悪役令嬢は溺愛される

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学園の中心で愛を叫ぶ!・・・あれ?これってプロポーズ?

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昼休み、俺とロインは授業が終わると早めに教室を出て、エミリーのクラスへと向かう。

一刻も早くエミリーの顔を見たいのもあるが、何やら胸騒ぎがしたからだ。

エミリーのクラスへと近づくと何やら辺りが騒がしくなっていた。
もしかして・・・

「ロイン。」

「ああ。急ごう。」

こちらと同じように嫌な予感を感じたのだろうロインと共にエミリーのクラスへと入る。

俺が近づくと自然と道が開いていき、そこには俺の用意した侍女に取り押さえられている一人の男の姿があった。

見た目的にはこの学園の警備の甲冑を着ているけど、多分予想通りキングの手のものだろう。

「アルト様。」

そして、俺が会いたかったエミリーもあちらから気付いて俺に近寄ってきてくれた。

「エミリー大丈夫ですか?」

「はい。私は大丈夫ですが・・・」

チラリと視線を男に向けるエミリー。
俺はさりげなくエミリーを抱き寄せて男を取り押さえている侍女に視線を向けた。

「何があった?」

「はい。こちらの男がエミリー様に襲いかかろうとしたところを取り押さえました。」

「襲いかかろうとしただと?」

俺のエミリーに襲いかかろうとした?なんだそれは。

怒りで震えそうになる拳を、しかし抱いているエミリーの柔らかさから緩くしてエミリーを怖がらせないように穏やかに・・・しかし確かに怒気を含めて聞いた。

「その格好・・・この学園の警備の者だな。詳しい話を聞こう。ジークフリード連れていけ。」

「はい。」

俺の言葉にどこからともなく現れたイケメン執事は颯爽と侍女が取り押さえている男を縛ると煙のように一瞬で消えた。

いつもながらあいつは本当に人間なのか?

「アルト様。すみません・・・。」

「エミリー?」

そんなことを考えていたら俺が抱き締めていたエミリーが顔を赤く染めながらも申し訳なさそうにしていた。

なんでだ?

「私のせいで、またアルト様にご迷惑を・・・。」

迷惑?もしかして今回のことも前のことも自分のせいだと思って気にしてるのか?
なんて健気な・・・いや、そんな言葉では表せない。天使のような心を持っているんだエミリーは!

と、そんなこと考えるよりもエミリーのフォローが先か。

俺はそっと腕の中のエミリーの頬に手を添えてイケメンフェイス全開で微笑んであげる。

「エミリーのせいではないよ。それにもし仮にエミリーのせいで何があったとしても私はエミリーのためならなんでもしよう。他の誰でもない・・・世界でただ一人の私のエミリーのためなら・・・ね?」

「あ、アルト様・・・」

かぁ、と効果音が出そうな程に真っ赤になるエミリー。
そして、周りに人がいることを思い出したようで、チラリと視線を後ろで密かに見守っていた親友のマリーナとロインに向けてから恥ずかしそうに俺の胸元あたりに顔を埋めた。

な、なんだ・・・この天使は・・・!

ここが公衆の面前なのを忘れて襲いかかろうとしてしまうのをどうにか理性で制するが・・・なんなんだよ・・・エミリーは俺を萌え殺す術を心得ているのか!?

と、エミリーを愛でるのは後回しに・・・したくないがとりあえずはこの場をなんとかしよう。

「皆のもの騒がしくしてすまなかった。どうにも物騒な者が増えているようだが・・・この際だからハッキリと宣言しようと思う。」

辺りにはジェシカハーレムのメンバーとジェシカ本人は見当たらないが、牽制は必要だろう。

「私の婚約者であるエミリー・キャロラインはいずれこの国の王女となる私の伴侶だ。何やら私とエミリーの仲が悪いと勘違いしている者がいるようだからハッキリと言おう。私はエミリーのことを世界で一番愛しく思っている!今後私のエミリーに何かあれば・・・この、アルト・フォン・クロードの名の元に私と我が国を敵に回すと思え!」

俺の宣言を腕の中で聞いていたエミリーはそれはそれは顔を真っ赤にして可哀想なくらい恥ずかしそうに・・・でも少し嬉しそうな表情をしていた。

俺の宣言を受けて辺りは静寂に包まれるが、ロインがいち早く動いて俺の側により膝をついて頭を下げた。

「ロイン・マクダベル・・・殿下と妃殿下への忠誠を誓います」

「マリーナ・ウッドレスも同じく。」

ロインに続いてマリーナも俺とエミリーの前でそう宣言したのを皮切りに他のその場にいた者も慌てたように頭を下げた。

ある意味、やってることはゲームのアルトと似たようなものだけど、とりあえずこれで、俺とエミリーの仲を邪推する者も多少は減るだろう。

何より重要なのは、ジェシカの行動が本来は俺やエミリーに対して行っていい行動ではないと周囲に分からせる切っ掛けにもなりえるだろう。

いくら身分は構わない学園とはいえ、それはあくまで学園の中での話。国としての俺とエミリーの立場は明確にしておければとりあえず大丈夫だろう。

「話は以上だ。騒がしくしてすまなかった。行くぞロイン、マリーナ。」

「「はい。」」

そうして、俺とエミリーとロイン、マリーナはその場を後にする。

ちなみにその間エミリーはずっと、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俺の腕の中で悶えていたので、澄ました表情を俺はしながらも内心ではいつ狼へと変貌するか気が気でない状況だったのは仕方ないだろう。

エミリーが可愛いから仕方ないのだ!



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