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ウットリ

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「それでアクセサリーショップで何してたです?」

 ジュリがエリザにそう聞くと、エリザはニコッと俺を見て笑い、そして何も言わず俺の右手を掴み上げて、自分も右手を上げジュリに見せる。

「なっ!? 2人お揃いの…… まさか! ペアリングですー!?」

 ジュリがデッカイ声で叫ぶもんだから、クラスのみんなが集まってきてしまった。

「なになに? あっ! エリザちゃんそれ!」

「ペアリング!? 羨ましい~!」

「校則違反よ! ……でも、かり田くん……いいなぁ~!」

「マミ子ちゃん! 今日買いに行こう!」

「かり田くん……嬉しい!」

 クラスのみんながワイワイと集まって言ってくる中、エリザはずっと笑顔で俺に腕を絡めている。

「あっ、2人ともここに立って? 写真撮ってあげる!」

 そう言ったのは取田さん、たしか写真部だったかな? 
 そして俺達は2人立って並び、そして指輪を見せながらなど何枚かツーショット写真を撮られた。

「エリザちゃん、現像したらあげるね?」

「ありがとう取田さん、うふふ」

 ちなみにこの内の1枚の写真を、取田さんがあるコンクールに出して賞をもらう事になるのだが、それはまた別の話だ。

 ワイワイとした休み時間も終わり、次の授業を終え昼食時間になり、エリザの作った弁当を食べ、次の授業の体育の準備のためにジャージに着替えにいく。

「昼飯の後の体育ってキツイよな~!」

「ああ、エリザの作った弁当は美味いからつい食べ過ぎちゃうしな~!」

「ノロケか? またノロケなのか?」

「ああ! その通りだ!」

「何~!? シュウのクセに生意気だぞ~!?」

「やめろって! ……ってあれ?」

 ジャージを着ようと思ったのだが、なんか……

「シュウ……それは?」

「なんか……縮んでる?」

 俺のジャージは明らかにサイズが小さかった。
 ……おかしいな、ジャージを入れてる袋は俺のだし。

 ジャージを着てみると、着れない事はなかったのだが、明らかに丈が短い。

「あはは! シュウ、何だよそれ!」

「おかしい、縮んだ? でもどうして…… もう授業始まるし、もう他のジャージも借りにいけないから……しゃあないか」

「あはは! つんつるてんだな!」

「うるせー!」

 ケン太に笑われながらグラウンドに行くと……

「……エリザ」

 グラウンドに先にいたエリザを見て、俺は一瞬で理解した。

 エリザの格好は明らかにサイズの合ってないダボダボのジャージ……

 エリザ! 俺のジャージと入れ換えたな!?

 そんなエリザは俺の視線に気が付いたのか、ニコッと微笑み俺のジャージのニオイを嗅いでいる。

 エリザやめて! この間ジャージ持って帰るの忘れたから汗臭いよ!? 

 そんな俺の願いも届かず、ニオイ嗅いでウットリとした表情を浮かべるエリザ。

 そんな事するんだったら俺も! 

 ジャージの上着のニオイを……

 あっ……これは…… 

 エリザのニオイ…… 落ち着くけど、なんか興奮する!
 イケない事をしているような…… マズイぞ!?

 慌ててジャージから顔離した俺を見て、エリザはクスッと笑う。

 男子と女子は別れて授業なので声をかける事は出来ない。

 だがエリザがこっちを見ながら口パク……

 シュウ……ちゃん……エッチ♥️

 多分というか、絶対そう言ってる!

 だ……い……す……き、そして投げキッス。

 そんな事…… エリザのジャージを着ながらエリザの事を意識する……

 イケない扉が開いてしまいそう!
 
 授業に集中するために見ないふりをするが、
 チラッと見ると目が合い、そして投げキッス……

「お前ら……」

「な、何だよ!?」

「ふん! 爆発してしまえ!」

「な!?」

 そんな事を言いながらの体育の授業……

 動くたびにエリザのニオイが付いてくる。
 ヤバい! 集中できないぞ?

 エリザ~! どうしてくれるんだよ!

 エリザの方を見ると、ウットリとした顔をしながら走っていた。

 エリザもか……俺達ヤバいカップルみたいだな……

 体育の授業に集中出来ず、お互いをチラチラと見合う俺達だった。


 
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