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薔薇と日記
しおりを挟む「ベット横にある薔薇って…誰かからの贈り物よ…ね?」
皇后はベット横のサイドテーブルに置いてある、カレルドが持って来た薔薇を指差す。
「あ、はい。カレルド殿下から頂きました。」
平然と答える私と対照に皇后はかなり驚く。
「カレルドが持って来たの!!!?あの子が!?」
“その驚きはわかる。私もはじめ驚いたもの。”
皇后は続ける。
「で!?」
「でっ、と、申されましても…」
チラッとニーナが見えた。
こっちを向いていたが、サッと目をそらす。
私は、正直に話す。
「何か意味があるのは分かっているのですが、その意味がまだ分からなくて…」
そう言うと驚きの表情を見せたがどんどん笑顔になっていく。
「まぁまぁまぁ!!そうなのねぇ!!
じっくり調べて考えて答えを出してあげてね!」
皇后は私の手をギュッと握りすぐ離して部屋の扉の前に行く。
「じゃ!陛下とまたくるわね!」
手を振りながら部屋を出た。
“皇后様も意味がすぐわかるのね…
分からない方がおかしいのかな…
考えて…か。”
ふぅ。
“それにしても。まるで台風ね。”
「ニーナ。お疲れ様。大変だったでしょう?」
「ありがとうございます、お嬢さま。」
疲れ切った顔のニーナにお水を注ぎ渡す。
すると
きー。
浴室のドアが開きエマが顔を出す。
「帰られましたか??
すみません、片付け終わったのですが出ていくタイミングが分からず…」
「ふふ。良いのよお疲れ様。さ。水でも飲んで?」
そう言いエマにも水を注ぐ。
「お嬢さま!そんな事は私が!」
エマが言う。
「いいのよ。さ。座って?」
3人で水を飲み小休憩だ。
「まだこの後、皇帝陛下も一緒にいらっしゃるのだから疲れていられないわよ」
そう。今のはイレギュラーであって本番はまだだ。
「そうですね!頑張ります!」
ニーナがそう言い一気に水を飲み干した。
つられてエマも水を飲み干す。
髪を乾かし、軽く化粧をし
ドレスを着る。
シンプルで控えめなネックレスとイヤリングをつける。
髪はあまりイジらずにアクセサリーを軽くつける程度にする。
あまり着飾ると皇后になに言われるかわからないから、その対策だった。
最後にヒールが低く歩きやすい靴を履き完成だ。
「とってもお似合いです!お嬢さま!」
エマが目を輝かせている。
「ありがとう。」
鏡で自分の姿を見る。
“我ながら、キレイね…”
青と水色の縦のグラデーションになってるスカート部分は揺れるたびに色を変える。
「いつ、いらしても良いように執務室でお待ちしましょうか。」
鏡を見ている私にニーナがいう。
「そうね。行きましょう」
そう言ってもそこのドアを開ければすぐ執務室だ。
ドアを開けると赤を基調にした部屋が広がる。
皇后陛下が以前使われていたものをそのまま使わせてもらっている。
私の大きな机の前にソファが二つ左右に分かれて置かれテーブルが真ん中に。
「お嬢さま、申し訳ございません、お茶とお菓子の準備がまだ出来てません。
急いで用意してきます!」
ニーナが私に謝る。
「皇后様が来られたものね、仕方ないわよ。
準備お願いね」
「はい!」
そう言うとニーナは部屋から出て行った。
私は自分の机に向かう。
キレイに整理整頓されていている。
右側の端に本が並べられている。
主に歴史の本だ。
“薔薇の本はないわね…”
歴史の本を手に取りパラパラとめくる。
“色々と書き込まれている…
私が使った後だ。勉強した記憶はないわね”
「妃教育はやり直しね。」
小さな声で言ったからエマには聞こえていないようだ。
椅子に座り引き出しを見る。
“特に引き出しには私に関するものはないか…”
1番下の引き出しだけ鍵穴がついている。
“ここは、確か…”
どこかに鍵があるはずと、辺りを見渡すがなかった。
「お嬢さま?どうかしましたか?」
エマが近づきてきた。
「下の引き出しに鍵がかかっているようなの。何か分からない?」
「いえ。鍵はお嬢さましか持っておらず管理もご自身でされてたので…」
“そうよね。私の机の鍵だものね。”
「あの…お嬢さま?まだ言うのは早いと思っていたのですが…」
「ん?何?」
「決して隠していたわけではないですよ!
あまり思い出すような事はよくないと言えなくて…」
オドオドとエマが前置きをする。
“記憶に関わる事なのね。”
不安そうなエマに言う。
「大丈夫だから、教えてくれる?」
「えっと。…お嬢さまは幼い頃から『日記』を書かれていました。
覚えていらっしゃいますか?」
“日記…
確かお兄様から日記帳をプレゼントでもらいその日から書いてたわね
なら、この引き出しには日記が入っているのかも”
「えぇ。…覚えているわ。」
「では、皇宮にきてから日記を2冊書かれていたことは…」
“日記を2冊?わざわざ?”
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