ただいま戻りました｣

そう言って微笑むとお母様からの質問攻めにあいました。

何をしたのか、どこに行ったのか、何か問題は起こらなかったかなどなど......。

ここまでくると、可愛がられているのはわかりますが、心配しすぎな気がしますわ。

あぁ、それから、お兄様にリナリーさんと会ったことだけ伝えました。

話した内容は詳しくは言いませんが、殿下を私から奪い取ってやる、と言われましたとだけ伝えると、お兄様が大激怒していました。

間違ったことは言ってませんよね？

だって、私を殺すにはセルドリック様とリナリーさんが恋仲になるのは必須みたいなものですもの。

そうならないことを願いながら、怒っているお兄様を宥めるのだった。