上 下
34 / 94

ウットリ

しおりを挟む
「それでアクセサリーショップで何してたです?」

 ジュリがエリザにそう聞くと、エリザはニコッと俺を見て笑い、そして何も言わず俺の右手を掴み上げて、自分も右手を上げジュリに見せる。

「なっ!? 2人お揃いの…… まさか! ペアリングですー!?」

 ジュリがデッカイ声で叫ぶもんだから、クラスのみんなが集まってきてしまった。

「なになに? あっ! エリザちゃんそれ!」

「ペアリング!? 羨ましい~!」

「校則違反よ! ……でも、かり田くん……いいなぁ~!」

「マミ子ちゃん! 今日買いに行こう!」

「かり田くん……嬉しい!」

 クラスのみんながワイワイと集まって言ってくる中、エリザはずっと笑顔で俺に腕を絡めている。

「あっ、2人ともここに立って? 写真撮ってあげる!」

 そう言ったのは取田さん、たしか写真部だったかな? 
 そして俺達は2人立って並び、そして指輪を見せながらなど何枚かツーショット写真を撮られた。

「エリザちゃん、現像したらあげるね?」

「ありがとう取田さん、うふふ」

 ちなみにこの内の1枚の写真を、取田さんがあるコンクールに出して賞をもらう事になるのだが、それはまた別の話だ。

 ワイワイとした休み時間も終わり、次の授業を終え昼食時間になり、エリザの作った弁当を食べ、次の授業の体育の準備のためにジャージに着替えにいく。

「昼飯の後の体育ってキツイよな~!」

「ああ、エリザの作った弁当は美味いからつい食べ過ぎちゃうしな~!」

「ノロケか? またノロケなのか?」

「ああ! その通りだ!」

「何~!? シュウのクセに生意気だぞ~!?」

「やめろって! ……ってあれ?」

 ジャージを着ようと思ったのだが、なんか……

「シュウ……それは?」

「なんか……縮んでる?」

 俺のジャージは明らかにサイズが小さかった。
 ……おかしいな、ジャージを入れてる袋は俺のだし。

 ジャージを着てみると、着れない事はなかったのだが、明らかに丈が短い。

「あはは! シュウ、何だよそれ!」

「おかしい、縮んだ? でもどうして…… もう授業始まるし、もう他のジャージも借りにいけないから……しゃあないか」

「あはは! つんつるてんだな!」

「うるせー!」

 ケン太に笑われながらグラウンドに行くと……

「……エリザ」

 グラウンドに先にいたエリザを見て、俺は一瞬で理解した。

 エリザの格好は明らかにサイズの合ってないダボダボのジャージ……

 エリザ! 俺のジャージと入れ換えたな!?

 そんなエリザは俺の視線に気が付いたのか、ニコッと微笑み俺のジャージのニオイを嗅いでいる。

 エリザやめて! この間ジャージ持って帰るの忘れたから汗臭いよ!? 

 そんな俺の願いも届かず、ニオイ嗅いでウットリとした表情を浮かべるエリザ。

 そんな事するんだったら俺も! 

 ジャージの上着のニオイを……

 あっ……これは…… 

 エリザのニオイ…… 落ち着くけど、なんか興奮する!
 イケない事をしているような…… マズイぞ!?

 慌ててジャージから顔離した俺を見て、エリザはクスッと笑う。

 男子と女子は別れて授業なので声をかける事は出来ない。

 だがエリザがこっちを見ながら口パク……

 シュウ……ちゃん……エッチ♥️

 多分というか、絶対そう言ってる!

 だ……い……す……き、そして投げキッス。

 そんな事…… エリザのジャージを着ながらエリザの事を意識する……

 イケない扉が開いてしまいそう!
 
 授業に集中するために見ないふりをするが、
 チラッと見ると目が合い、そして投げキッス……

「お前ら……」

「な、何だよ!?」

「ふん! 爆発してしまえ!」

「な!?」

 そんな事を言いながらの体育の授業……

 動くたびにエリザのニオイが付いてくる。
 ヤバい! 集中できないぞ?

 エリザ~! どうしてくれるんだよ!

 エリザの方を見ると、ウットリとした顔をしながら走っていた。

 エリザもか……俺達ヤバいカップルみたいだな……

 体育の授業に集中出来ず、お互いをチラチラと見合う俺達だった。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

3年振りに帰ってきた地元で幼馴染が女の子とエッチしていた

ねんごろ
恋愛
3年ぶりに帰ってきた地元は、何かが違っていた。 俺が変わったのか…… 地元が変わったのか…… 主人公は倒錯した日常を過ごすことになる。 ※他Web小説サイトで連載していた作品です

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...