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私の王子様
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「ん~! やっと着いたな~!」
「そうだね、でも電車に乗ってる時間もすごく楽しかったよ」
「まあな、2人きりで遠出する事もなかったしな」
電車を降り、とりあえず今日の目的地へ向かうために電車からバスに乗り換えなければいけないのでバス停へと向かう俺達。
「ふふ~ん♪ うふふ~ん♪」
「エリザ、ゴキゲンだな」
「シュウちゃんと旅行、恋人同士で旅行なんて……夢がまた1つ叶って私、すごく嬉しいの、だからゴキゲンになるに決まってるよ」
繋いだ手を大きく振りながら笑顔で俺を見るエリザを見て、俺もより嬉しくなる。
「ええと…… あっ! あそこのバス停だ!」
「本当だ! もうバスが停まってるね」
バス停を見つけた俺達、そしてバスに乗り込む。
「人が結構乗ってるな~!」
「夏休みの人が多いからじゃない?」
空いてる席に座った俺達、2人掛けの席だったので窓際に俺が座り、エリザが通路側に座る。
今日の目的地は水族館、このバスは水族館へ直行のバスなので、あとは着くのを待つだけだ。
「水族館なんて小学生ぶりか?」
「そうだね、シュウちゃん家族と私の家族のみんなで行った時が最後かな?」
「あの時はエリザが迷子になって探したな~!」
「その事は言わないでよ~! だって、イルカさん見てたらみんないなくなっちゃったんだもん!」
「俺が気付いて探しに行ったらイルカの水槽の前で泣いてたもんな」
「も~! でもあの時私を見つけてくれたシュウちゃん…… 私を助けてくれる王子様に見えて…… あ~、やっぱり私の運命の人はシュウちゃんなんだ! って思ったよ♥️」
「そんな大げさな……」
「ううん、大げさじゃないよ、だって、あの時から私の気持ちは変わらないもん! あの時よりもっともっとシュウちゃんの事……」
「エリザ」
「うふふ……私の王子様♥️」
王子様だなんて…… それならエリザは俺のお姫様か? ……なんてな!
俺にもたれ掛かるエリザの手を握り、2人とも思い出に浸っていると……
「お! ここ空いてるぞ」
「……う、うん!」
中学生くらいの男の子と、同じ年くらいの女の子…… その女の子は……
「……あの女の子、ダークエルフだよ」
「やっぱりそうか!」
その女の子は褐色の肌で雰囲気がなんかエリザに似ていると思ったがやっぱりダークエルフだった。
「エル、水族館でよかったのか?」
「うん! ……私はユウくんとならどこでも……」
「何か言ったか?」
「ううん、言ってないよ!」
「ふ~ん、そっか!」
カップル……ではなさそうだな、でも何か少し前の自分達を見てるようだ。
「いや~! 今日は暑いな! エルも色黒だから大変だな?」
「うん…… 太陽に当たるともっと暑くって……」
「それなら窓際に俺が座るからエルはそっちな!」
「……ユウくん、ありがとう」
「それにしても、元々色黒っていうのも大変だな~」
「えっ!? うん…… そうなんだよね、あはは」
あれはダークエルフって事を隠してるんだな、少し前のエリザ……あんな感じだったよな?
そのエリザはというと、俺の手をギュッと握り、前に座った中学生くらいの2人を見つめている。
「ユウくん、夏休みに私なんかと出かけてくれてありがとう!」
「なんかってどういう事だよ! 別に俺はエルが暇そうだから誘った訳じゃないぞ?」
「えっ?」
「エルと水族館行きたいから誘ったんだよ」
「ユウくん!」
「あとな……この際言うけど、エルは俺に何か遠慮してるだろ?」
「えっ? そんな事……ないよ?」
「俺に言いづらい事でもあるのか?」
「……」
「もしかして……エルがダークエルフだって事と関係あるのか?」
「ユウくん!? 何でそれを!」
2人の会話が聞こえてしまってるのだが……
エリザ! そんなに強く手を握ったら痛いから! ちょっと落ち着いて!
多分エリザはこの女の子を少し前の自分と重ね合わせているんだろうな?
「何でって…… 俺達幼なじみだろ? 小学生になった頃におばさんに聞いたからだけど……」
「ママ…… じゃあユウくんはずっと知ってたの?」
「ああ、よく分かんなかったから、図書館に行って『ダークエルフについて』って本を読んだよ」
「あの本を!?」
女の子がビクンとなると同時にエリザもビクンとなってる。
エリザまで……その本には何かあるのか?
「それで……その本を読んで、何か……分かった?」
「ああ」
女の子がビクビクと震えている。
ついでにエリザも……プルプル震えている。
その前に……
エリザ…… 手が痛いです!
その小さくて可愛いお手手のどこにそんな力が!?
