食べるということ

花乃

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くだものは鮮やかな食べ物

パイン

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王子が袋から取り出した。パインの缶詰だ。
「たまには缶詰も良いよね」
「まぁな、ちょっと待ってて」
ぼくは、台所から缶切りを持ってきた。王子の目の前で缶を開いていく。はじめはなかなか開けられなかった。刃先が空振り刷る。ぼくはあわてずに開けていった。だんだんと上手くなっていった。
「美味しそうだね」
王子は喜んだ。ぼくは自慢を隠せなかった。
「王子には開けられなかったんだろう。ここに持ってきた」
「そうだね。やっぱりバレた」
王子はパインを食べている。ぼくも義理で食べる。缶詰はとても甘い。気分が悪くなりそうだった。けれど顔には出さなかった。
「缶詰も悪くないね」
王子とぼくは反対の気持ちだった。
「まぁな。紅茶を飲むか」
「こんな日はコーヒーがいいな」
ぼくはコーヒーを入れた。まだ口が甘かった。パインの缶詰には鮮やかなパインの色があった。
「このパインね。都会のお店のなんだよ」
都会からきたパインの味。ぼくはもうひとつ食べた。甘い。コーヒーの味に逃げた。
「深くは聞かないんだね」
「まぁな。聞いてほしかったか」
「都会に遊びに行ったお土産なんだよ」
「ぼくも都会に行きたいな」
「友見だったら行きたいって言うと思ったよ。お土産探すの苦労したんだからね」
王子は、パインを指差した。ぼくは静かにうなずいた。だからパインは甘かった。
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