上 下
56 / 94

違うも~ん!

しおりを挟む
 リビングでワイワイ盛り上がる声がまだ聞こえる。
 俺はさすがに居辛くなったので自分の部屋に戻ってベッドで寝転がっている。

 それにしても、ダークエルフって大変だな~。
 でも、俺はやっぱりエリザと一緒にいたい……
 悩む事なんてないよな? 

 エリザも色々必死だったんだと絆が深まってそれがより分かった。

 俺に積極的にアピールしてたのも不安があったからじゃないかな? 本人はそんな事は絶対話さないだろうけど。

 ちょっとやり過ぎなアピールもあったけど、エリザが自分のすべてを使って俺を繋ぎ止めようとしてたのか……

 エリザの事をもっと大切にしてあげよう!
 それこそ不安がなくなるまで……

 ふぁ~! さすがに寝不足だから眠いな……
 さっきチラッと話が聞こえたけど、ダークエルフは子供が出来づらい、だから子供が出来る確率を上げるためにダークエルフは……性欲が強いとかなんとか……

 そんな話をしてる中さすがにリビングには居れなかった。

 でも確かにエリザは…… まあ凄かった……

 ……いかん! この事を考えるのはヤメだ!

 
 夏休み、あとはどうするかな? エリザはどこか行きたいとこあるかな?

 …………
 …………

「シュウちゃん、起きて?」

「ん…… あれ?」

「シュウちゃん、今日は私の家の庭でバーベキューしようだって!」

「バーベキュー?」

「アヤノおばさま達ももう行ってるよ? だからシュウちゃんも早く起きて行こう?」

「そうか……分かったよ」

「うふふ、シュウちゃんありがとね」

「えっ、何がだ?」

「寝言で『どんな事があってもエリザを離さないぞ!』って言ってたから」

「そんな寝言を!? ……まあ事実だからいいけど」

「私、嬉しいよ、シュウちゃんにそんなに想われてて、私も絶対シュウちゃんを離さないから!」

「エリザ」

「シュウちゃん」

 起き上がりエリザにキスをして出かける準備を始める。

 といってもすぐ側だからちょっと着替えるだけだが。

 そして2人でエリザの家に向かうと楽しそうな話し声が聞こえてきた。

「うちの家族も安泰だな!」

「そうだねトオルくん、ずっとエリザの様子を見てたから、いずれこうなるだろうとは思ってたけどね」

「そしたら、タケルの家と俺の家も家族か~! よろしくな!」

「まあエリザが産まれるくらいからの付き合いだし、昔から家族みたいなものじゃない?」

「まあ、それもそうか、わはは!」

「あなた飲み過ぎたらダメよ?」

「アヤノ、今日はめでたいんだ! これくらいいいだろ?」

「もー! 調子いいんだから!」

「あなた~? お肉焼けたよ~、ふー、ふー……はい、あ~ん♥️」

「アリサ、ありがとう!」

「うふふ~」

 エリザの家に着くと父ちゃんとタケルおじさんはお酒を飲みながら楽しそうにおしゃべり、母ちゃんとアリサおばさんはそれぞれ2人の横で肉などを焼いている。

「みんな楽しそうだな」

「うふふ、そうだね!」

「おっ! 主役の2人が来たぞ?」

「エリザとシュウくんもこっちへ来て食べなさい」

 そして俺達も加わりバーベキューをする。

「シュウも大人になったな~! エリザちゃんを大切にするんだぞ~?」

「そんなの分かってるよ! てか父ちゃん酒臭っ! どんだけ飲んでんだよ!」

「そんなに飲んでないぞ~? なあアヤノ?」

「あなた…… 飲み過ぎ! もう終わりよ!」

「そんな~! アヤノ~、そんな事言わないで~」

「そんなに可愛い声出してもダメ!」

「お願い! アヤノ~」

「もう! あと1本だけよ? ふふっ」

 父ちゃん…… 母ちゃんにベタベタくっついて甘えておねだり…… あんな父ちゃん見たことない! 母ちゃんも甘えられて嬉しそうにしてるし。

「シュウちゃんお腹空いたでしょ? ほら、これ焼けてるよ、取ってあげる!」

「ありがとうエリザ」

「うふふ、ふー、ふー…… シュウちゃん、あ~ん♥️」

「あっ! エリザ、またママの真似してる~!」

「違うも~ん! これはシュウちゃんに愛を込めてるだけだも~ん!」

「むむむ~!」

「うふふ」

 エリザとアリサおばさんはまたバチバチやってるし…… しょうがないな。

「エリザありがとう、美味しいよ!」

 後ろからギュっとエリザを抱き締めると、トロ~ンとした顔でエリザが振り返る。

「シュウちゃん、うふふ」

「あなた~! うちにもして!」

「分かったよアリサ」

「うふふ~、あなた~」

 あっちこっちでイチャイチャ、ベタベタ……

 俺達は似た者家族なのかもしれないな!

 そして旅行から帰ってきた夜は家族みんなで楽しく過ごした。




 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた

ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。 俺が変わったのか…… 地元が変わったのか…… 主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。 ※他Web小説サイトで連載していた作品です

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...