そして……男の子が口を開く……
「そうだね、でも電車に乗ってる時間もすごく楽しかったよ」
「まあな、2人きりで遠出する事もなかったしな」
電車を降り、とりあえず今日の目的地へ向かうために電車からバスに乗り換えなければいけないのでバス停へと向かう俺達。
「ふふ~ん♪ うふふ~ん♪」
「エリザ、ゴキゲンだな」
「シュウちゃんと旅行、恋人同士で旅行なんて……夢がまた1つ叶って私、すごく嬉しいの、だからゴキゲンになるに決まってるよ」
繋いだ手を大きく振りながら笑顔で俺を見るエリザを見て、俺もより嬉しくなる。
「ええと…… あっ! あそこのバス停だ!」
「本当だ! もうバスが停まってるね」
バス停を見つけた俺達、そしてバスに乗り込む。
「人が結構乗ってるな~!」
「夏休みの人が多いからじゃない?」
空いてる席に座った俺達、2人掛けの席だったので窓際に俺が座り、エリザが通路側に座る。
今日の目的地は水族館、このバスは水族館へ直行のバスなので、あとは着くのを待つだけだ。
「水族館なんて小学生ぶりか?」
「そうだね、シュウちゃん家族と私の家族のみんなで行った時が最後かな?」
「あの時はエリザが迷子になって探したな~!」
「その事は言わないでよ~! だって、イルカさん見てたらみんないなくなっちゃったんだもん!」
「俺が気付いて探しに行ったらイルカの水槽の前で泣いてたもんな」
「も~! でもあの時私を見つけてくれたシュウちゃん…… 私を助けてくれる王子様に見えて…… あ~、やっぱり私の運命の人はシュウちゃんなんだ! って思ったよ♥️」
「そんな大げさな……」
「ううん、大げさじゃないよ、だって、あの時から私の気持ちは変わらないもん! あの時よりもっともっとシュウちゃんの事……」
「エリザ」
「うふふ……私の王子様♥️」
王子様だなんて…… それならエリザは俺のお姫様か? ……なんてな!
俺にもたれ掛かるエリザの手を握り、2人とも思い出に浸っていると……
「お! ここ空いてるぞ」
「……う、うん!」
中学生くらいの男の子と、同じ年くらいの女の子…… その女の子は……
「……あの女の子、ダークエルフだよ」
「やっぱりそうか!」
その女の子は褐色の肌で雰囲気がなんかエリザに似ていると思ったがやっぱりダークエルフだった。
「エル、水族館でよかったのか?」
「うん! ……私はユウくんとならどこでも……」
「何か言ったか?」
「ううん、言ってないよ!」
「ふ~ん、そっか!」
カップル……ではなさそうだな、でも何か少し前の自分達を見てるようだ。
「いや~! 今日は暑いな! エルも色黒だから大変だな?」
「うん…… 太陽に当たるともっと暑くって……」
「それなら窓際に俺が座るからエルはそっちな!」
「……ユウくん、ありがとう」
「それにしても、元々色黒っていうのも大変だな~」
「えっ!? うん…… そうなんだよね、あはは」
あれはダークエルフって事を隠してるんだな、少し前のエリザ……あんな感じだったよな?
そのエリザはというと、俺の手をギュッと握り、前に座った中学生くらいの2人を見つめている。
「ユウくん、夏休みに私なんかと出かけてくれてありがとう!」
「なんかってどういう事だよ! 別に俺はエルが暇そうだから誘った訳じゃないぞ?」
「えっ?」
「エルと水族館行きたいから誘ったんだよ」
「ユウくん!」
「あとな……この際言うけど、エルは俺に何か遠慮してるだろ?」
「えっ? そんな事……ないよ?」
「俺に言いづらい事でもあるのか?」
「……」
「もしかして……エルがダークエルフだって事と関係あるのか?」
「ユウくん!? 何でそれを!」
2人の会話が聞こえてしまってるのだが……
エリザ! そんなに強く手を握ったら痛いから! ちょっと落ち着いて!
多分エリザはこの女の子を少し前の自分と重ね合わせているんだろうな?
「何でって…… 俺達幼なじみだろ? 小学生になった頃におばさんに聞いたからだけど……」
「ママ…… じゃあユウくんはずっと知ってたの?」
「ああ、よく分かんなかったから、図書館に行って『ダークエルフについて』って本を読んだよ」
「あの本を!?」
女の子がビクンとなると同時にエリザもビクンとなってる。
エリザまで……その本には何かあるのか?
「それで……その本を読んで、何か……分かった?」
「ああ」
女の子がビクビクと震えている。
ついでにエリザも……プルプル震えている。
その前に……
エリザ…… 手が痛いです!
その小さくて可愛いお手手のどこにそんな力が!?
そして……男の子が口を開く……
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