悪役令嬢は溺愛される

yui

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俺にはサディストの才能も・・・いや、ないな

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「ふぅ・・・。」

「お疲れ様です。アルト様。」

キングを警備の人間に渡してから俺が大きく息を吐くと、ジークフリードがにこやかにそう言ってきた。

「あぁ、とりあえず一番面倒なのは片付けたからな・・・にしてもえらいお前は機嫌が良さそうだが、どうかしたのか?」

いつもイケメンフェイスで微笑んでる奴だが何故か今はいつもより上機嫌に見える。
なんでだ?

「いえ・・・アルト様のあのエミリー様を馬鹿にされた時の怒り・・・そして、そのあとのゴミへの対応があまりにも素晴らしくて私も嬉しくなったのですよ。」

「まあ、本当は斬ってやりたいぐらいには頭にきていたがな。」

あのヤロウ・・・キングはエミリーのことを不細工呼ばわりした時には本気でやばかった。

俺のエミリーのどこが不細工だ!ジェシカの何十・・・いや、何百・・・いやいや、比べるのもおこがましいくらいの差があるだろうが!!

エミリーの美しさを例える言葉を俺は今だに持ち得ないことが悔やまれるくらいだよ!

それに、エミリーは美しさだけじゃなくて、可愛いし、優しいし、全てにおいてパーフェクトな女性だ!

天使・・・女神・・・妖精・・・ダメだ!・・・どれもエミリーの良さを称えるには足りない!!

あぁ、早くエミリーの元へ帰りたい・・・

「アルト様。現実逃避してないで次の仕事に取りかかりますよ。」

そんなことを考えているとジークフリードがにこやかに現実を突き付けてきた。

鬼!悪魔!鬼畜執事!

「わかってるさ・・・それで?あちらの様子は?」

「アルト様の予想通り静観の構えを取られるようです。こちらが流した情報にも対した動きを見せる様子はないですね。」

「やはりか・・・」

ひとまずキングは片付けた。
残るメンバーは留学生のマイクと教師のベンツ・・・それに幼馴染のフォードに義弟のジャンの4人。

ひとまず幼馴染と義弟はいいだろう。
この二人に関してはヒロイン様に任せて・・・俺は残りのマイクとベンツを片付ける。

まずは・・・

「それで、裏は取れたのか?」

「はい。こちらに。」

俺の問い掛けにジークフリードはどこからか書類を取り出してこちらに渡してきた。

本当に、疑問だらけの執事だけど、きっと執事という職業は人類を超越した存在なのだろう。

俺はジークフリードの出した書類に目を通して・・・頷いた。

「流石だな。」

「恐れ入ります。」

恭しく頭を下げる万能執事さん。
よし・・・これで、次のターゲットを潰す準備は完璧だ。

「アルト様。お顔が凶悪になってますよ。」

「おっと・・・そんなにやばかったか?」

自分でも知らないうちに腹黒い顔をしていたようだ。

まあ、でも仕方ない。

エミリーを害そうとする存在は駆逐せねばならないからな。

「はい。端的に申しましてエミリー様に怖がられるくらいには凶悪です。」

「それはダメだな。」

エミリーに怖がられる・・・想像するだけで身震いする。
多分、俺はエミリーに「嫌い」とか「怖い」って言われた瞬間に今世の人生を終わらせる覚悟ができるくらいだろう。

いや、基本的に人の不幸が好きな訳ではないというのもあるだろうけど、エミリーに関してはもはや別なんですよ。

エミリーが負の感情を抱くこと事態が俺には耐えられない!
エミリーには常に笑っていて貰いたいというのが本心だ。

まあ、とはいえ、恥じらいとかで少し涙目なエミリーを見るのも少しいいなぁ・・・なんて思うこともあるわけで・・・あれ?俺って実は少しサディストなのかな?

いや、別にエミリーにそういう・・・なんていうかアブノーマルなことをしたいわけではないよ?

むしろ、エミリーに傷とかつけるのはできないし、したくない。
でも、ちょっと恥じらっていても素直に言うことを聞くエミリーというのを想像すると・・・あぁダメだ!色んな意味で理性が耐えられない!

早くエミリーに会いたいよぅ・・・

「でしたら、さっさと終らせてくださいよ。」

「心を読むな。イケメン執事。」

「読まずともお顔に出てますよ。」

そうか・・・あまりにもエミリー成分が足りなくて顔に出てしまっていたか。

うん。よし。

「さっさと終らせるか。」

一刻も早くエミリーの元へ戻るために俺は次の行動を開始する。




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