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すぐにでも欲しいんですけど

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 ガタンゴトンと揺れる電車に合わせて、プルプルン、プルプルン♪ と揺れる……

 何が、とは言わない……

「シュウちゃん?」

「ど、どうした?」

「エッチ♥️」

「な!」

「うふふ、私はシュウちゃんの視線に敏感なんだよ?」

「ご、ゴメン!」

「謝らなくてもいいよ、だから……今日はいっぱい私だけを見て?」

 上目遣いで俺を見てくるエリザに思わずドキッとしてしまう。

 付き合い始めてからのエリザの仕草やアピールは俺の心をグッとつかまれてしまう。

「今日だけじゃなくて、俺はずっとエリザの事ばかり見てるよ」

「うふふ、それなら私はシュウちゃんにずっと見てもらえるように頑張ろ!」

 そして俺と繋いでいる手をニギニギ……指を絡めたり、俺の付けている指輪を指で撫でたり……

 すると混雑してきた車内、そして俺達の目の前ちっちゃい子供を連れたお母さんが、そしてお腹も膨らんでいるので妊婦さんかな?

 俺が立てば親子で座れるかな? と思い、

「良かったらどうぞ」

「あっ! すいません、ありがとうございます」

 エリザも一緒に立とうとしたのだが、エリザには席に座っててもらい、親子に座ってもらう。

「ありがとうございます、ご夫婦で旅行ですか?」

「えっ!?」

「はい、そうなんです、うふふ」

 エリザ? 俺達が夫婦って……
 
「お腹の赤ちゃんは何ヵ月なんですか?」

「もうすぐ産まれる予定なんです、それで今日は里帰りで……」

「そうなんですか~、僕は何歳なの?」

「……2才!」

「そうなの~! もうすぐお兄ちゃんだね♪」

「うん!」

「うふふ、可愛いね♪ ね、あなた?」

「あ、ああ、そうだな」

「お2人はお子さんの予定は?」

「私はすぐにでも欲しいんですけど、主人が……」

 そして俺の方を見るエリザ。
 冗談を言って俺を困らせようとしてるな?
 
 ……あれ? エリザの顔、もしかして本気で言ってる? 

「あ、あはは! こればっかりは授かり物だから、あははは~!」

 エリザ…… キッパリ否定出来ないようにジッと見つめてる訳じゃないよな? だからそんな真剣な目で見ないで!
 しかも何か奥様感も出しちゃってるし! 

「僕? どうしたの?」

「……」

 そして男の子はエリザに抱きつきお胸様に顔を埋める。
 あっ、俺のお胸様!

「す、すいません! こら! お姉さんから離れなさい!」

「うふふ、いいんですよ、よしよし♪ どうしたの?」

 くっ! 俺のよしよしまで! ライバル出現か?

「……」

「あらあら、おねむだったのかな~? はい、ねんねしようね~♪」

「本当にすいません……」

「いいんですよ私、子供大好きですから、    ね? あ・な・た♥️」

 なんだ!? 何のアピールなんだ? 俺を嫉妬させたい……訳でもないよな?

「そうだな……」

 返事に困った俺はそれしか言えなかった。

「すいません、ありがとうございました! ほらお姉さん達にバイバイしなさい」

「バイバ~イ!」

「うふふ、バイバイ♪」

 そして親子は目的地の駅に着いて降りていった。

 俺達の目的地はまだもう少し先なので、俺は空いた席に再び座る。

「おつかれさま、あ・な・た」

「エリザ……」

「うふふ~、夫婦だって♪ それに子供も可愛かった」

「結局エリザに抱かれたまま寝ちゃったもんな~」

「はぁ~、自分の子供だったらもっと可愛いんだろうな~」

「そりゃそうだろ」

「自分の子供か~」

「自分の子供……な」

「私の子供……」

「ああ」

「私との子供……」

 なんだよ! 子供子供言いながら俺の顔をチラチラ見て! エリザ、俺達は学生でまだ先の話…… 

「ふぅ~、何人でも産んじゃうんだけどな~?」

「……」

 エリザ……返事に困るから! なんて言えばいいんだよ?

「愛情たっぷりで育てちゃうのにな~?」

「……」

「旦那さんにも尽くしちゃうのにな~?」

 エリザのチラチラアピールが凄い!

「…………いずれ……な?」

「うん! うふふ~♥️」

 パッと俺を見て笑顔を浮かべるエリザに、
俺は照れくさくて窓の外の景色を見る。

 そして、そうしてるうちに俺達を乗せた電車は目的地へと到着した。
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