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離さないで♥️

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「わぁ~! シュウちゃんサメさんだよ~! おっきいね!」

「これは……凄い迫力だな!」

 俺達は今、サメの水槽を通り抜けるような通路を歩いている。

 トンネルのような道の回りはすべてガラス張り、足元にもサメが泳いでいる。

 そんな通路を腕を組ながらゆっくりと歩く俺達。

 エリザが上下左右をキョロキョロ見回す、そのたびにむにゅにゅん、むにゅにゅん、とお胸様が俺の腕を行ったり来たり……

 サメにドキドキ、エリザにドキドキしながら通路を進む。

「すごいすごい! ずっと来てみたかったから、私すごく楽しい!」

「エリザって水族館好きだよな~! そりゃ迷子にもなるわな」

「も~! シュウちゃんのイジワル~!」

「今日はエリザが迷子にならないように絶対に手を離さないからな」

「シュウちゃん、ずっと……離さないで♥️」

「エリザ、絶対離さないぞ!」

「シュウちゃん……」

「エリザ……」

 俺達が見つめ合っていると、周りのお客さん、そしてサメ達も俺達の事をチラチラと見ている。

 お客さんは分かるけど、なんでサメまで!?

 サメの水槽はかなりデカイのだが、それでもほとんどのサメが俺達の上下左右に集まって……

「わわっ! サメさん! もう! 私達の事、見すぎだよ? 他のお客さんもいるんだから!」

 エリザがそう言うとサメ達はみんなそれぞれ散っていった。

 えっ!? あのサメ達……

「エリザ、サメと話でも出来るのか?」

「出来ないよ~! うふふ、シュウちゃんったら何言ってるの~?」

「そうか……」

 偶然……だったのかな? そして俺達は次々と別の水槽を見て回った。

「あっ! 今度はクラゲさんだ、こんにちは! 元気?」

 するとクラゲはエリザの近くまで来てフヨフヨと泳ぐ。

「そっかぁ~! クラゲさんも大変なんだね、頑張ってね! うふふ」

 いやいや……エリザ、やっぱり会話してるだろ?

「今度は……ペンギンさん! どうしたの? ……ペンギンさん、そうだね、でもお外の方が暑いよ? ……うん、私は大丈夫だよ!」

 会話してるよね? なんて言ってたの? 俺にも教えて!? 

「エリザ……」

「どうしたの?」

「ペンギンと何話してたんだ?」

「えっ!? ペンギンさんとお話し? ここは暑いからお外に出たいって言うから、お外の方が暑いよ? って教えてあげたの」

「お、おお! やっぱり会話してるんじゃないか!」

「違うよぉ! 何となく私が勝手に思ってるだけだから」

「そうなのか?」

「そうだよ! うふふ、変なシュウちゃん」

 俺が変なのか? ……でもあのペンギンも必死にエリザに何か訴えかけていたような……

 そこにペンギンのところに氷を持っていく飼育員さんが来て、ペンギン達の前に氷を置く。

 するとペンギン達はその氷に飛びつくように群がっていった。

「うふふ、よかったねペンギンさん」

 するとペンギン達はエリザの方を見て、羽をパタパタ、やっぱり会話してる!

 
 今日は水族館に来て、エリザの不思議な能力? を知った俺だった。

 それから最後にエリザが1番楽しみにしていたイルカのショーを見に行った。

「イルカさ~ん! 頑張って~」

 1番前の方に座った俺達、俺に腕を絡めながらショーを楽しんでいた。

 
 高くジャンプするイルカに、エリザまで席から飛び上がりそうにお尻を浮かせたりしていた。
 そんなエリザの可愛い仕草を見ながらショーは進んでいく。

 そして係員から渡されたかっぱを着て、最後にイルカが客席に向かって水をかける。

「きゃ~! シュウちゃん、冷たいね~」
 
「あはは、って! エリザ!?」

「えっ? あ~ん! お胸のところが!」

 係員の人に渡されたかっぱのサイズがいまいちだったのか、サイズはピッタリだったが一部……その、お胸様のところのサイズが合ってなかったのか、パツパツなもんだから……ボタンとボタンの間がすき間になって、そこに水が!

 ショーが終わりかっぱを脱いだら、お胸様のとこだけ濡れて、ちょっと透け……

 エリザを俺の後ろに歩かせ、着替えを取りにロッカーへ行く。

 周りの人、特に男に見られないよう必死にガードをしながら歩き、そして……

「お待たせ! ごめんねシュウちゃん」

「ああ! 大丈夫か?」

「うん、下着まで濡れてたから時間かかっちゃった」

「大変だったな、それじゃあ行くか!」

「うん! うふふ♥️」

 ムニュンと俺の腕を挟むエリザ、あれ? さっきと感触が違うような……

 ま、いっか! よく分からないし!

 そして俺達は水族館を後にした。
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