上 下
26 / 188

対策

しおりを挟む





 私はチラッとカレルドを見る

「まぁ、この者たちなら良いだろう。
 どうせもう1人の侍女は気づいているだろうからな。」

 ニーナがピクリと反応する。

 私が受け取ってしまったジャガイモを一つカレルドが奪い取り食べる。

「お。うまいぞ?」
 食べながら言う。

 私も釣られてパクっと食べる。
 ホクホクで美味しかった。

 パチン。食べ終えたカレルドが指を鳴らした。
 すると、フワッと風が吹き上げ私達を囲むように風の壁ができた。

「これで外に声が聞こえない。」

「すごい…こんな事できるのね…」
 エマが言う

 “私もそう思った…”

 エノワールが言う。
「この技術は殿下くらいしかできないよ。
 普通はこんな事できない。」

 話を遮りカレルドが言う。
「そんな事はどうでもいい。
 この指輪が気になったんだろ?」

 そういい。カレルドがネックレスにつけた指輪をエマに見せ、すぐにシャツの中に隠した。

 エマは目をひん剥いてカレルドと私を交互に見た。
 ニコっとエマに笑いかけた瞬間抱きついていた
「おめでとうございます!!」

「エマ、ありがとう。」 

 するとカレルドがエマの肩をポンポンと叩き言う。
「俺は女同士でも嫉妬するから気をつけろ。
 エマ。名前を覚えたからな。」
 ニヤリと不敵に笑う

 バッとエマが私から離れ、手をあげ言う
「も、申し訳ございません!!もうしません!!!」

「ちょっと!私の侍女を脅さないでください!」
 エマの側にかけよりカレルドに怒る。

 笑うカレルド。
「もう1人の侍女はニーナだったか。
 お前はもう分かってたんだろ?
 いつからだ?」

 ニーナはカレルドの問いに答える。
「2ヶ月ほど前からそうではないかと思っておりました。
 確信したのは殿下が持ってこられた薔薇束を見た時です。」

「ほう。意味を知っていたのだな。」

「はい。昔曽祖母が話してくれた事を覚えていました。」

 “だからニーナは薔薇をみてビックリしてたのね。。。”
 ジャガイモを食べながら話を聞く、

 カレルドはさらに続ける。
「ちなみに、そこでイモに食らいついてるエノワールは俺の都合上初めから知っている。」

 エノワールは軽く手をあげるだけでジャガイモを食べ続ける。

 するとエマが声をあげる。
「え!?知らなかったの私のだけ!?
 今日からじゃなくてですか!?!!」

「そうだな。」
 カレルドがエマを見て笑う。

 エマは私を見る。
「大丈夫よエマ。私もエマと同じような気持ちよ。」

 自分だけ気づいていなかった事に落ち込んでるエマを慰める。

「この件はここに居る者しか知らない。
 公表はまだしない。
 両陛下にも伝えていないから気をつけろ。
 あぁ、マルセルも知っている。
 アイツには気をつけろ。」

 カレルドはニーナとエマに忠告する。
 2人は頷く。

「今夜マルセルがアルヤの部屋に来るだろう。意地でも止めろ。
エノワール。お前も付け。」

 エノワールは軽く頷く。

 するとニーナが言う
「なぜマルセル殿下が今夜来るとわかるのですか?
 それに明日の狩猟大会へのエスコートはマルセル殿下だとお聞きしておりますが。」

 それにカレルドが答える。

「庭園でアルヤといる所をマルセルに見せつけたからな。
 来るだろうと予想だ。
 きたら寝てるからとか言って追い返せ。

 明日についてはそのままマルセルにエスコートさせていい。
 そのまま送り出せ。
 人目を気にするアイツは明日は下手な真似しないだろう。
 俺がなんとかする。
 マルセルはアルヤの妃教育で関わってくる。
 コレまでのように接し、勘付かれないようにしろ。」


 ニーナとエマは返事をする。
「かしこまりました。」

 するとエノワールが言った。
「そんな見せつけたら怒って当然でしょ。
 マルセル殿下もお嬢様が好きなの知ってやったんだから
 ご自身でお嬢様を護衛しては?」

 “それは…言えてるわね。”

 カレルドに視線が集まる。

「ああ。いいだろう。
 じゃ、お前は俺が指示する事を全てやれよ。
 せっかく楽な方を譲ってやったのに。
 今夜は寝られないな。」

 カレルドがフッと不気味な笑みを見せる。

「な!!くそ、黙っていれば良かった」
 エノワールは肩お落とした。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

嫌われ者だった俺が転生したら愛されまくったんですが

夏向りん
BL
小さな頃から目つきも悪く無愛想だった篤樹(あつき)は事故に遭って転生した途端美形王子様のレンに溺愛される!

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

未亡人となった側妃は、故郷に戻ることにした

星ふくろう
恋愛
 カトリーナは帝国と王国の同盟により、先代国王の側室として王国にやって来た。  帝国皇女は正式な結婚式を挙げる前に夫を失ってしまう。  その後、義理の息子になる第二王子の正妃として命じられたが、王子は彼女を嫌い浮気相手を溺愛する。  数度の恥知らずな婚約破棄を言い渡された時、カトリーナは帝国に戻ろうと決めたのだった。    他の投稿サイトでも掲載しています。

私のバラ色ではない人生

野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。 だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。 そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。 ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。 だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、 既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。 ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。

虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

【完結】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜

ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。 そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。 悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。 「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」 こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。 新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!? ⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです。11/12 HOTランキング一位ありがとうございます!⭐︎

継母の心得

トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】 ※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。 山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。 治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。 不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!? 前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった! 突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。 オタクの知識を使って、子育て頑張ります!! 子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です! 番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

処理中です...