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88 王子様育成計画

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「さて・・・どうするか」

引き受けた以上対策を練らないといけない。相手は王子様だ。どの程度本気で教えていいものか。一応時々教えてるミゲルの場合はある程度基礎を仕込んでから望むだけ与えるつもりでやってはいるが・・・王子様レベルとなるとどこまでやっていいのか悩む。おそらく剣術の基礎はかじってるだろうし、そこから考えると妥当なのは・・・

「俺から一本取れるまでくらいか?」
「いや、それは無理でしょう」
「ジーク、何の話かわかって言ってるか?」

他の仕事をしながら答えるジークに視線を向けると不敬にもそのまま仕事をしながら答えた。

「なんとなくわかります。セリュー殿下に剣術を御指南されるそうで」
「だから、俺なりに考えたんだが・・・やはり、俺を越えるくらいには強くなってもらいたいものだ」
「難易度上がってますよ。そもそもあなたみたいな化け物簡単に越えるなんて無理ですよ」
「失礼な奴だ。ミゲルよ、君はどう思う?」

そう聞くと慣れてきた書類仕事に励んでいたミゲルは苦笑しながら答えた。

「カリス様はお強いですから、殿下もきっと憧れてますよ」
「そうか?というか、話をそらしたな」
「えっと・・・剣術を教えるのですよね。だったらカリス様に憧れる殿下はきっとカリス様と同じレベルまで要求してくるかと」
「なんだかやけにセリュー様に詳しく聞こえるが面識あったのか?」

意外な台詞にそう聞くとミゲルは頷いてから言った。

「このあいだ訪問された時にお話をしました。とても気さくな方で使用人にも優しいのですね。年も近いからか色々話してくださいました」
「ほう、どんな話だ?」
「主にカリス様の魅力を聞かされました」

何故俺?なんだか攻略対象を俺の都合で別のルートに誘導してるようで気がひけるけど・・・これも、ローリエのためだ。うん。

「特に凄かったのは騎士団長と一騎討ちをされた時の姿が凄かったと聞いております」
「あまり褒められたようなことはしてないが・・・あれが原因なのか?」

必要なことだと思ってやったことが予想外の結果を生んでるような気がする。あれが原因で俺に剣術を習うという選択肢が発生したのか?だとしたらバッドな選択肢だったかも・・・

「僕もカリス様に剣術を習ってますが、本当にお強くて殿下が憧れる気持ちもよく分かります」
「そんなことはないと思うが・・・とりあえず今のミゲルの目標はジークだろ?」
「はい。カリス様はもちろん憧れますが・・・僕は僕でジークさんに早く追いつきたいですから」
「なら頑張ることだ。ちなみにそこの執事は剣術もかなりのものだから参考にするといい」
「へー、知らなかったです」

俺も忘れてたけど、この執事戦闘も出来なくはないんだよね。ただ老人だから体力はないけど。

「とりあえず、お二人とも仕事を早く終わらせてください」
「はいはい」

そんな感じで俺はとりあえず成り行き任せで行くことに決めたのだった。ま、これ以上面倒な事は起きないことを祈るところだ。

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