悪役令嬢は溺愛される

yui

文字の大きさ
上 下
26 / 79

俺にはサディストの才能も・・・いや、ないな

しおりを挟む
「ふぅ・・・。」

「お疲れ様です。アルト様。」

キングを警備の人間に渡してから俺が大きく息を吐くと、ジークフリードがにこやかにそう言ってきた。

「あぁ、とりあえず一番面倒なのは片付けたからな・・・にしてもえらいお前は機嫌が良さそうだが、どうかしたのか?」

いつもイケメンフェイスで微笑んでる奴だが何故か今はいつもより上機嫌に見える。
なんでだ?

「いえ・・・アルト様のあのエミリー様を馬鹿にされた時の怒り・・・そして、そのあとのゴミへの対応があまりにも素晴らしくて私も嬉しくなったのですよ。」

「まあ、本当は斬ってやりたいぐらいには頭にきていたがな。」

あのヤロウ・・・キングはエミリーのことを不細工呼ばわりした時には本気でやばかった。

俺のエミリーのどこが不細工だ!ジェシカの何十・・・いや、何百・・・いやいや、比べるのもおこがましいくらいの差があるだろうが!!

エミリーの美しさを例える言葉を俺は今だに持ち得ないことが悔やまれるくらいだよ!

それに、エミリーは美しさだけじゃなくて、可愛いし、優しいし、全てにおいてパーフェクトな女性だ!

天使・・・女神・・・妖精・・・ダメだ!・・・どれもエミリーの良さを称えるには足りない!!

あぁ、早くエミリーの元へ帰りたい・・・

「アルト様。現実逃避してないで次の仕事に取りかかりますよ。」

そんなことを考えているとジークフリードがにこやかに現実を突き付けてきた。

鬼!悪魔!鬼畜執事!

「わかってるさ・・・それで?あちらの様子は?」

「アルト様の予想通り静観の構えを取られるようです。こちらが流した情報にも対した動きを見せる様子はないですね。」

「やはりか・・・」

ひとまずキングは片付けた。
残るメンバーは留学生のマイクと教師のベンツ・・・それに幼馴染のフォードに義弟のジャンの4人。

ひとまず幼馴染と義弟はいいだろう。
この二人に関してはヒロイン様に任せて・・・俺は残りのマイクとベンツを片付ける。

まずは・・・

「それで、裏は取れたのか?」

「はい。こちらに。」

俺の問い掛けにジークフリードはどこからか書類を取り出してこちらに渡してきた。

本当に、疑問だらけの執事だけど、きっと執事という職業は人類を超越した存在なのだろう。

俺はジークフリードの出した書類に目を通して・・・頷いた。

「流石だな。」

「恐れ入ります。」

恭しく頭を下げる万能執事さん。
よし・・・これで、次のターゲットを潰す準備は完璧だ。

「アルト様。お顔が凶悪になってますよ。」

「おっと・・・そんなにやばかったか?」

自分でも知らないうちに腹黒い顔をしていたようだ。

まあ、でも仕方ない。

エミリーを害そうとする存在は駆逐せねばならないからな。

「はい。端的に申しましてエミリー様に怖がられるくらいには凶悪です。」

「それはダメだな。」

エミリーに怖がられる・・・想像するだけで身震いする。
多分、俺はエミリーに「嫌い」とか「怖い」って言われた瞬間に今世の人生を終わらせる覚悟ができるくらいだろう。

いや、基本的に人の不幸が好きな訳ではないというのもあるだろうけど、エミリーに関してはもはや別なんですよ。

エミリーが負の感情を抱くこと事態が俺には耐えられない!
エミリーには常に笑っていて貰いたいというのが本心だ。

まあ、とはいえ、恥じらいとかで少し涙目なエミリーを見るのも少しいいなぁ・・・なんて思うこともあるわけで・・・あれ?俺って実は少しサディストなのかな?

いや、別にエミリーにそういう・・・なんていうかアブノーマルなことをしたいわけではないよ?

むしろ、エミリーに傷とかつけるのはできないし、したくない。
でも、ちょっと恥じらっていても素直に言うことを聞くエミリーというのを想像すると・・・あぁダメだ!色んな意味で理性が耐えられない!

早くエミリーに会いたいよぅ・・・

「でしたら、さっさと終らせてくださいよ。」

「心を読むな。イケメン執事。」

「読まずともお顔に出てますよ。」

そうか・・・あまりにもエミリー成分が足りなくて顔に出てしまっていたか。

うん。よし。

「さっさと終らせるか。」

一刻も早くエミリーの元へ戻るために俺は次の行動を開始する。




しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています

平山和人
恋愛
伯爵令嬢であるオフィーリアは、ある日、前世の記憶を思い出す、前世の自分は平凡なOLでトラックに轢かれて死んだことを。 自分が転生したのは散財が趣味の悪役令嬢で、王太子と婚約破棄の上、断罪される運命にある。オフィーリアは運命を受け入れ、どうせ断罪されるなら好きに生きようとするが、なぜか周囲から溺愛されてしまう。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

悪役令嬢の居場所。

葉叶
恋愛
私だけの居場所。 他の誰かの代わりとかじゃなく 私だけの場所 私はそんな居場所が欲しい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※誤字脱字等あれば遠慮なく言ってください。 ※感想はしっかりニヤニヤしながら読ませて頂いています。 ※こんな話が見たいよ!等のリクエストも歓迎してます。 ※完結しました!番外編執筆中です。

処理中です...