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みんないらっしゃい

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「よっ! 遊びに来たぞ!」

「シュウくん、久しぶりだね」

「エリっち来たです!」

 インターホンが鳴り玄関を開けるとそこにはケン太とモミジさん、そしてジュリがいた。

「お前達、どうしてここが?」

「実は社長……シュウの父さんにバイトの事で呼ばれてシュウの家に行ったら、2人で同棲を始めるって聞いてな、冷やかしに来たぞ!」

「私はケン太くんに付いてきて……」

「私はケン太がデートしてたのを尾行してたです!」

「ジュリ……」

「うふふ、みんないらっしゃい、上がって?」

 晩ごはんの用意をするためにエプロンをしたエリザがみんなを招き入れる。
 おぉ…… なんか、エリザ……奥様っぽい! 

「お邪魔しま~す!」

「ごめんね急に押しかけて……」

「ふひー! エリっちとシュウっちの愛の巣に突撃です~!」

 ゾロゾロと入ってくるケン太達、丁度片付けも終わってて良かった。

「おぉ、結構広いな!」

「ここで2人で同棲……いいわね~」

「あの奥の部屋のベッド凄いです! ……くんくん、この部屋……なんか変なニオイするです!」

「ジュリ!!」

「うふふ~、ジュリちゃん、勝手に見たらダメだよ?」

「ひぃ! ごめんです~!」

 うふふ、と笑ったエリザの顔が恐い! あと……ニオイまで嗅ぐな!

「みんなご飯食べてく? 今から晩ごはん用意しようと思ってたから食べていって?」

 そしてみんなで晩ごはんを食べる事になった。
 台所に立つエリザ、その後ろ姿をチラリと見ながらケン太達と話をする。

「お前達が同棲なんてな~!」

「実は俺達、婚約者って事になって、今俺達が住むための家を改修してるんだよ」

「えぇ!? 話が大分早く進んでるな!」

「まぁな、……でもエリザからしたら長い間悩んだりしてたみたいだから、やっとって感じかもしれないけどな」

「エリザちゃんもヤキモキしてただろうな~」

「はっきりさせなくて悪かったとは思ってるよ」

「エリっちが最近落ち着いてきたのはそれが理由だったですか!」

「そうか?」

「シュウっちに極端にベタベタしなくなったです! それにシュウっちを見つめる目が優しくなったです」

「俺にはあまり分からないな~、でもエリザがより魅力的に見えるようになったよ」

「うへ~! またノロケです~!」

「うふふ、何の話をしてるの? ご飯出来たよ~」

 そしてみんなでエリザの作ったご飯を食べる。

「エリザちゃん料理上手だね! 今度私にも教えて?」

「いいですよ!」

「私も今度ケン太くんに……」

「うふふ♪」

  無言でガツガツと食べるケン太とジュリを横目に俺もエリザの作ったご飯を食べ進める。

 こんな美味い飯をこれから毎日食べれるなんて……
 そう思いエリザをチラッと見ると、俺の視線に気付き笑顔を向けてくれる。

 
 それからみんなで少しお喋りをして、ケン太達は帰っていった。

「じゃあまた明日な! 寝坊するなよ?」

「ふひひ! 今夜はお楽しみです!」

「2人ともやめなさいよ! それじゃあお邪魔しました」

「うふふ、また来てね♪」

「またな!」

 エリザと一緒に洗い物をして、ようやく2人きりでひと息つける。

「はぁ…… 今日はなんか忙しかったな」

「おつかれさまシュウちゃん」

 テレビを見ているとお茶を持ってきてくれたエリザが俺の横にピタリとくっつき座る。

 お茶を飲みながら2人でまったりテレビを見る。

「2人きりだと落ち着くし、幸せだな……」

「うん、私も……」

 俺に寄りかかるエリザの肩に手を回し軽く抱き寄せる。
 
 しばらくまったりとしてから、お風呂の準備をして2人で入り、そして……

「おやすみエリザ」

「おやすみシュウちゃん」

 同棲生活の初日はお互いに疲れが溜まっていたのでベッドに入ったら2人ともすぐに寝てしまった。

 そして次の日の朝……

「シュウちゃん起きて?」

「んん……」

「もうお寝坊さんなんだから! もう用意しないと学校遅れるよ?」

「ん~、エリザがギュッとしてくれたら起きる……」

「もうシュウちゃんったら~! うふふ~」

 そして寝ている俺をギュッと抱き締めるエリザ、すると……

「エリザ、おはよう……」

「やっと起きた? うふふ、おはようシュウちゃん」

 抱き締めたエリザと目が合うと優しい笑顔で俺を見つめていた。

 そんな感じでエリザとの同棲生活は始まった。

「うふふ、朝から元気……♥️」

 その日俺達は走って学校に行き、何とかギリギリで間に合った。


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